「女だろ? おまえ」
~~~~~ハチヤ~~~~~
ハチヤ、アール、イチカ、サーディン、パナシュ、メイルー……。
ハチヤ、アール、イチカ、サーディン、パナシュ、メイルー……。
どこをどう見ても、コルムの名前はない。
FLC開始初期からずっと一緒にいた親友の名がない。
「……おいハチヤ」
「なんですかねサーディンさん」
「サーディン……さん……!?」
ぞわぞわぞわ……!! と寒気に耐えるようなしぐさのサーディン。
「そりゃーもうさん付けするしかないっしょー。俺みたいに大事な親友を怒らせたりすることなく、誰一人欠けることなくPT維持できてるリーダー様ですもん。そりゃーさん付けっすよー。あ、それとも様付けしたほうがいいすか? 缶コーヒーでも買ってきやすか?」
「いやへこみすぎだろおまえ……」
「あるじ様って基本、躁鬱激しいですからねー……」
「つーかなんなのよ。おまえのとこはいったい全体、なんであんなに殺伐としてんの?」
「普段はあんなじゃないんだよ……。仲良くはなかったけど、衝突するほどじゃなかった」
「どう見ても仇敵って感じじゃねえか」
「うーん……なんでかなあ……」
俺は首を傾げる。いくら考えてもわからない。
「つーかそもそもコルムってさ。あれリアル知り合い?」
「……うん? いや違う。コルム以外はリアル知り合いだけど、コルムだけが違う……あ」
「それだべ」
「えー? そういうことなのかぁ?」
「それしかねえって。おめえがリアル知り合いの言うことばかり聞くから拗ねてんだろうよ」
「あのコルムが……?」
ちょっと信じられない。あんな大人なやつが……。
「コルムって何歳?」
「えっと……14?」
「どこ住みよ」
「東京……のどこか」
「男? 女?」
「男……え、男だろ?」
「知らねえよ。つーかおめえさ」
びし、とサーディンが指をさす。
「仲間のこと知らなすぎ。興味持たなすぎ」
「うえ~? そうかあ? みんなそんなもんじゃないの?」
「長年組んでる仲間だろ? ましてやおめえら、ずっとふたりきりだったじゃねえか。そんで、その程度のことしか知らねえってのはどうなのよ。相手はNPCじゃねえんだぜ? PCなんだ。中にはきっちり人が詰まってるんだぜ?」
「だって、迷惑かもしんないじゃん。リアルのこといろいろ聞いたりしてさ。うぜーやつって思われるかもしんないじゃん」
「迷惑かけあうのもダチの証だろうがよ」
「ぐうう……? サーディンがかっこよく見える……? やっぱサーディン様のがいいすか? お汁粉買ってきやすか?」
サーディンは俺をチョップした。
「缶コーヒーよりお汁粉のが上とか、おめえの中の格付けはどうなってんだよ。ってバカ。茶化してる場合じゃねえぞ? おめえリーダーなんだからよ。しっかりしろよ」
「ううぅ……」
サーディンはため息をついた。
「……あのよ。おめえはオレが、誰一人欠けることなくPTを維持して来たように思ってるかもしんねえけど、そうじゃねえんだぜ?」
「え? マジで?」
サーディンは肩を竦めた。
「だよ。パナシュとメイルーはずうっと固定でいたけどよ。もっと大所帯だったこともあった。20人規模でギルド組んでたこともあったんだ」
「20人? ふえ~……」
「でもこんなゲームだろ? みんないろんな理由でやめてったよ。学業、仕事、人間関係……いろんな理由があった」
でもよ、サーディンは疲れたように息を吐く。
「そんなの言い訳だよな? ほんとに好きだったらどんな状況だってログインしようとするだろ? 親がうるさいなら隠れてするし、PCぶっ壊れたらネカフェ行くし、ネット環境なかったら引く。金がないならバイトする。どうしようもねえ離島に引っ越しでもしたら、わかんねえけどよ」
サーディンは頭の後ろで手を組んだ。
妖精釜の広い天井を、ふたりで見上げる。
妖精釜の釜の部分は水平に長く伸びた大空洞の最奥にあって、まだ見えない。
床には無数の溝があり、人の背丈ほどもあるたんぽぽの綿みたいなのが群生してる。綿の部分が緑色に淡く発光し、大空洞全体をぼんやり明るく照らしている。
天井には無数の空気穴みたいなのが開いていて、床の溝と同様に、妖精の住み処となっている。
顔が縦に長いの。目だけが異様に大きいの。羽だけ長いの。
どいつもこいつも造形が滅茶苦茶で、体型がアンバランスだ。
なぜなら、こいつらは妖精の幼生体だからだ。
洒落じゃなく、本当にそういった存在なのだ。
名前もなく、性別もない。妖精釜から飛び出した、妖精として活動を始める前の白紙の状態。
妖精側の勢力として成長する前の、あるいは冒険者が妖精として認める前の、プレーンな状態。
手を加えられる前の素体。
そいつらがこちらを見下ろし、見上げ、きゃははと無邪気な笑い声を上げている。
何が面白いのかおかしいのか、指さしては口々に笑っている。
――おおお、ファンタジーだ!!
神秘的な光景に心が震える。
――すげえ!! 楽しい!! こんなの見たことねえぞ!?
そう思うのに、芯から盛り上がれない。
サーディンとじゃない。俺はあいつと見たかったんだ。
……なあコルム。なんでおまえはここにいないんだよ――。
「……とどのつまりは、面白くなくなったってことなんだ。どんな逆境をはねのけてもログインするだけの気力がなくなっちまった。情熱がなくなっちまった」
「……」
夏期講習中のことを思い出した。親に怒られて家での接続を禁止された時、俺はさまざまな手段を考えた。学校を使うとか、仲間の家に上がり込むとか、夜中にこっそりログインするとか。最終的にはとーこに助けてもらったんだけど……。
「仲間がいれば楽しいと思うんだ。また来ようって思えると思うんだ。バカ話して、一緒に戦って、またバカ話して……時にはリアルの愚痴も言って。ゲーム付きのSNSみたいな感じでさ。それだけで楽しいじゃねえか、そういうの」
……わかる。
「面白い環境を作るのがリーダーの役割だと、オレは思ってる。仕事や学校や、日々の生活で疲れた心を癒せる環境を提供することが。……結果的にはパナシュとメイルーしか残らなかったけどな」
サーディンは自嘲気味に笑う。
「こんな無茶なゲームを4年もやって来て、最後の1年も3分の1を消化して、一番大事な親友を失ってりゃ世話ねえよ。なあハチヤよ」
「……ん?」
「おめえはよ、もっとコルムと話し合う必要がある。コルムがどんなやつなのか、何が好きなのか嫌いなのか。興味を持って調べる必要がある。でなきゃ、あいつが怒った理由もわかんねえだろうよ」
「うん……」
サーディンはバシッと俺の背中を叩いた。
「景気悪い顔してんじゃねえよ。男ならどばーっと行け。土下座でもなんでもして、とにかく話を聞いてもらえ。本当のダチならよ、ちゃんと話を聞いてくれるって。んで、落としどころを見つけて仲直りしちまえ」
「うん……うん、わかった。サンキューな、サーディン」
「けっ、やめろよ。おめえなんかにそんなこと言われると、ケツの穴が痒くなるぜ」
~~~~~吾妻小巻~~~~~
言ってしまった。やってしまった。
言ってしまった。やってしまった。
口をついた言葉はもう戻らない。抜けてしまったPTにも戻ることはできない。
どうしてあんなことになったんだろう。
どうしてあんなことをしてしまったんだろう。
小巻にはわからない。
ボイスチェンジャーで声を誤魔化した。
男キャラを選択することで性別を誤魔化した。
嘘の鎧を着こんで傍にいた。
いつか気づいてくれればいいな、こっちを振り向いてくればいいな。儚い希望を抱きながら、じっと身をひそめてた。
だけどもうダメだ。繋がりは断たれてしまった。
ハチヤはこれからもみんなとPTを組み、楽しく冒険を続けていく。
幸助はこれからもみんなと仲良く会話し遊び……そしてもしかしたら近い将来、武田涙とつき合うことになる。
小巻の居場所はどこにもない――。
「あたしのバカ、あたしのバカ、あたしのバカ……」
HMDを外し、小巻は悔やむ。呪文のように繰り返し、自分自身を痛めつける。
「幸助のバカ。なんで、気づいてくれないの? なんで、他の人のことばかり見るの?」
矛先はやがて、幸助に向かう。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで……。
痛む胸を押さえて、小巻はPCの画面に目をやった。
PTを離れ、ひとりたたずむコルム。バクさんが所在無げに尻尾をぱたぱた揺らしている。
くう……ん。
チコが、リアルの飼い犬のチコが、鼻を小巻の首筋に押し付けてくる。
画面の中のバクさんが、シンクロするように同じ動作をしている。
「……ふふ」
思わず笑ってしまった。
「あんたらは、ある意味自我を持ってるようなものだもんね」
喋りはしないけれど、スマホに顔を出すこともできないけれど、常に小巻の傍にいて、常にコルムの傍にいる。
愛犬を失った幸助を慰めたくて飼った、代償行為としての飼い犬。
「あたしはどうすればいいの……ねえ? 教えてよ……」
問いかけても答えは返ってこない。
と、画面に変化が起きた。
パナシュとメイルーが、コルムをつんつんつついている。口に手を当て、メガホンみたいにしている。
何かしゃべりかけてきている……?
HMDを被ると、ぎゃあぎゃあと騒がしい声が耳をつんざいた。
「おーおーおー!! 早く戻ってこいよ糸目!!」
「こちとら雰囲気悪いのなんとかしようと来てやってんだからよー!!」
「うじうじぐだぐだしてんじゃねーよ!! 気持ち悪いんだよー!!」
「てめえのせいであーしらまでやりづれーじゃねーか!!」
「――うっさいよおまえら!!」
大声を大声に重ねると、ふたりは一瞬びくっとしたが、すぐにかしましく騒ぎだした。
「なんだよびっくりさせんなよ!! いるならいるって早く言えよ!!」
「泣いてるかと思ったら案外元気そうじゃねえか!! ったくよー!!」
「あーうるせーうるせー!! いったいなんなんだよおまえらは!?」
「てめえを慰めに来てやったんだろうが!!」
「てめえの尻を蹴っ飛ばしに来てやったんだろうが!!」
「いやどっちだよ……」
『どっちもだよ!!』
「お、おう……」
「……つかおまえさ、まーだ告ってなかったの?」
「だよなー。とっくに色々すましてイチャラブ展開になってんのかと思ってたわ」
「……は? 何言ってんだよ。意味わかんねーし。オレはおと……」
『女だろ? おまえ』
――……え?
「気づかれてねえと思ってた? ばっかじゃね?」
「わかりやすすぎだし。男キャラでボイスチェンジャーって、性別隠しの初歩の初歩じゃん」
「いや、その……」
「あのな。ネトゲで声隠すのって、ほとんど女なの。もしくは女キャラ使ってる男」
「あーしらは女であるの隠したくて隠してるけどな」
「ちゃらいのやらキモイのやらに狙われるの切ねえし」
「男キャラ使ってる男が使うなんてのは、はっきり言ってありえねーことなの。おわかり?」
「う……ううん……?」
がさごそ。
何か物音がしたと思ったら、急にふたりの声がクリアに聞こえた。
「あーあーあー、聞こえてるか?」
「感謝しろよ? あーしらの地声。超レアなんだかんな?」
若い女性の声だった。小巻よりは年上だろうが、紛れもない女性の声。
「あ……あの、はい」
少し悩んだ後、小巻もボイスチェンジャーを外した。
「お、おー!? 声若え!!」
「やべーって!! 負けてる!! 負けてるよカナ!!」
「うるせーし!! 意外と年上かもしんえーだろメグ!! おい糸目!!」
「は、はい!?」
「おめえ何歳よ!?」
「じゅ、じゅうよんです……」
「ぐはあっ!!」
「げぶうっ!!」
吐血でもしたかのような声を出して、ふたりは悶絶している。
「はー!! はー!! はー!! でもまだまだだし!! なんやかやでうちら19だし!!」
「そ、そうだ!! 大台前だもんな!!」
「あ、あのー。おふたりとも……年上なんですか?」
「おい敬語やめろし!!」
「さり気に追い打ちかけるとかはんぱねーなこいつ!!」
「あ、うーん……」
生活圏の違いというか文化の違いというか、普通に暮らしてたら絶対仲良くなれないようなふたりとの会話をどうしていいか悩んでいると、ふたりはふたりなりに割り切ったのか、いつのまにか普通に話しかけてくるようになった
小巻も敬語はやめ、普段通りの話し方を心がけた。
「とにかくよ。おまえが女だなんてのは、うちらにとっては最初からわかってたことなの」
「そーそーそー!! 一目瞭然だし!!」
「そうなのかなあ……」
「わかんないつもりだった? かー、甘めえよ、甘めえ」
「話し方がもろ女なんよ。隠せてるつもりなのかもしんねえけど」
「そーそー。そんな男いねえだろって感じのいかにも『理想の男』を演じてるのがもろわかり」
「男がやる『理想の女』の逆な」
「ううう……?」
「『オレに任せろ?』、『オレがついてる?』そんなこと言う男いねえから」
「あんなの漫画の中だけだよなー?」
「あ、でもサーくんは言うかもな」
「まあサーくんはな。イケメンだから許せる」
「うう……むぅ?」
小巻は何も言えなくなった。
幸助に好かれたくて、傍にいたくてついた嘘だ。
理想の親友像を思い描いていた。
それが傍から見るといかに不自然に映るかなんて、考えたこともなかった。
でも、だとしたら……。
「あいつも気づいてるのかな……?」
小巻の懸念を、ふたりは一笑に付した。
「はー? あいつが?」
「ありえねーありえねー。あのお子様が、あんたの気持ちに気づくことなんてあるわけねー」
「うちらの間では、おまえがいつ告るのかなって話になってたんだよ」
「したら、いつの間にかメンバー増えてるし」
「アールっていうの、あれハチヤのこと好きだべ?」
「ハチヤのほうも意識してるし、こりゃー時間の問題?」
「……んん、こいつ泣きそうじゃね?」
「責めすぎっしょ。メグ」
「いやおまえが言うなし」
「なあ糸目さー」
「小巻……です」
「小巻さー。おまえいいかげん態度をはっきりしねえとだめなんだぜ?」
「態……度……?」
「男なら男。女なら女。好きなら好きってさ」
「む、ムリムリムリ!!」
ぱたぱたぱた、小巻は激しく手を振った。
「言えるようならこんなに苦労してないもん!!」
「盗られてもいいんかよ?」
「………………盗られる?」
「そりゃそうっしょ。ずっと一緒にいたのに、ポッと出てきた女に盗られる。そんなん許せなくねー?」
「あーしだったら耐えらんねー」
「な? ブッ飛ばすっしょ」
「ブッ飛ばすなんて……」
「あんた知ってる? サーくんのギルドが人増えない理由」
「ギルドが小さくなった理由」
「え……? 学業とか仕事とか……FLCに飽きたとか……」
『排除したから』
「――排除!?」
「そーそーそー。もともとサーくんを中心にしたハーレムギルドだったんよ」
「一度オフ会したことあんだけど、あん時ゃひどかったもんな?」
「なー? みんなでサーくんの隣の取り合いになってんの」
「ふたりで相談したんよ。こりゃーやってられんって」
「つっても、具体的になにかしたってわけじゃないかんな?」
「そこまで鬼じゃねーべ」
「ホントなら止める役割のあーしらが、引き止めなかっただけ」
「だって考えてもみろよ。このゲーム。一番の相方が一番の敵なんだぜ?」
「辞めたいやつなんかいくらでもいたかんな」
「うちらはその背中を押しただけ」
「辞めたら楽になれるぜー。サーくん狙っても無駄だぜーってな」
「続ける気があるんなら、みんな残ってたっしょ」
「生き残ったやつの勝ち。愛を貫き通せたやつの勝ち」
「止めてまでライバル増やす義理はないっつーか」
「サーくんには悪いけど」
『なー?』
ふたりはこともなげに笑った。
「なー? サーくんかっけえもん。顔も性格もイケメンだし。ぜってー負けらんねー」
「しかも某有名大学の大学院生だかんな?」
「うちの兄貴だもん。当たり前だし」
「いやいや、そしたらあーしのほうが全然可能性あんべ。リアル兄妹とかキモいだけだし」
「――え? ええ!? パナシュ……さんとサーディンさんは兄妹なんですか!?」
「なんでまた敬語だし」
「そーそーそー。んで、あーしはパナシュのリアル友達」
「メイルーって名前は郵便局員からきたんだもんな?」
「うわあ……うわあああっ……!?」
自分の中の常識をことごとく打ち破るような出来事の連続に、小巻は頭を抱えた。
「……なーんか、頭抱えちまったべ」
「刺激が強すぎたかな? おーい、小巻っち」
──こつこつこつ、頭を叩かれる。
──くわんくわんくわん、視界が揺れている。
パナシュとメイルーの価値観は、それまで小巻の培ってきたものとは真っ向から対立するものだった。
欲しかったなら手段を選ぶな。
納得できないならできるようになるまで噛みつけ。
物わかりのいい理想の親友を演じてきた小巻の横っ面を、気持ちいいほどきれいに引っぱたいた。
それが正しいかどうかはわからない。
おそらく誰かが決めることですらないのだろう。
ただ単純に、ごくシンプルに、自分がそれを許せるかどうかだ。
幸助の隣にいられない現実。
幸助の隣に誰かがいる未来。
それを許せるかどうかだ。
──でももし、ダメだったら?
──失敗して、決定的な溝を作ってしまったとしたら?
「……!!」
ぎゅうううう……!!
シャツの胸元を握りしめた。
萎えそうになる心を叱咤した。
「あの……!!」
がばり、勢い込んで頭を上げた。
「……だったら、あたしにも可能性ありますか!?」
「だったらってなんだよ……。どこにかかってんだよ……」
「可能性なんておおありっしょ。今が一番きくとこっしょ」
「お、おーおーおー? だよなー。今が一番効果的じゃんなー?」
「向こうが謝りに来たところで──」
「こっちが突然性別を明かして──」
『──告白』
かー、指さし合って盛り上がるふたり。
~~~~~
ログアウトすると、小巻は即座に電話帳をめくった。
目当ての電話番号はすぐに見つかった。
家の人に取り次いでもらった。
電話口で戸惑うイッチーに、小巻は果たし状を叩きつけた。
「――今からすぐ。六道会の本部道場に来な。あんたの望み通り、決着をつけてやるから」




