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最果てのクロニクル~サヨナラ協定~  作者: 呑竜
カロックの自警団

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50/118

「千眼」

 ~~~~~ハチヤ~~~~~


「――はっ」

 ワイナールは答えず、鼻で笑った。

 今までの重厚な雰囲気とは違う、軽薄な所作だった。それまでのワイナールがまるで作り物であったかのように、イメージががらりと変わる。

「ひっひっひ……」

「ワイナール……?」

「あー、はっはっはっはぁっ!! こいつぁ傑作だ!! よもやこれほど簡単にたどり着こうとはな!!」

 全身を揺するように笑うワイナールの姿が、徐々に徐々に変貌していく。皮膚が盛り上がり、骨が延伸し、ごきごきぼきぼき、背筋の凍るような音を立てながら、形を変えていく。

 呆気にとられる俺たちの目の前で、土妖精ドワーフだったワイナールは、丸耳族の男へと変貌を遂げた。


 黒いビロード地の長衣の腰を金鎖で緩く縛り、金糸の刺繍の入ったフード付きの外套を頭から被っている。

 中肉中背で、身体的な威圧感はないに等しい。

 だが恐ろしかった。本能が危険を告げていた。何より醜悪だった。

 ――目の数だ。小指の先ほどの大きさの目が、びっしりと顔全体を埋め尽くしている。


 赤い裂け目のような口を大きく開き、男は笑い続けている。

「頭の切れるお仲間がいて良かったなあ!? でなけりゃ今晩中にガキども2人も消えてるところだ!!」

「なんだこいつ……」

 人を食ったような喋り方に、生理的な嫌悪感を催す。

「あー、はっはっは!! こいつぁ失礼!! お初にお目にかかる!! 千眼サウザンドだ!! 千顔サウザンドであり、千手サウザンドでもある!! わっかんねえか!? あらゆるものが見えるのよ!! 至るところにいるのよ!! すべてに手が届くのよ!! そういう存在ってことなんだよ!!」


「――『探知ディテクト』」

 小さな声でひっそりと、ルルが呪文を唱えた。

 直後、「ひっ……」と悲鳴を上げる。

「どうした?」

「こ、これ……」

 蛍光緑のデータパターンが、空中に現れる。名前が「???」とだけ表示されている。詳細もすべて「???」。抵抗レジストされたとしても名前だけはわかる仕様なのに、何もわからない。

「こんなの……初めてです……」

 呆然としているルルを、千眼がぎょろりと無数の目で睨み付ける。

「はーっはっ!! なぁんだよおまえ、探知使った!? ねえ使った!? それでそれで? なんかわかった!? ――わっかんねえよなあ!? 『名を穿つ者の剣』と『名を縛る者の指輪』だろ!? 強いもんねえ!! でもざーんねん!! 名前がわからなくちゃ意味ないんだよねえ!! かぁなしいねえ!?」

「『サウザンド』!!」 

 叫ぶが、剣の力は発動しない。 

「ごっめぇーん!! 名乗っておいてなんだけど、あれ通称なんだ!! 真名は秘密なんだよねえー!!」

「『ワイナール・ヒムンダール』!!」

「そっちはもっとあり得ねえよ!! わかってんだろうが!! あんなむっさいおっさんの姿はもうこりごり!! 本当の俺様ちゃんは、こぉんなにイケてるナイスガイなんだぜ!?」

 何がおかしいのか、腹を抱えて大爆笑する千眼。


「――そんなことはどうでもいいのよ!!」 

 モルガンがキレた。

「アンバーを返しなさい!! 事と次第によっては容赦しないわよ!?」

 杖を構え詰め寄ると、千眼は突如笑うのをやめた。

「アンバーぁ? あーあーあー、乳臭い金髪のお嬢ちゃんね。俺様ちゃん、そん時ちょーどお腹が減ってたからさーぁ」


「食べちゃった」


 一瞬、辺りを静寂が包んだ。

 誰もが何も言えず、何もできなかった。あまりのことに、思考がストップした。

「て……め……っ」

 モルガンが淑女にあるまじき罵声を浴びせそうになったのに被せるように、

「嘘ぷー」

「………………は?」

 狐に抓まれたようなモルガンの様子を見て、千眼はゲラゲラと笑い出した。

「ばあーっかじゃねえの!? そんなことするわけねえじゃん!! ここまでお膳立てしておいて、挙げ句腹へったからつまみ食いした!? ダメじゃん!! 台無しじゃん!? てめえの頭ん中は何か!? あんこでも詰まってんのか!? こし餡かつぶ餡か!? どおぉーでもいいか!? あーはっは!!」


「く……こいつっ!!」

 杖を構え直し、呪文の詠唱を始めるモルガン。

「おう!! それよそれ!! 冒険者っつったらそれだよ!! 相手の意志を無視した力ずく!! いいねいいねえ!! その勢いで俺を倒してみろ……と言いたいところだが、そいつぁ無理だから、俺が納得するだけのダメージを与えてみな!? そしたら教えてやるよ!!」

「言われるまでもないわ!!」

 モルガンは叫ぶ。

「死っねええええええぇえええぇー!!」

 およそ女性とは思えぬような雄たけびを上げ、モルガンは連続して魔法を放つ。

 雷を束ねて直線状に打ち出す『稲妻ライトニング』。

 一抱えもある大きな火の玉を足元へ炸裂させる『業火ヘルファイア』。

 無数の氷の矢をガトリングのように射出する『氷結の矢(フリージングアロー)』。

 MP消費も効率も考慮に入れない。ありったけの攻撃魔法を打ち込んでいく。

「絶対殺す!! 100回殺す!! 生まれてきたことを後悔するぐらいの惨たらしい殺し方で殺してやる!!」


 悪罵を繰り返すモルガンの脇を走り抜け、バドが攻撃を開始する。ローブを脱ぎ捨て、枝状の手を伸ばし、左右の突きを繰り出す。

「アンバーを返しやがれ!!」

 大好きな女の子をさらわれ、激昂している。あれほど拒んでいた、樹皮人の姿を現すことも厭わず、果敢に攻撃を敢行している。


 考えることより行動を優先させるバドとは異なり、レフはまったく動けないでいる。がたがたと体を震わせ、地面に座り込んでいる。

「あああああ、アンバー……アンバーを助けなきゃ……」

 三つ頭よりも明らかに格上の敵だ。逆らうのがバカみたいに思えるような強敵だ。いくら自分に言い聞かせても、体は恐怖ですくみ、動いてくれない。

「――動け!! レフ!! こいつだけは絶対ぜってえ倒さなきゃならねえ!!」

「わかってるよぅ~……でもぉ~……」

 歯の音が合わない。冷や汗が背中を伝う。恐くて恐くて、逃げ出さないようにするのが精一杯。

 出来るはずなのに。そのために鍛えて鍛えて来たはずなのに。

「動かないんだよぅ~……」

 叱咤も、激励も、体の芯に届かない。 


「『七面鳥の競演ターキーズ・コンテスト』!!」

 吟遊詩人バードのふくちゃんが歌うのは、戦士のための目覚めの呪歌だ。

 筋力や俊敏性などの戦闘向けのステータスが上昇するのはもちろんだが、不安を消し睡眠状態から覚醒させ、戦意をも高揚させる副次効果が、レフの目に光を呼び戻す。

「ボ……ボクは……!!」

 戦意が声に満ちる。

「れふ~、がんばって~」

 応援するふくちゃんの目の前で、レフが立ち上がり、愛用の斧を握り締める。

「ありがとうふくちゃん!! ……ボクも戦う!!」

 絶妙なチームワークで戦うモルガンたちだが、その攻撃を、千眼は一切避けない。すべて受け止め、その上でまったくダメージになっていない。


「――ハチヤ!! ボクたちも!!」

「あったりまえだ!!」

 アールから強化呪文の援護を得て、歌姫ディーバであるママさんから素早さを上げる『風精シルフのハミング』を歌って貰い、突進する。 

 魔剣の特殊効果は使えなくとも、剣としての威力自体は折り紙付きだ。当たれば充分にダメージを期待できる。

 俺は勢いのままに跳び上がり、千眼の正中線に沿って叩きつけるように魔剣を振り下ろす。


「――おおっと」

 初めて、千眼が攻撃を避けた。

「そいつはちぃっと痛てぇから当たってあげらんねえな!! なにせ、あのゴルガリの魔塊まかいを傷つけたほどの業物わざものだもんなあ!?」

 垂直に振った剣をそのまま水平に薙ぎ払うが、千眼はひょいとジャンプしてかわした。

「――なんで知ってる!?」

「千眼だからだよ!!」

 ベロベロバアをする余裕がムカつく。


「ちょっとハチヤくん!! よっく狙って当てなさいよ!!」

 自分たちの攻撃がダメージを与えていないことに気づいたモルガンは、地中から生やした蔦で絡み取る絡み(エンタングル)や、眠りの霧(スリーピングミスト)などの状態異常魔法に切り替えている。

「狙ってるけどこいつが早すぎんだよ!!」

 胴を狙うふりして足を狙うが、小さく跳んで躱される。手を狙うが、すかすように避けられる。フェイントを多用し、相手の意識のいきづらいところを狙い、範囲攻撃技である『回転剣旋サークルブレード』を織り交ぜて使うなど色々試してはみるが、身軽な千眼は、余裕で回避を続ける。

 ……いや、俊敏性の問題じゃないな。動きだけなら軽戦士ライトファイターの俺も負けてないはずだ。違いを生み出しているのは「眼」の良さだ。あの無数の「眼」が俺の攻撃の起こりを捉えて、まるで先読みのような回避に繋げている。本気で千の眼を持つなら、千個の行動に対応できる。ひとりのプレイヤーにひとりの妖精あいかたがついて、それぞれ1個ずつ行動を起こしたとしても、同時に500組まで対応できる。一生、死ぬまで当たらない。


 ――そんなバカげた話があるか。


「くそ……っ、ルル!! 倍掛けで神圧スクイーズだ!!」

 神圧は状態異常魔法かつ攻撃魔法のひとつだ。不可視の力で相手を押しつぶすことで、身動きをとれないようにしつつダメージを与える、一粒で二度おいしい系魔法。

 だが、反応がない。

「おい……ルル!?」

 振り向くと、ルルは真っ青な顔でがたがたと震えていた。 

「無理……無理だよあるじ様ぁ……」

「おい!! どうした!?」

 明らかに千眼に対して怯えている。ゴルガリの魔塊まかいと対峙した時だって恐れのひとつも抱かなかったルルが、身動き取れないほどに萎縮いしゅくしている。

「ちっ……!!」

 これも「眼」のせいだ。相手を威圧し恐慌テラー状態にする『邪眼イビルアイ』の上位版。

「――はっはー!! わかってるんだもんなあ!? しょうがねえよなあ!? 俺様ちゃんには勝てっこないってさー!!」

 レロリ、大きな舌で口の周りを舐める千眼。

 ルルは「ひっ」と悲鳴を上げ、自分で自分を抱きしめた。

「……てめえ!! 俺の相方に何してくれやがる!!」 

 よく動く舌をちょん切ってやろうと顔面に『十字斬り(クロススラッシュ)』を放つが、当然のように躱される。

 ――このままじゃらちが明かない。あの「眼」をなんとかしなけりゃ。

「アール!! モルガン!! PTチャットを確認しろ!!」

 手早くキーボードでメッセージを入力すると、チャットボックスに表示させた。

「……わかった!! 任せたまえ!!」

 アールは森の奥に消え、

「しょうがないわねえ!! ゲームバカのあんたを信じるわよ!?」

 モルガンは状態異常魔法ではなく、範囲型の攻撃魔法に切り替えた。

 

「はっはっはー!! もういい加減諦めろよ!? わかったろ!? おまえらごときゴミ虫くんが束になったって勝てっこねえってさあ!! あーあ!! ひとりひとりとっ捕まえて何もかも引っぺがしてひん剥いて、泣き叫ぶところを爪先から齧るように喰らってやりたいとこなんだがねえ!! できねえんだよねえ!! なにせそういう『設定』だからさあ!!」

 下卑た言葉遣いと態度がほんとにムカつくやつだ。すぐにもぶっ飛ばしてやりたいところだが、それにはまだピースが足りない。


 俺はルルをふくちゃんの呪歌の効果範囲に置いて恐慌状態からの脱却を図ると、まっしぐらに千眼に向かって突っ掛けた。

「いくら来てもムダだっての!! てめえの攻撃は、この眼ですべてまるっとお見通しだ!!」

 どこぞの手品師のような台詞を吐く千眼の足元に、モルガンの業火が炸裂する。大人の背丈に倍するほどの高さの爆炎の壁が立ち上がり、千眼を包み込む。

 俺は炎が消える直前に飛び込み、ごと切り裂くように剣を振るった。

「おーおーおー!? 策を弄して来たじゃねえの!! だけどまだまだ!! まだ当たらんよ!!」

 千眼は、炎の中から生まれたように見えるはずの俺の剣撃だけをひらりと躱した。

「真正面からじゃ当たってやんねえよ!!」

 魔法攻撃は、ラクシルのように無理くり範囲外へ出るとかいう無茶な機動力でもない限り、基本的に必中だ。でも範囲攻撃なら、ダメージは与えられなくとも相手の視界を塞ぎ、「眼」を奪うことが出来る。はずだが、まだ足りない。 

「それにそんな無茶な攻撃、いつまでも続くわけがねえしなあ!?」

 千眼の指摘は正しい。範囲魔法のスレスレを突くという戦術には、根本的な矛盾がある。

「ぐっ……!!」

 ちりちりと、モルガンの炎が俺をも焼く。レベル差補正のおかげでダメージ自体はそれほどでもないが、何度も受けるわけにはいかない。

 そう、コンピュータのようにコンマ単位の正確なタイミングで飛び込めるわけがない以上、俺はフレンドリファイアを受け続けるわけだ。


「――大丈夫!? あるじ様!!」

 恐慌状態から抜け出したルルが、回復の呪文を唱えながら戦列に復帰する。

「おやおーや、意外と早かったねえ!?」

 それほど残念でもない口調で千眼。

「歌で癒やされる程度の感情たぁ悲しいねぇ!?」

「――うっさいですよ!!」

 余裕たっぷりの千眼に、ルルが怒りの『氷結の矢』を放つ。

 千眼の眼は、大量に打ち出される氷の矢の軌跡を律儀にすべて追っている。魔法攻撃である以上躱せるわけもないのに、矢の行方自体は追わなければならないようにプログラミングされているのだ。しかもひとつの行動として一括りではなく、飛び交う矢の一本一本を別カウントとして――。

 直後のサイドからの俺の薙ぎ払いは当然の如く躱されるが、「眼」を酷使しているせいか、いままでほどの余裕はないようだ。

 やっぱりか――

 確信できた勝算に、俺は心の中で喝采を上げる。

「はああ!? なぁに嬉しそうな顔してくれてるわけ!? てめえの攻撃はまったく掠りもしてないんですけど!? 遅すぎてあくびが出るっての!!」

 何かを誤魔化すように煽る千眼――の顔が目に見えて曇る。


 ――プアァァァアアン。


 夏の夜を思わせる、不快な羽音だった。

 忍び寄る者。血を求める者。夜空を舞う者の群れ――。

 生理的な嫌悪感はさておき――それは俺たちにとって、騎兵隊のラッパにも等しい音だった。


「な、な、な、なんだこりゃああああ!?」

 視界を埋め尽くすほどの大量の、黄蚊イエローモスキートの群れを前にして、千眼の顔が動揺に歪む。

 テルメルクの森の名物、モスキートトラップ。世にも美味なるルーメンの木の果実に成りすました黄蚊の巣。間違ってつつけばたちどころに現れる吸血蚊の群れに襲われ血を吸い尽くされるという、嫌いな人には鳥肌ものの罠――を、アールとママさんがことごとく発動させて来てくれた。

 黄蚊自体は高レベルモンスターではもちろんなく、どんだけ束になろうと千眼にダメージを与えることはできない。

 だが、何千何万という「数」が、千眼にとっては強敵となる。なぜなら千眼は、良すぎる眼のせいで、「すべての攻撃を捉えなければならない」設定の呪縛にかかっているからだ。

「いったいどうやってこんなものを連れて来やがった……!?」

 道化の嘲り(コメディリリーフ)の本領発揮。だがそんな事情は、千眼にはわからない。黄蚊を連れて来たアールとママさんが自分の周りを一周するのを呆然と見やり――無数の黄蚊をいちいち律儀にフォーカスするしかなく――とうとう、俺の背後からの攻撃を追えなくなった。

「っあああああぁあああああ!?」

 ズブリと、魔剣が千眼の背に突き刺さる。抉るようにして抜き、再び別の場所に切りつける。ゴルガリの魔塊まかいをも傷つけた魔剣が、次々とヒットしていく。腕に足に胴体に、眼の密集する頭部に。即座に致命傷には至らないが、決して無視できない傷をつけていく。


「くそおおおおおぉおおお!! てめえらぁああああああ!!」

 顔面から流れる血を手で押さえながら、千眼は宙高く飛び上がった。ジャンプでもなく、『飛行フライ』の魔法でもない。目に見えない力で浮いている。

「――くっ!! 降りて来い!!」

 さすがに剣が届かないのでは、軽戦士の俺に出来ることは何もない。

「うるっせええぇよ!! ――消し飛べゴミクズ!!」

 恥辱にまみれ憎々しげに叫ぶと、千眼は聞いたことのある呪文を唱え始めた。

「『リ・ブルム!! リ・ブルム!! 翼持つ者の王!! 偉大なる龍どもの長よ!! 我が命令めいを聞け!!』」

 辺り一帯の空気が帯電する。大きく開いた千眼の両掌に風とともに集まり、大いなる渦を巻き起こす。

「『我が命令は絶対なり!! 汝の牙を剣に変えよ!! 汝の翼を風に変えよ!! 血も肉も皮も、持てる全てを捧げ尽くせ!! 汝は我と我が主の供物くもつなり!!』」

 げげ、禁呪きんじゅかよ!!

 千眼の唱えている呪文は、レジェンドクラスのモンスターのみに使用を許される広範囲殲滅型魔法だ。以前何かの動画で見た時は、唱える者(スペルキャスター)型のモンスターの一撃で、大規模PTが枯れ葉のように吹き飛び、半壊していた。

「――逃げろみんな!! 森ごと吹っ飛ぶぞ!!」

 俺はルルを抱え、アールはママさんを抱え、モルガンはふくちゃんや弟子たちと共に走るが、呪文の威力と範囲を考えると、とてもじゃないが間に合いそうにない。

「あーはっはっはっ!! 逃ぃがさねえぇよばあああああああぁか!! ――喰らえ!! 『龍雷ドラゴンライトニング――』」 

 顔面を血に染めた千眼が、両手に集まった風雷を頭上で併せ、巨大なひと塊と成す。哄笑と共に発動の言葉を唱え、大きく振りかぶる――

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