第3話
今まで麻雀やってました。すいません!
――出会い――
~3日前~
この日、魁人の住む街、小金井市では大変な事件が発生していた。
事件の内容は、極めて危険な魔物の封印が解けたというものだった。魔物撃退のための魔獣使いが多く存在するこの街が、過去3度目の避難勧告を発令するほどのもの。
そんな時事件の被害者である魁人は、
「うおぉぉぉおぉ! 腹……ぐぉ!」
公園のトイレで腹を壊していた。
避難勧告は緊急なため、携帯、町内放送、車など、様々な方法で適切に、かつ最速に行われる。それはもちろん魁人の携帯や、公園などにも流れてはいたが、あまりの腹痛に魁人はそのことに気付いていなかったのだ。
「あ~、死ぬかと思った……」
ようやく出すものを出した魁人がゆっくりと男子トイレから出てきた。
あ~腹の底がまだ微妙に重い気がするけど、大分楽にはなったな。今日なんか悪いもん食べたっけ。
今日は確か朝パン食べて、お昼に学食でカツ丼、あとは間食したポテトフライ、そんな悪いもんくってない気がするんだけど……
とりあえずまた痛くなったら困るので、公園で少し休んでいこうと思った魁人はベンチへと向かった。
「あれ? 先客がいたか……」
先に座っていたのは、銀髪の小学生くらいの女の子。女の子はこちらを見て不思議そうな顔をしてこちらを見ている。
「ごめん、隣いい?」
「!」
声をかけられてビックリしたのか、女の子は目を見開いた。
「あ、悪い、ビックリさせたか?」
もしかしてこわがらせてしまったんだろうか、自分的にはそんなひどい顔はしてないと思うんだけど……それはかとなく心に響くな……
密かに心にダメージを受けつつベンチに座ると、今度は女の子の方から声をかけてきた。
「……こわくないの?」
「? 何が?」
「わたしのこと……みんなこわがってるから」
……彼女が何を言っているのか魁人はよくわからなかった。
もしかして小学校でイジメにでもあっているのだろうか、銀髪ってことは日本人じゃないと思うし、それが原因で怖がられてるとか?
なるほど、だからこんな公園に一人でいるのか……だとすると、ここは紳士である俺が慰めてあげないと。
「全然怖くないよ、むしろすんごい可愛いと思うぞ! うん!」
「かわいい?」
「ああ」
「かわいい……? じゃあ、もうひとりじゃなくていいのかな?」
「ん? ひとり?」
「ひとりぼっちは……もうやなの」
そう言って女の子の顔が悲しそうに歪む。
……なんだろう。この子を見てると、不思議と他人事とは思えない。
それは多分魁人自身も、昔彼女と同じような経験をしたからだろう。魁人は代々魔力の高い子が生まれる家系で、唯一魔力を持たずに生まれてきた子だ。
もちろんそれで親から何かされたとかはなかったが、親戚や学校では色々言われいじめられてたこともあった。今は仲の良い隼人兄さんと鈴鹿も、実は最初そこまで仲良くはなかったのだ。
そのせいもあってか、学校ではいつもひとりぼっち。寂しいと感じても、親に迷惑かけないよう黙ってたり、友達がいるように見せるため、よく出かけるといってこの公園で一人遊んでいたのだ。
だからだろう、彼女を見ていて、同情ではないこの気持ちの正体は、
でもだったら、救うのは極めて簡単だ。
「なぁ、君名前は?」
「名前?」
「そう、名前は?」
女の子は一瞬困った顔をしたが、やがてポツリと呟いた。
「……ソフィア・ヴァレンタイン……」
「ソフィアか、俺は瀬川魁人、魁人って呼んでくれ」
「かいと?」
「おう! それでなぁソフィア」
魁人はベンチから立ち、ソフィアの前へとまわる。もうお腹の痛みなんてどっかいっちまった。
こちらを見上げるソフィアに、そっと手を差し伸べて魁人は言う。
「俺の友達にならないか?」
「……ともだち?」
「ああ、友達だ! 一緒に遊んだり、買い物いったり、楽しいこといっぱいしようぜ」
「楽しい……」
ソフィアは少し考える素振りを見せ、やがておずおずと手を伸ばしてきた。
「わたし……なりたい、ともだち」
「よっしゃ! それじゃあ――」
と手を取ろうとしたところで、公園の入り口から「そこまでだ!」と怒声にも近い声を投げかけられた。
声に反応して左を向くと、少し先に4人ばかり人が立っていた。しかも全員武具を装備している。
っていうかよく見たら、兄さんと、鈴鹿までいるじゃないか。
向こうも魁人に気付いたのか、武器を構えたまま驚き叫んだ。
「魁人お兄ちゃん!? なんでまだこんなところにいるの!」
「魁人! 避難勧告はどうした!」
「避難勧告?」
もちろんそのことに気付いていなかった魁人は聞き返す。すると他に一緒にいた男が割りこんできた。
「はやくその化け物から離れなさい!」
「化け物?」
なにを言ってるんだこの人は
事がわからない魁人は疑問を浮かべた。すると隼人兄さんが焦った様子で説明してくれた。
「魁人、実はさっきある不備が生じて、血固めの封印が解けてしまったんだ」
血固めの封印。確かある魔物を封印するために使われた封印術だったはず、百を超える人の血を使い、体と精神を完全に封印する魔術。
過去にその封印を受けた魔物は一匹のみ、それは確か、
「ここまでいえばわかるだろ、魁人、そいつは人間じゃない吸血鬼だ」
「吸血鬼……」
「ああ、しかもそいつは真祖の吸血鬼、正真正銘、俺達の敵だ」
隼人兄さんの言葉に、魁人は心が冷えるような、冷たい感覚得るのだった。
すいません、過去編はもっと長くやりたいんですが、そうすると毎日はつらそうなので……あとすいませんが明日は暗闇祭りというのに行くので投稿できませんm
後実は、文章、ストーリー評価に1をつけてくれた人がいたので、ちょっと1、2話直しました。これからもちょくちょくいじっていくのでよろしくですw
この元の絵を描いていた作者さん、読んだらぜひ感想お願いしますw酷評ばっちこい! もちろん他の方もどんどんお願いします!