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海はごみ捨て場じゃないんですけど!

作者: 結城暁
掲載日:2026/07/01

思い付きでふりがなをふりまくったらめちゃくちゃ作業量が増えたので、今後はたぶんもうやらないです。

海はごみ捨て場じゃないんですけど!

 昔々(むかしむかし)、ある(うみ)にたいそう(うつく)しく、たいそうかわいらしい海姫(うみひめ)さまがおりました。

 海姫さまがいるここは海底(かいてい)今日(きょう)も海姫さまが平和(へいわ)()らして――


(ここ)はごみ捨て場じゃないんですけどぉ?!」


 いられませんでした。

 海藻(かいそう)珊瑚(サンゴ)で作った(ほうき)片手(かたて)激怒(げきおこ)です。

 それもしかたありません。

 だって、海姫さまの住処(すみか)(まわ)りは見渡(みわた)(かぎ)り、陸地(りくち)から(なが)れてきたごみでいっぱいでしたから。


「なんなのよ、毎日(まいにち)毎日、わけのわからないごみが流れてくるなんて! きっと陸の生き物(ニンゲン)仕業(しわざ)ね! (ゆる)せないわ!」


 陸地のものが流れてくることは(いま)までにもときおりありました。

 海底にはないそれらを(あつ)(なが)めては、いったいどんんあことに使(つか)うのかしら、と眷属(けんぞく)(たち)(たの)しく(はな)()うこともありました。

 けれど、こうも大量(たいりょう)に、連日(れんじつ)、しかも(いのち)危険(きけん)があるものが流れてくるのでは、さすがの海姫さまも血管(けっかん)がぶち()れそうでした。

 ニンゲンが使(つか)っていたのであろう(こわ)れた魔道具(まどうぐ)

 ニンゲンが加工したのであろう細長(ほそなが)金属(きんぞく)や、(うす)っぺらい金属の欠片(かけら)や、(かたまり)になった金属。

 (さかな)達や眷属達が(つか)まり(やす)(から)まり(あみ)(いと)

 一昨日(おととい)は眷属が()()んで()れなくなってしまった()がった金属――()(ばり)という()しき道具(どうぐ)だとのちに()って、海姫さまはニンゲンに恐怖(きょうふ)しました――を悪戦苦闘(あくせんくとう)しながら取ってやりました。

 鑑賞(かんしょう)()えうるきれいな硝子(ガラス)もありましたが、(りょう)が量です。集めるのにも()きてしまうというものでした。

 海姫さまはうんざりしていました。

 ()()も来る日も掃除ばかりなのです、(だれ)だって(いや)になります。

 そのうえ――


「姫さま~! 海姫さま~!」

「どうしたの、チョウチンアンコウのアンコ!」

()ました~! また乱暴者(らんぼうもの)(あらわ)れました~!」

「またなの?!」

「まだ()んでませ~ん! 死にそうにもないです~!」

「もおおおお!」


 いったいどうやって移動(いどう)させているのやら、ニンゲン達の(あいだ)では陸地の魔物(まもの)深海(しんかい)投棄(とうき)するのが流行(はや)っているようで、()たことのない、どう見ても陸地の生き物が頻繁(ひんぱん)姿(すがた)を現すようになりました。

 大抵(たいてい)は深海の水圧(すいあつ)でぺしゃんこになって死んでしまいますが、極稀(ごくまれ)に水圧で死なずに、しかも溺死(できし)もせず、水中(すいちゅう)で呼吸をする(すべ)()つ魔物が大暴(おおあば)れをすることがありました。

 住処も餌場(えさば)もぐちゃぐちゃにされて、仲間(なかま)達も(うば)われてしまうのですから、海に()()(もの)たちにはたまったものではありません。

 (おそ)われたみんなは、()いて海姫さまに(しら)せてくるのでした。

 海姫さまは魚達や眷属達をいじめる(もの)をけして(ゆる)しません。

 それに、(まん)(いち)にでも海底火山(かざん)噴火(ふんか)してしまうようなことになれば、被害(ひがい)はとんでもないことになります。

 得物(えもの)三叉槍(さんさやり)(たず)さえた海姫さまは、すぐさま不届(ふとど)き者の首級(しゅきゅう)()げるのでした。

 ですが、海姫さまもただ(だま)って掃除ばかりをしているわけではありませんでした。

 海底に流れついたごみの一覧(いちらん)を作って、近くのニンゲン達の国に突撃(とつげき)しました。


(わたし)たちの住処を(よご)しているアナタ達ニンゲンに文句(もんく)()いに()たのだわ!

 アナタ達ニンゲンのせいで私たちは多大(ただい)(がい)(こうむ)っているのだわ!」

「えぇ……いきなりそんなことを言われましても……」


 海姫さまのいきなりの来訪(らいほう)国王(こくおう)達は(おどろ)きましたが、()きつけられたごみの一覧を見て、(かお)を見合わせました。

 そして口々(くちぐち)謝罪(しゃざい)()べるのでした。

 その(こころ)から反省(はんせい)したニンゲン達の様子(ようす)に、海姫さまは(すこ)しばかり溜飲(りゅういん)()げました。


「ふふん。いい心()けなのだわ。アナタ達の真摯(しんし)な反省の態度(たいど)(めん)じて今日のところは(ひろ)海原(うなばら)のような心で(ゆる)してあげるのだわ」


 海姫さまの寛大(かんだい)な心にニンゲン達は感謝(かんしゃ)(ささ)げました。


「ただし、(つぎ)(へん)な物、海の眷属達や魚達の命に(かか)わる物をわざと海に流したりしたら、津波(つなみ)でこの国を(しず)めます! 心することね!」


 ニンゲン達は平伏(へいふく)して海姫さまの言うことを心に(きざ)みました。

 それからその国は、国を挙げて海洋(かいよう)ごみ問題(もんだい)に取り()かりました。

 その国で作った物、使う物にはそれぞれ(しるし)()けて、管理(かんり)をするようになりました。

 魔物を相手(あいて)にする冒険者(ぼうけんしゃ)達には海姫さまのいる海域(かいいき)への魔物の転送(てんそう)禁止(きんし)しました。

 海へごみを流せば海姫さまに津波で沈められてしまうぞ、と言われて()どもたちは(そだ)ちました。

 うっかり海へ()としてしまって、取れなかったものは(かなら)ず海姫さまに謝罪と報告(ほうこく)をしました。

 その甲斐(かい)あって、その国からのごみはほとんどなくなったそうです。

 めでたし、めでたし。

 ――と、いけばよかったのですが、海姫さまは今日も海底をせっせと掃除していました。

 流れてくるごみには近くの国の印はひとつもありません。

 海姫さまが突撃した国とは(べつ)の国から流れてきたものばかりです。

 実は、なんということでしょう。海流(かいりゅう)関係(かんけい)で、近くの国とは別の国からもごみが流れてきていたのです。


「え~ん! 相変(あいか)わらず掃除ばっかりなのだわ~! 次はどこの国に行けばいいのだわ~?!」


 箒とちりとりを両手に、海姫さまが(なげ)きました。

 眷属達も掃除をしながら重苦(おもくる)しくため(いき)をつきました。ため息は(こま)かな(あわ)になって(うえ)へ上へと(のぼ)っていきました。


「くう……、業腹(ごうばら)ですが、ここはニンゲンに協力(きょうりょく)(あお)ぐしかないのではありませんか……?」

「あんなにかっこいい()(かた)をしといて?!

 かっこ悪いのだわ!」


 海水(かいすい)にとけていく海姫さまの(なみだ)がきらきらと(ひか)っては()えていきます。

 ゆらゆらと海がゆれて、また(あら)たなごみがごろんごろんと海底に流れ()きました。


(ここ)はごみ捨て場じゃないのだわ~!!」


 海姫さまの(なげ)きは今日も()まらないのでした。

評価、ブクマ、感想に誤字報告ありがとうございます。

とても嬉しいです。励みになります。

今後ともよろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
2カ所ほど、『漢字』にルビ振ってあるところがあるので記入漏れかと思いますが、ご確認お願いします。 海洋ごみ問題やべーですよね…山の不法投棄ですらヤベーのに…地面掘り返すと穴空いたビニール素材が大量に出…
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