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最強チートで無双してるのに、美人で可愛くてスタイル抜群な三人のヒロインから“キモいセクハラ野郎”と罵られ続ける俺の異世界冒険記  作者: トワイライト
第1章 異世界転移&チート持ち──確かにハーレムだけど、想像してたやつと全然違った件

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9/19

第9話 チートでスライムをテイムしたら可愛すぎて即メロメロ

「……いやいやいや、ここ本当にダンジョンか……観光地じゃねぇの……?」


 驚きに満ちた声を漏らしながら、カナタは周囲に目を向けた。


 草原のあちこちに、人影が見える。

 子どもと言ってもおかしくない年齢の冒険者が、木の棒を持って歩いているし、

 初心者っぽい若者たちが、ぎこちない足取りで草原を探索していた。


 緊張した表情ながらも、命の危険が迫っている気配はまったくない。


(……これが“1階層”……。

 ゲームで言うならチュートリアルエリアってやつか……)


 空気は清々しく、風は穏やか。

 鳥の鳴き声さえ聞こえてきそうなほど、おだやかな雰囲気が広がっていた。


 カナタは草原へ一歩踏み出す。


 靴裏に伝わる草の柔らかさ。

 ほんの少し湿った土の感触――すべてが生々しく、自然そのものだった。


(……外は洞窟の入口だったのに、中はこの開放感……

 転移した時を思い出すような感じ……このダンジョンはまるで異世界の中の異世界だな……)


 草原のゆるやかな斜面を進んでいくと、前方からかすかな破裂音が聞こえてきた。


 ──ぷるんっ。


「……ん?」


 耳を傾けた瞬間、視界の端で“丸い何か”が跳ねた。


 透明感のある青い塊が、ぷよん、ぷよんと弾むように移動している。

 太陽光のようなダンジョンの光を反射して、ゼリーのようにきらきら輝いていた。


(……あれ、絶対スライムだろ……)


 ゲームでは最弱モンスターの代名詞。

 だが、実物を目にすると印象がまるで違う。


 まんまるで、つるんとしていて、動きもぷるぷるしていて──


(……かわいすぎるだろお前!)


 思わず胸を押さえる。


 少し離れた場所では、初心者らしい少年少女が木の棒を構え、スライム相手に練習していた。

 スライムはぴょこんと跳ねて少年に体当たりするが、威力はほとんどない。

 少年たちは「ぎゃっ、こっち来た!」と笑いながら逃げ回っている。


(うわ……なにこれ……“ほのぼの攻防戦”すぎる……

 あんなに頑張って攻撃してるのに、誰ひとり本気で怯えてないな……)


 スライムが跳ねる草原の一角では、初心者らしい冒険者たちが訓練をしていた。


「せいっ!」「火球(ファイア・ボール)!」


 剣を構えて斬りかかる少年、

 小さめの火球を投げる少女。


 スライムはぷよん、と間の抜けた音を立てて跳ねる。

 何とか避けたり、逆にぽよんと体当たりしたりしているが──


 その姿はどう見ても“必死に生きているだけ”だった。


(……え、ちょっと待て。

 あんな可愛いスライムを練習相手にして倒すのか……?

 異世界人って思ったより残酷だな……?)


 少年の木剣と少女の火球(ファイア・ボール)が同時に当たり、スライムの身体が大きく震えた。

 しゅわっと音を立てて溶けるように崩れ、地面には小さな魔石だけが残った。


(スライムだって必死に生きてるんだ……それを倒すなんて……ウォオマエラニンゲンジャネェ!

 ……とは……流石に言えないな……)


 その瞬間、カナタは静かに誓った――自分だけは絶対にスライムを倒さない、と。


 すると、タイミングよく、少し離れた場所に“ふわふわ跳ねるスライム”が一匹。

 さっきの戦闘練習から逃げ延びたのか、孤独に草をつついていた。


 その様子を見た瞬間──


「……テイムしてみるか……? 俺のチートなら、できるかも……」


 ぷる……ぷるる……


 草の陰で震えていたスライムは、カナタが近づいた瞬間、はっと気づいて体を大きく揺らした。


 次の瞬間、恐怖に突き動かされたように全力で飛びかかり、ぽよん、ぽよんと必死の体当たりを繰り返した。


(……こんな必死なのに、衝撃ほぼゼロって……かわいそうだなお前……)


 周囲を見渡す。

 他の冒険者はいない。誰も気づいていない。


(よし……今だ……)


 カナタは震えるスライムのぷにぷにした身体にそっと手を置いた。


「テイム」


 淡い光がふっと収まると、スライムは震えを止め、カナタをじっと見上げた。

 次の瞬間、安心しきったようにぷるんと跳ね、ぽよん……とカナタの膝の上に乗り込んできた。


(……お、おおお……

 なんだこの尊さは……)


 膝の上でぷるんと揺れるその小さな温もりに触れ、カナタは思わず息を呑むほどの可愛さに胸を打たれた。


(……撫でてみるか? 喜んでくれたらいいんだけど……)


 カナタが撫でた瞬間、スライムは小さく震え、その透明な身体全体がふるふると揺れた。

 まるで嬉しさを抑えきれないかのように、体内の光がほんのり明るく脈打ち、ぷにぷにとした弾みで何度も小さく跳ねてみせた。


(……かわいすぎる……もうダメだ……

 よし、こいつが安心して暮らせる“場所”を作ってやるか……俺のチートならできるだろ……)


 思考した瞬間、カナタの視界に半透明のウィンドウが展開される。


《新規機能:モンスターファーム

 モンスターの飼育に適した仮想空間を生成できます》


「生成」


 カナタがそう言うと、スライムの周囲に淡い光がふわりと広がった。


 次の瞬間──


 スライムが光の粒となって吸い込まれるように消え、

 新たな“仮想空間”へと転送された。


(……うお……本当にできた……

 すげぇ……スライム専用の安全な飼育空間……)


 カナタの視界には、ミニチュアの草原空間のような映像が映っている。

 そこには先ほど保護したスライムが、安心したようにぷにぷに跳ねていた。


(……よし。スライム、お前は今日から俺の仲間だ……)


 カナタは胸の奥でひとり静かに勝利のガッツポーズを決めた。


(……かわいい……ほんと可愛いなこいつ……

 よし、まず、こいつが安心して暮らせる空間は確保した。

 となると次は……餌だよな)


 思い立ったカナタは、思考をひとつ切り替える。

 それだけで視界に半透明のウィンドウが浮かび上がる。


《検索:スライムの飼育方法》


 まるでスマホを扱うような感覚で思考操作すると、

 画面がぱぱっと切り替わり、必要な情報が自動で並んだ。


《スライム:魔力を多く含む物質を好む》

《特に“魔石”が高い嗜好性あり》

《一定量を与えると安定し、成長速度が上がる》


(……なるほど、魔力が多いもの……

 じゃあ“魔石”がベストってことか……)


 カナタは軽く息を吸い──


「生成」


 彼の手元の空間にぱん、と小さな光が弾ける。


「……こんぐらいあれば十分だろ……」


 生成した魔石は軽く100個はある。


 その瞬間、空気中に細かな光の粒がふわりと巻き起こり、まるで匂いに釣られたかのように一点へ集まりはじめた。


 そして──光の中心がぽうっと膨らみ、形を変え、

 最後にふわりと弾けるようにして一匹のスライムが姿を現した。


 光が収まった直後、スライムはぷるんと跳ね、まっすぐカナタの足元へ。

 体を震わせながら、生成されたばかりの魔石を欲しそうにじっと見上げていた。


(……ちょ、待て……モンスターファームって“自分の意思で出入りできる仕様なのか……

 そんな自由度あるのか……まあ、モンスターに自由があることはいいこと……か……?)


「魔石の匂いにつられて出てきたのか……?」


 スライムは嬉しそうにぷるぷる震え、ぽよんと跳ねて魔石に飛びついた。

 その仕草があまりにも健気で、カナタは思わず口元を緩めてしまう。


(……かわいすぎるだろ……

 喜び方が健気すぎるんだよ……)


 魔石を次々と吸い込むスライムは、

 まるでおいしいお菓子をもらった子どものように、

 体をぷるぷる跳ねさせている。


 その反応を見ているだけで、カナタの胸は自然と温かくなっていった。


(よし……餌の確保は問題なし。

 この子、今日からお前は絶対に俺が幸せにするからな……)


 膝の上で嬉しそうに震え続けるスライムを見つめながら、

 カナタは密かに、心の中で固く誓った。


 スライムに魔石を与え一段落ついたカナタは、ふっと空を見上げた。

 草原の光は相変わらず穏やかで、時間の流れさえゆっくり感じる。


(……さて。スライムも落ち着いたし、そろそろ本題に戻るか……)


 今日の依頼は“薬草採取”。

 ギルドで受けた、れっきとした初仕事だ。


(……よし、まずは薬草の位置、探さないとな……)


 カナタは軽く息を吸う。


「サーチ」


 その瞬間、視界にぱっと青い魔法陣のような光が広がり、

 草原一帯の立体マップが浮かび上がった。


 地面に潜む魔力の反応が光点となり、草の影に潜む薬草が一目で分かる。


「うわ……便利すぎるだろこれ……」


 驚きながらも、カナタは目当ての光点に意識を向ける。


(……じゃ、行くか……)


 足元の景色が一瞬ふっと揺れ、

 次の瞬間には目的地の草むらへ瞬時に移動していた。


「……うお!? これが……テレポート……」


 草の陰には、ミント草と呼ばれる淡い緑色の薬草が群生している。

 ひとつ摘むと、爽やかな香りがふわりと立ち上がった。


「うわっ、なにこれ……完全にRPGの初期素材だろ……」


 そう呟きながら、カナタはテンポよく採取を進める。


 スキルで位置を探り、行き先へ一瞬で飛び、見つけた薬草を摘み取る──

 ただその作業を繰り返すだけで、草原に散らばった薬草が次々と手元に集まっていく。


 かかった時間は、ほんの数分だった。


「……よし、ミント草10束。依頼分はこれで完了だな……」


 薬草の束をインベントリにしまい終えると、カナタはダンジョンの草原をぐるりと見渡した。

 光は穏やかで、風も涼しく、初めて来たとは思えないほど居心地がいい。


(……よし、依頼も終わったし、そろそろ帰るか……)


 軽く息を整え、行きたい場所を強く思い浮かべる。


(……ダンジョンの出口近くへ)

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