第5話 チート実験──1000億円生成に成功して、ついでに風魔法でスカートをめくってしまう
(……まぁまずは、
この世界で生きるってんなら、とりあえず“金”が必要になるに決まってる。
……よし、一発目の実験はコレだ。まずは金を作ってみるか……)
カナタの胸がまた高鳴り、頬は期待と興奮で勝手にゆるみっぱなしだった。
止めようとしても、これからの展開を想像し、ニヤけが漏れ続けていた。
(この世界で一番価値のある貨幣……作れ)
“そう思った瞬間”──
──ぱっ。
右手のひらが淡く光り、小さな金属片が現れた。
「うおっ……!? 出た……マジで出た……」
黄金より深い、青みがかった金属輝。
ただの硬貨なのに、存在感が異様に重い。
次の瞬間、ウィンドウが展開される。
【ITEM DATA】
▷ 名称:オリハルコン貨幣
▷ 価値:1000億G
▷ 日本円換算:約1000億円
▷ 素材:高純度オリハルコン(魔力伝導率:極限)
▷ 説明:国家級の財宝として扱われ、王族・大貴族間でのみ流通する超希少貨幣
▷ 備考:一般人の流通市場ではまず見られず、存在そのものが国の権威象徴とされる
「……は……!? えっ……ちょ、いや……これ……マジで……」
口は開いているのに、言葉がまったく出てこない。
喉の奥が震えるだけで、声にならなかった。
「せ、せん……億……円……?」
膝が笑い、呼吸が止まりかけた。
(桁バグってんだろ……!?
いやチートだから正しいんだろうけど……
“一番価値のある貨幣”って、ここまで来るのか……
……つーかこの異世界、スケールどうなってんだよ? 1000億円って冗談だろ……)
(単位はG……ゴールドか?)
(しかも日本円換算がほぼ同額ってことは……1G=1円感覚で見ていいな……)
指先が震えて、笑いが止まらなかった。
「やば……もう一生どころか百生遊んで暮らせる額じゃん……
……って、いや待て。これ、そんなヤバいもんを俺、今普通に素手で持ってんのか……?」
手のひらにあるオリハルコン貨幣は、どう考えてもこの世界で最高級の財宝。
テンションで舞い上がっていたカナタも、そこでようやく現実的な恐怖が背筋を走った。
(これ……ずっと手に持ってるの、さすがにヤバいよな……
持ってるのバレたら世界中の強盗が来る価値だし……
……って、いや待て。俺チート持ちだったわ……
もう誰にもビビらなくてもいいな……強盗も指を鳴らすだけで倒せるはずだし……)
それでも指先は震えていた──前世の感覚が抜けず、どれだけチート持ちでも超高額の財宝を素手で持つのは本能的に怖かった。
そこで、ふと思い出す。
(……そういえば、チートで“収納”とかもできるはずだよな?
アイテムボックス的な……あれ……イメージしたら……出たりする……?)
期待に口元を緩めたまま、“収納”をイメージした瞬間──
──ぱっ。
手のひらのオリハルコン貨幣が、一瞬で消えた。
「えっ……!? 消えた……いや、まじでどこ行った……?」
驚くカナタの目の前に、青いホログラムが滑るように展開される。
【INVENTORY】
▷ スロット01:オリハルコン貨幣(1)
▷ 空きスロット:無制限
「うおっ! これ……完全にアイテムボックスだろ……
しかもスロット無制限かよ……」
興奮で声が裏返る。
(すげぇ……本当に“思っただけ”で収納された……
そして当たり前のように管理画面までしっかり出る……)
ホログラムの一覧には、貨幣の名前がちゃんと表示されている。
まるでゲームのインベントリ画面そのままだ。
「いや便利すぎるだろ……
これがあれば荷物どんだけでも持ち放題ってことだろ……
冒険の幅、無限に広がるぞこれ……」
カナタの胸はまた熱くなる。
アイテムボックスの便利さにテンションが跳ね上がったカナタは、
次なる“本命の実験”に意識を向けていた。
(……次は魔法だろ。異世界って言ったら魔法だよな……
火とか水とか風とか……出せんのかな……?)
思うだけで何でもできるチートだ。
やろうと思えば、好きな属性を好きなだけ放てるはず──
そんな確信が胸の奥で熱く膨らむ。
(まずはどうする……? 火か? 水か? いや……どうせなら……)
そう考えた瞬間だった。
通りの向こうから、すっと視界に入ってくる人影。
その女性は、金糸のように艶めく長い髪を背に流し、風に揺れるたび光をまとった薄い布のスカートがふわりと揺れた。
切れ長の目元と濃い睫毛が生む影はどこか妖艶で、その横顔に一度視線を奪われれば動けなくなりそうなほどの迫力がある。
脚のラインを品よく強調するスカートの揺れと、しなやかな歩き方には、大人の余裕と控えめな色香が自然に滲んでいた。
石畳を踏むヒールの音は、ゆっくりと人を惹きつけるような魔性のリズムを刻み、その存在感をさらに際立たせていた。
「……っ、やば……めっちゃ綺麗な人……」
カナタの脳内の回路が、一瞬で“健全な魔法実験”から別方向に切り替わった。
(……風魔法……いけるよな?
この風の精密さ、どれくらいのもんか……試したい……よな……?)
完全に口角が上がる。
男という生き物の本能が、迷うことなく答えを出していた。
(じゃあ……ちょっとだけ……“あの人のスカート”に風を……)
意識した、その瞬間──
──ふわっ。
通り抜ける風とは明らかに違う、
“一点集中”の軽い突風が、美人のスカートだけをそっと持ち上げた。
「きゃっ……!? ちょ、え、えぇっ……!!?」
女性は慌てて両手でスカートの裾を押さえ、顔を真っ赤にしながら身を縮めた。
周囲をきょろきょろ見回し、羞恥に震える指先がかすかに揺れていた。
(……っ、やべぇ……!
脚……綺麗すぎだろ……!)
ふわりとめくれたスカートの隙間から覗いたのは、
陶器みたいに滑らかな太もも──
光を受けて淡く立体感が浮かび上がる、“完璧なライン”だった。
(しかも……下着……っ! 白……!
この脚のラインにこの白って……反則だろ……!)
視界に焼き付くような、美しい角度。
筋肉の付き方も、肌の張りも、揺れた布の奥に見えた形も──
全てが一瞬でカナタの脳を沸騰させた。
(……これは、まるで芸術……!)
声に出さずとも、心臓が爆発しそうなほど跳ねた。
美しすぎる一瞬に興奮しながら、同時に“狙った一点だけを正確に風で持ち上げた”魔法の精度にも全身が震えた。
この快感とこの性能、その両方が一気に押し寄せてきて、カナタのテンションはさらに跳ね上がった。
(男なら誰もが一度は妄想した“
ピンポイントでスカートがめくれる風”の再現度が完璧すぎる……)
パンツを見て興奮。
魔法の性能を確信して興奮。
頭の中では興奮と衝撃がぐちゃぐちゃに渦巻いて、
カナタは笑いを堪えられなかった。
(……久々に感じるな生きてて楽しいって…… これが魔法……か……)
魔法、収納、チート。
全部が想像の何倍もぶっ飛んだ性能で、カナタの胸はずっと熱く跳ね続けていた。
(……やべぇ……マジで何でもできる……
こんな化け物みたいな能力、日本のときでも使えてたらな……)
嬉しさと興奮が混ざりながらも、ふと現実的な考えが浮かぶ。
(……そういえば、俺、この世界でこれからどう生きていくんだ……?
チートだけあっても、目的を決めなきゃ始まらないよな……)
脳内を巡る候補はたったひとつ。
異世界転移の王道、最もベタにして最適解──
(……やっぱ、まずは“冒険者ギルド”だよな)
そう思った“瞬間”。
──ふわぁん。
ウィンドウが自動で展開された。
【SEARCH RESULT】
▷ 冒険者ギルド サウス・アルデ支部
▷ 現在地から徒歩5分
▷ 最短ルートを表示しますか?
(おっ!? 案内までしてくれんのかよ……
いや便利すぎだろ……まさにチート……)
思わず笑いが漏れる。
(ギルドに行けば、この世界の常識とか、冒険の仕組みとかわかるはず……
よし、まずはそこを目指すか……)
表示された矢印が、道の先をすっと示して光る。
(……チート全開の俺の異世界ライフ、この世界のすべてを堪能してやる……)
期待で胸を膨らませながら、カナタは石畳の道へ一歩を踏み出した。




