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最強チートで無双してるのに、美人で可愛くてスタイル抜群な三人のヒロインから“キモいセクハラ野郎”と罵られ続ける俺の異世界冒険記  作者: トワイライト
第1章 異世界転移&チート持ち──確かにハーレムだけど、想像してたやつと全然違った件

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12/23

第12話 ハーレム計画始動。この世で一番の美女たちVS最強チート持ちの俺

 ──それから、一週間が経った。


 夜。


 サウス・アルデ・ダンジョン外周の丘は、昼とはまるで別世界のように静まり返っていた。

 地平線の向こうで魔力の粒子が淡く揺れ、星空は冗談みたいに近い。

 異世界の夜は、どこを切り取っても美しかった。


「……やっぱ、夜の空中散歩は最高だな……」


 カナタは風魔法で体をふわりと浮かせ、夜空を滑るように移動した。

 月の光を背にしてくるりと一回転。

 魔力の流れが身体に優しく触れ、まるで空気そのものがカナタにじゃれてくるかのようだ。


 浮遊、透明化、風の滑空。

 チート能力を自由に使い、異世界の夜をひとりで満喫する。


(これが異世界ライフか……。魔力も空も星も、全部俺のものみたいで……最高じゃん……)


 満足感は確かにある。

 いや、本来なら“満足しかない”はずだった。


 それでも──胸の奥に小さな穴のような感覚が残っている。


(……何か……何かが足りない……)


 丘の岩に腰を下ろし、夜風を受けながらカナタはため息をついた。

 自由、金、力。

 この三つは完全に揃っている。

 それも、この世界、いや神に匹敵するレベルで。


 なのに心が満ちきらないのは、理由が一つしかなかった。


(……女だ……どう考えても “女” が足りない……)


 ここ一週間、街では何度も絶世の美人を見かけた。


 通りを歩いていた黒髪の一般女性は息をのむほど綺麗で、

 露店で値札を書いていた金髪のお姉さんはモデルみたいで、

 夕暮れに水汲みしていた薄銀色の髪の娘は幻想的だった──

 とにかく美人率が異常に高い。


 だというのに、カナタがやったことといえば──


(風魔法でスカートをめくっただけ……俺のチート、使い道それだけ……)


 カナタは空中でズルッと崩れ落ちるように顔を覆った。

 最強のチートを持ちながら、成果が“スカートめくり”。


(……いや弱すぎるだろ……俺のハーレム行動力……チートも泣いている気がする……)


 本来の目的はもっと壮大だ。

 “この世界で最高に可愛い子たちとハーレムを作る”。

 それは魂に刻まれた、揺るぎない目標だ。


「……奴隷? いや違う。それもありかもだけど……」


 本当に欲しいのは、

 “誰もが羨む高嶺の花を、正面から落とす”

 というロマンだった。


 夜空を眺めながら、カナタは決意を固める。


(この街の最高の美女……知る必要がある……)


 風が吹き、森の木々がざわりと揺れた。

 その音を合図にするように、カナタは立ち上がる。


「……そうと決まれば、情報収集だ。こういうときは酒場に行こう」


 そう呟いた瞬間、風魔法が足元に流れ、カナタの体は軽く宙へと跳ね上がった。

 丘の上から街へ向かって滑るように飛びながら、彼は小さく笑った。


 * * *


 《アーデン酒場》。

 木製の看板に描かれたジョッキのイラストが、夜の灯りでぼんやりと浮かび上がっている。


 カナタが扉に手をかけると、

 ──ガヤガヤッ!

 中から勢いのある笑い声と酒の匂いが一気に吹き出してきた。


(……おお……これが異世界の酒場か……)


 扉を押し開ける。


 ──カラン。


 店内は思っていた以上に活気に満ちていた。

 木のテーブルにはジョッキが山のように積まれ、

 胸元の開いた女将が料理を運び、

 どこもかしこも酒と話と喧騒で溢れている。


 冒険帰りらしき男たちが肩を組んで歌い、

 商人風の男性は仲間と取引話で盛り上がり、

 若い冒険者グループは今日の戦利品を自慢し合っていた。


(ここだ……ここしかねぇ……美女情報を持ってる奴の匂いがプンプンするぜ!)


 カナタの視線は、店の奥で盛り上がっている四人組の男冒険者に向かう。

 年齢は二十代後半から三十代前半といったところ。

 壁に剣を立てかけ、酒を片手に笑いながら騒いでいる。


(あの見た目とノリ……明らかに経験豊富なタイプだな……

 年齢も雰囲気も“女の情報持ってます”って感じ全開……

 話を聞くなら、あのテーブルしかない……)


 カナタは深呼吸して、彼らのテーブルへと歩み寄った。


「ちょっといいか?」


 声をかけると、四人全員がこちらを見た。

 最初に反応したのは、髭の濃い男だ。


「ん? 兄ちゃん、どうした?」


「悪いんだけど、少し聞きたいことがあるんだ。

 その代わり……ここの会計、全部俺が持つからさ」


 その瞬間、テーブルの空気が変わる。


「……ほう? 会計持つってマジか?」


「兄ちゃん、金持ちか? いや、歓迎するぜ!」


「聞きたいことってなんだ? 女の話か? 冒険の話か?」


 酒の勢いもあって、四人は一気に上機嫌になった。

 カナタも椅子を引き寄せて、彼らの隣に腰を下ろす。


(……いい感じの雰囲気……

 異世界での情報集めといえば酒場が鉄板……これは期待できるな)


 目当ての情報──

 “この街で一番の美女”。


 カナタは真っ直ぐに男たちを見据え、口を開いた。


「教えてほしいのは一つだけ。

 ……この街で一番の“美女”って誰だ?」


 四人が一斉に、


「おおーっ! 出たな!!」


 と爆笑し、ジョッキを打ち鳴らした。


 カナタの問いに、四人の冒険者は一瞬だけ顔を見合わせ──

 すぐに全員がニヤリとした笑みを浮かべた。


「“美女”だぁ? 兄ちゃん、なかなか良い質問するじゃねぇか!」


「よし、面白ぇ! 一人ずつ言ってみるか!」


 ジョッキを掲げて盛り上がる四人。

 すでに酒が入っていることもあり、話は思いのほかスムーズだった。


「まず俺からだが……この街で一番綺麗なのは“パン屋の奥さん”だな!

 あれは反則だ! 笑顔でパン渡されたら全員落ちるわ!」


「いやいや、違うだろ。“赤い月”のミラ嬢だよ。

 あの店の看板娘は毎晩指名で席が埋まるレベルなんだぞ?」


「お前ら全然分かってねぇな……。

 この街一番の商家“ファルマ商会”の令嬢を忘れてるだろ。

 顔も家柄もトップクラスだ。あれはマジで高嶺の花だぞ」


 三者三様の意見が飛び交い、カナタは内心で“異世界美女争いの激しさ”に驚いていた。


(一般人でその美貌って……この街、完全に美人の巣窟かよ……選びたい放題だな……)


 そんなカナタの心中とは裏腹に、三人目が話を終えた瞬間──

 四人の中で一番落ち着いた雰囲気の男が、静かにジョッキをテーブルへ置いた。


「……で、だ」


 声が低く、少しだけ空気が変わる。


「本当の“この街で一番の美女”は、その三人じゃねぇ」


「お? じゃあ誰なんだよ?」


 他の三人が身を乗り出す。

 落ち着いた男は、言葉を区切ってはっきり告げた。


『月光の祈り』(げっこうのいのり)の三人だ」


 『月光の祈り』と聞いた瞬間、三人は「おおーっ!!」と一斉に身を乗り出した。


「……ああ! それは間違いねぇわ!!」


「確かに! あの三人に勝てる女なんて、この街、いやこの世の中にいねぇ!!」


「街で“本物”っつったらよ、もうアイツらしかいねぇわ!! 文句なしのトップだ!!」


 まるで決まりきった答えのように、全員が頷いた。


(……『月光の祈り』……?)


 聞き覚えのない名前に、カナタは首を傾げる。


 すると四人のうち一人が、ジョッキを置きながら説明を始めた。


「『月光の祈り』ってのは、この街じゃ有名なCランクパーティだ。

 美人三人組ってことで“月光の三姉妹”なんて呼ばれてるけどな」


「三姉妹じゃねぇけどな、全然血繋がってねぇし!」


「でも仲の良さはマジの姉妹以上だろ。あれは隙がねぇ」


 次々と情報が流れてくる。


「まず一人目はリヴィア。黒髪のスラッとした女だ。

 剣を構えてる姿がまるで絵画みてぇでな……街の男の9割は惚れてる」


「二人目はエステル。金髪の派手な魔術師だ。

 胸も態度もデカいけど、あれがまた男を惹きつけるんだよなぁ!」


「三人目はセラフィナ。銀髪のヒーラーで、神殿からスカウト来るレベルの逸材だ。

 清楚系の極みって感じで、近くにいるだけで空気が変わるぞ」


 カナタの背筋に、ぞわりと興奮が走る。


(黒髪の静……金髪の華……銀髪の清……

 これ、理想郷セット……ロマンしかねぇ……!)


 男たちの話はさらに続く。


「昔な、この街最高峰のAランクパーティの男が三人にアタックしたんだ。

 けどよ……誰一人、相手にされなかったんだとよ」


「そりゃそうだろ。あの三人、マジで隙がない。“美人無双パーティ”って噂もあるくらいだしな」


(……なるほど……これは俺が求めて高嶺の花だな。

 やべぇ……会ってみたくて仕方ねぇ!)


 ここまで聞けば、カナタの中で確信が固まった。


(……狙うなら当然そこだ。それ以外は視界に入らない……

 最高峰に挑まねぇで何がハーレムだ……何が男だ!)


 異世界最高の美人三人組。

 街で誰も手の届かない高嶺の花。


 その名は──


『月光の祈り』


 カナタの胸は、ハーレム計画の開幕を告げる鼓動で静かに高鳴っていた。


 ひと通り話を聞き終わったカナタは、軽く息をついて立ち上がった。

 テーブルの上には支払いとして貨幣を多めに置く。


「情報、ありがとう。助かったよ」


「お、おい兄ちゃん……こんなに払って大丈夫か!?」


「もちろん。これくらい安いもんだよ」


 笑って言うと、四人組は目を丸くしてから、すぐに酒場らしい陽気さを取り戻した。


「兄ちゃん、まさか……『月光の祈り』狙いか?」


「本気で行く気なのかよ!? あいつら、マジで手強いぞ!」


「街のAランクどころか、ギルドの支店長ですら寄り付けねぇレベルなんだぞ!」


「やめとけって! いや、マジで! ハート折られるぞ兄ちゃん!」


 四人が口々に止めようとするが、テンションはどこか楽しげだ。

 その顔には「無茶する若造を見るのが面白くて仕方ない」表情が滲んでいた。


 カナタは肩をすくめ、少し笑う。


「止められてもな。男なら……引くわけにはいかないだろ?」


 その一言で、四人の男たちは一瞬だけ沈黙した後──

 酒場が揺れるほどの爆笑が巻き起こった。


「はははは!! 言いやがった!!」


「いいぞ兄ちゃん! その心意気は嫌いじゃねぇ!」


「よっしゃ、応援するわ!! 玉砕したら戻ってこい、酒奢ってやる!」


「成功したらしたで英雄だ! どっちでも盛り上がるから頑張れ!!」


 見知らぬ冒険者たちから、なぜか力強い激励を受けてしまった。

 しかしその声は、カナタの背中をしっかり押してくれる。


(……ああ、悪くない……)


 カナタは軽く手を振り、酒場を後にした。


 ──ギィ……

 扉を開けて外へ出ると、冷たい夜風が頬を撫でた。

 熱気と喧騒に満ちた酒場とは対照的な、澄んだ静けさ。


 夜空には大きな月が浮かび、その下でカナタの影が長く伸びる。


(よし……決まりだ……)


 黒髪、金髪、銀髪──

 完璧すぎる三人の姿が脳裏に浮かぶ。


【月光の祈り】


 誰もが羨み、誰もが手の届かないと嘆く、街の至宝。


(狙うなら……絶対あの最強トリオだ

 最高難度に挑む瞬間が……一番興奮するもんだろ……)


 風が吹いた。

 カナタは一歩、前へ踏み出す。


「……俺の異世界ハーレム計画。ここからスタートだ」


 月光を背に受けながら、カナタは街路の先へと歩いていった。

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