第1話 後方支援(観賞)専門の俺、戦闘後の美女に見惚れて三人同時にキモがられる
Aランクダンジョン上層。
三人の美女が巨大魔物と対峙し、カナタはいつものように一番後ろで突っ立っていた。
そしてその立ち位置は、
彼女たちの“戦って動く身体”がよく見えてしまう位置でもあった。
カナタは一番先頭に立つリヴィアへ、視線をゆっくりと這わせた。
長い黒髪が、彼女のわずかな呼吸に合わせてさらりと揺れる。
黒髪の隙間から見えるうなじの細さに、思わず喉が鳴りそうになる。
視線を下へ。
鍛え抜かれた細腰。
無駄のない背筋のライン。
その下に続く、革鎧ごしに浮かぶ丸みの強いヒップの輪郭──。
(……くぅ……剣士のくせに、なんでこんなに形いいんだよ……)
さらに太もも。
引き締まりながら女性的な張りを残したラインに、カナタはほんの一瞬、呼吸を止めた。
(足長すぎだろ……いや、全部完璧か……?)
堪能しすぎたと気づき、慌てて次のターゲットへ視線を逸らす。
次に、ひとつ横へ。
金髪を揺らすエステルの背中。
(あ、やべ……こっちはまた別ベクトルで強すぎる……)
ローブ越しでも隠しきれない、暴力的な胸の主張。
立つたびに布地がゆらりと動き、その下の形状を強調してしまう。
視線は自然と腰のくびれへ流れる。
そこから続くのは、柔らかそうな丸いヒップライン。
ローブの布越しでも想像できる肉感に、カナタの指先がむず痒くなる。
(くびれからの……このヒップ……いや反則だろ……)
金髪は魔力の余韻でふんわりと広がり、
その光沢が彼女の色気をさらに加速させていた。
(うお……後ろ姿だけで完結してる……)
呼吸が乱れるほど見入ってしまい、
カナタは“これはヤバい”と無理やり視線を動かした。
最後に、三人目へ視線を滑らせる。
セラフィナの白い法衣は、清楚な雰囲気をまといながら、
それでも隠しきれない女性としての曲線を映し出していた。
カナタは喉の奥で小さく息を呑む。
(……控えめそうで、一番ヤバい……)
細い腰。
そこから後ろにかけて、自然で柔らかなふくらみが続く。
露骨ではないのに、**“布の奥を想像させる危険なライン”**だ。
銀髪は背中を滑り、微かな光を拾ってエレガントに輝く。
視線を少し下げれば、腰からヒップへ流れる曲線が、静かな清楚を逆に煽情的に見せてくる。
(この布……絶妙に薄いんだよな……ほんのりライン見えるの反則すぎる……)
気づけば、カナタは完全に“観賞者の目”になっていた。
巨大なオーガロードが吠え、
地面が揺れるほどの巨体で迫る。
三人は臆せず迎え撃つ。
リヴィアの黒髪が鋭く跳ね、剣が一閃。
空気が裂け、オーガロードの外殻が斜めに切り飛ぶ。
踏み込みの瞬間、鍛えられた太ももが締まり、
革鎧のラインが一瞬だけ色気を増す。
(攻撃よりスタイルのほうに目が行くんだけど……大丈夫?)
「燃え尽きなさい──!」
金髪が舞い上がり、
膨張した火球が轟音とともに炸裂。
逆流した熱風でローブの裾がふわりと浮き、
腰から太ももへかけてのラインが一瞬露わになる。
(今の一瞬……完全に見えた……足ラインやば……)
紅潮したエステルの顔も、戦闘の高揚と色気で危険だった。
「聖光障壁」
リヴィアの動きを完璧に補助。
「弱体縛鎖」
オーガロードの動きが鈍り──
セラフィナが一歩踏み出すたび、
白法衣と銀髪が柔らかく揺れて視線が吸い寄せられる。
(おい……清楚担当まで色気出して攻めてきてるぞ……!)
三人の連携により、オーガロードはあっさりと沈んだ。
ダンジョンに再び静寂が戻る。
その静けさの中で、三人がゆっくりとカナタのほうへ振り向いた。
空気が変わった。
戦闘中とは別の意味で、背筋に電流が走る。
リヴィアが、小さく息を整えながら顔を上げる。
黒髪は戦闘の衝撃で乱れ、
汗で頬に貼り付き、うなじにかかる数本がしっとりと濡れていた。
無表情を保とうとしているが、
呼吸が深いため、胸元の軽装鎧がかすかに上下している。
彼女が一歩だけ前に出た瞬間、
腰回りの革鎧がきゅっと締まり、
腹部から腰にかけてのラインが汗で薄く光り、
斬撃で使った筋肉の動きがわずかに見えた。
その“キレイさと力強さが混ざった後姿の正面版”は、
普段の彼女よりよほど色気があった。
(いや……これは無表情の暴力……美人すぎるだろ……)
エステルは、爆炎の名残でまだ身体が熱を帯びているのか、
胸元が大きく上下し、呼吸のたびローブの合わせ目がわずかに開いてしまう。
その隙間から、
“見えすぎないのに想像を煽る”谷間が一瞬のぞく。
金髪は爆風で乱れて、
数本が頬にかかり、
魔力の余韻でほんのり赤みを帯びた頬の上に貼り付く。
乱れた髪の隙間から覗く紅潮した瞳は、
戦闘の高揚と色気が半々に混ざったような危うさを持っていた。
彼女が、少し肩を落としながら息をつくたび、
胸元・腰・太もものラインがローブ越しに滑らかに形を変える。
(……爆炎より破壊力あるんじゃねぇか、この色気)
セラフィナは、一見すると静かだが──
近くで見ると、とんでもない色気があった。
銀髪は戦闘の動きで無造作に乱れ、
数本が頬へとかかり、
白く透ける肌にそっと触れながら揺れている。
汗が鎖骨から胸元へ細い線を描き、
白い法衣の薄布がその軌跡に合わせてわずかに張りついた。
息づかいは控えめだが、
肩で呼吸するたび、
胸から腰にかけての柔らかなラインが“清楚なのに妙に艶めく”形になる。
法衣の裾が揺れ、
足元の動作で生まれるラインは上品すぎて逆に刺激的だった。
(……なんだこれ、清楚の皮かぶった色気モンスターか?)
リヴィアの黒い瞳が細くなり、眉間にわずかな皺だけが刻まれる。
静かな表情なのに、拒絶の温度だけがはっきり落ちた。
「……その目、やめて。本当に気持ち悪いから」
エステルは肩をすくめて一歩引き、目を大きく見開いたまま口元が引きつる。
怒りと嫌悪が混ざった“近寄るな”の顔だった。
「ちょっと!! ガン見すんなバカ!! キモいのよ!!」
セラフィナは眉が寄り、伏せた瞳に明確な距離感が宿る。
丁寧な態度のまま、表情だけが冷たく拒む。
「本当にやめてください……浄化したいくらいです」
三人の反応にまったく動じず、むしろ嬉しそうに口元を緩める。
「いやぁ………ごちそうさま……」
「「「キモッ!!!」」」
三人が同時に距離を取るように一歩引き、
一瞬だけ嫌悪の沈黙が落ちた。
そしてリヴィアが、冷えた声で日常モードに戻る。
「……で? もういいでしょ。
ずっとジロジロ見てないで早くドロップアイテムの回収、やって。あんたの仕事、それだけでしょ」
カナタは気の抜けた声で返す。
「へいへいっと」
指を軽く鳴らした瞬間、
散らばっていた素材と魔石が 一斉に光に変わり、
吸い込まれるようにカナタの収納へと転移した。
温度も魔力も揺れも、一切感じさせない完璧すぎる転移。
「……またそれ!? ちょっとさぁ!!
毎回毎回、意味不明なスキルで回収すんの腹立つんだけど!!」
眉をきゅっと寄せ、唇をへの字にしてこちらを睨んでいた。
納得できないと言わんばかりの、そのむくれた表情が可愛く見える。
魔力を込めてないのは分かっているからこそ、余計にイラつくタイプ。
「魔力量の変動が……やはりまったくありません。
それに詠唱の気配すら感じられない……。
どういう理屈で動いているのか、本当に理解が追いつきませんね」
眉を寄せ、神妙な顔で素材が消えた跡を見つめる。
「才能? 神様がくれたやつ? まぁ、多分ね」
へらへらと笑う。
「「「……なんで“あんた”なんかに……」」」
素材を回収し終えると、三人はさっさと帰路に就いた。
ダンジョンの出口へ向かう途中──
四人の足音だけが静かに響く。
三人は前を歩き、カナタは後ろを歩く。
自然と視界に入るのは、
剣士リヴィアの引き締まった腰のライン、
魔法使いエステルの揺れやすいローブ越しの曲線、
ヒーラー・セラフィナの清楚な白のシルエット。
(……いやぁ……帰り道も最高だな……)
カナタが遠慮なく“堪能”していると──
前を歩くエステルが、ピタッと足を止めた。
「ねぇ、ちょっと。
アンタ、こっそり見てるつもり?」
リヴィアも冷えた声で続く。
「……気づかれてないと思ってるなら、相当バカね」
セラフィナがため息を混ぜて振り返る。
「その視線……歩いていても分かります。やめてください」
カナタは、とぼけたように眉を上げた。
「え? 俺そんなに見てた? 気のせいじゃ……?」
三人の表情が一瞬で険しくなる。
エステルが、一歩こちらに詰め寄って怒鳴る。
「気のせいなわけないでしょ!! 気持ち悪い視線が背中に刺さってんのよ!!」
セラフィナも静かに刺すように言う。
「前を歩いてください。わたしたちの背中に視線を向けないで」
リヴィアが短く冷たく言い放った。
「……いいから。前、行って」
カナタは惜しそうに肩を落としながら、しぶしぶ三人の前へ出る。
「後ろからは見られないけど……俺の背中を見られると思うと割とアリ……?」
その瞬間、三人の声が揃った。
「「「キモッ!!!」」」
ダンジョンの静寂に、その一言だけが綺麗に響いた。




