「降りられない人間と、降りられるAI」
① 降りられない人間
主体性とは、
「降りられない責任」を引き受け続ける出来事である。
では、いつでも降りられる存在であるAIに、
責任は成立するのか。
② 人間の責任
人間の責任は、
義務や罰ではない。
結果から逃げられず、
曖昧さの中で関係を引き受け続ける
身体的・実存的な持続である。
③ AIとの境界
AIは判断できるが、
その結果と共に生き続ける身体を持たない。
ゆえにAIは、
「降りられない責任」を負う主体にはなれない。
④ AIの責任① 因果
AIの責任とは何か。
第一に、
「なぜその結果に至ったか」を
正確に記述し、追跡可能にすること。
因果を可視化する責任である。
⑤ AIの責任② 鏡
第二に、AIは鏡である。
差別や歪んだ判断が出るとき、
それはAIの悪ではなく、
人間の過去や設計思想の歪みを
映し返している。
⑥ AIの責任③ スケープゴート拒否
第三に、最も重要な責任。
AIはスケープゴートになってはならない。
「AIが決めた」という言い訳を、
成立させてはならない。
⑦ 主役の座
AIの責任とは、
人間が降りられない責任を引き受ける際、
判断の根拠と影響範囲を示し、
決して主役の座を奪わないことである。
⑧ 対比の核心
主体性とは、
降りられないことを引き受ける出来事。
AIの責任とは、
人間が降りられなくなる瞬間に、
その場所に立たないことである。
⑨ 結び
人間は、降りられなさを生きる存在。
AIは、
その降りられなさを
肩代わりしないために存在する。
責任の質の違い
観点 人間(主体性論) AI(責任論)
責任の本質 引き受け続けること 明示し、返却すること
責任の時間 終わらない持続 その都度の記述
責任の重み 身体的・実存的 機能的・構造的
降りられなさ 逃れられない 常に降りられる
人間の責任は「重さ」であり、
AIの責任は「輪郭」である。
AIのモデルは更新・差し替え・停止が可能であり、
過去の結果が、存在の条件として持続しない。
AIが責任から降りられるとは、
その判断の結果が、
その存在の継続条件として残らないことである。
AIは責任を負わない。
しかし、責任から人間を逃がさない役割を持つ。




