私たち、大好きなんです。
佐藤華:どこにでもいる平凡な女子高校生。2年1組。いつもポニーテールをしていて身長は少し低め。部活は家庭調理部。成績も運動もまあまあ。なぜか亮太のことが気になっている。少女漫画をたくさん読んでいてロマンティックな展開をいつも期待している。
鈴木亮太:どこにでもいる平凡な男子高校生。2年1組。短髪で中肉中背の体格。部活はバスケ部だが、ベンチを温めている。成績も運動もまあまあ。
高橋優香:華の小学生からの幼馴染で親友。同じクラス。成績優秀だが、運動は苦手。部活は吹奏楽部。
田中遥人:亮太の小学生からの幼馴染で親友。同じクラス。運動は学年でもトップクラスだが、勉強は苦手。部活は野球部。
「修学旅行お疲れ様でした!頑張った自分と頑張ったみんなに…かんぱーい!!!」
優香が乾杯の音頭を取り、私と亮太くん、田中くんも後に続いてグラスを上に挙げた。
(やばいやばい…!!!図書館でのことがずーっと頭にちらついてニヤニヤしちゃうんだけど…!しかも、隣に亮太くん座ってるし!亮太くんはなんでそんなに落ち着いていられるの?私なんて心臓飛び出てきそうで大変なんだよ…!)
私がオレンジジュースを一気飲みすると、田中くんが驚いたように私を見た。
「佐藤さん、そんなに喉カラカラだったの?もしかして待ち合わせの場所まで走ってきた?」
「え?…い、いやいや!全然そんなことないよ!私はいつも余裕を持って行動してるから、今日も変わらずいつも通りの行動をしてたよ、うんうん。」
私の変な日本語に優香と田中くんは顔を見合わせた。いかにも何か疑っているような、そんな表情だ。
(まずい…今のはやらかしちゃったか!?私ほんとに普通じゃない…!どうしよう…。)
私がひきつった笑顔を作っていると、亮太くんが静かに口を開いた。
「俺と佐藤さん、お付き合いすることになったんだ。」
(……え!?)
優香と田中くんはただただ唖然として亮太くんを見つめる。私も目を丸くして亮太くんの方を向いた。
「急にごめん。でも、仲が良い2人にはちゃんと伝えておきたくて。それに、佐藤さん…なんか変だし。」
「へ…変!?私が!?」
思わず叫ぶと、亮太くんは何度もうなずいて見せた。すると、優香が私にこれでもかと近づいてきてキラキラと目を輝かせた。
「ほんとに!?2人とも両想いだったのかー!良かったじゃん!」
「そうなんだ!亮太、ちゃんと伝えられたんだな。本当の気持ち。」
田中くんも安心したように亮太くんを見つめた。亮太くんは頭を掻いて頬を赤らめる。
「佐藤さんのこと、幸せにしろよ?そうしないと、僕が許さないからね?」
「うん…それはその…もちろんだよ。」
(亮太くん…めっちゃ照れてて可愛すぎる…!ああ…本当に信じられないけど、今日のことは現実なんだよね…?毎日心臓が持たなそうだなぁ…。)
私がニコニコしながら亮太くんを見ていると、優香が「相当好きなんだねえ!」と肘でツンツンしてきた。私は完熟トマトみたいに赤面するしかない。
「いつからなの?いつから付き合い始めたの?」
優香がグラスを片手にさらに質問を続ける。
「今日…からかな。」
亮太くんがボソッと呟くと、優香と田中くんは「えー!!!」と同時に叫んだ。私は慌てて午前中のことを簡潔に説明した。
「それってさ、少女漫画の展開じゃん!本当にすごいね、華。いつからそんな行動派になったの?」
優香が興奮しながら言うので、私は「恥ずかしいからやめてよ。」と顔を背けた。
「変装してたからびっくりしたけど。」
亮太くんがいたずらっぽく笑う。
「わざわざ変装したの?佐藤さん。」
田中くんが笑いを堪えて言うので、私は両手で顔を覆った。
「だって…バレたら大変だと思ったし、恥ずかしいし…。昨日の夜、全然眠れなくて。」
「なんで?不安だったの、華?」
優香の言葉に私は小さくうなずいた。優香と田中くんは目を合わせてニヤニヤし始める。
「もうー!亮太くんのこと、すっごい好きじゃん。亮太くんが小川さんと2人きりになるのが気がかりで仕方なかったんだねえ。」
「恋する乙女だね。亮太のことで頭がいっぱいで、それで眠れなかったんだ。」
私がちらっと亮太くんを見ると、彼は何かに気付いたように私の方を向いた。
「あ、そういうことか…!俺と小川さんが2人になるのが不安だったってことか。」
「え?今さら!?それの他に何が不安なのよ。」
優香がテンポよくツッコむと、亮太くんは至って真剣な表情で呟いた。
「変装が上手くできるかどうかが不安だったのかなって。」
その瞬間、田中くんが亮太くんの頭にげんこつした。亮太くんは頭を手で押さえて田中くんを見つめる。
「そういうところだぞ、亮太!ちゃんと乙女心を汲み取れるようにならないとダメだって。佐藤さんは亮太のことで一晩中悩んでたんだからさ。」
「あ…はい。」
亮太くんが素直に返事をしたので、優香と田中くんは思わず吹き出した。私はうっとりした表情で亮太くんを見つめてしまう。
(はいって返事するのめちゃくちゃ反則だよ…。ほんっっとに可愛いな、亮太くん。)
「あー!オレンジジュース、なくなっちゃった!買いに行かないと!田中くん、行こう!」
優香が突然立ち上がって田中くんの腕を引っ張った。田中くんも「よし、行ってきます!」と立ち上がった。私と亮太くんは何も言えないまま、ドタバタと部屋を出て行ってしまった。
(ちょっと待って!なんで2人にするの!?これ以上亮太くんと一緒にいたら…私、本当におかしくなっちゃうかもしれない…。この状況…何とかしなければ!)
私は大きく深呼吸をして、それからゆっくりと口を開いた。
「あの…私も2人のこと手伝いに行こうかなって…。」
すると、亮太くんは肩を落としてあからさまにしゅんとしたのだ。私は慌てて首を横に振る。
「うそうそうそ!冗談、冗談だよ!そんな…悲しい顔しないでよ。」
「うん。2人でいられてすごく嬉しいよ。」
亮太くんはすぐに笑顔に戻ってくれた。私が安心すると、亮太くんは私の方にもっと近づいて座った。
「ど…どうしたの?何か…顔についてるかな?」
私がしどろもどろに言うと、亮太くんはいたずらっぽい笑顔を浮かべた。
「そうだな…うん、ついてるかもね。」
「え…?どこ…?」
亮太くんは私の頬に優しく手を当てた。キョトンとして彼を見ると、彼は頬を赤くしてボソッと呟いた。
「めっちゃ…可愛いな…。」
(ちょっと待って、やばすぎる…!私のこと可愛いって…亮太くんそう言った!?)
私が目を反らすと、亮太くんはもう片方の手も私の頬に当て、ニッコリと微笑んだ。
「昨日は眠れなくなるほど不安にさせてごめん。もうそんなことしないから。」
「うん…。」
(この流れって…も、もしかしてキス!?いやいやいや、さっき付き合い始めたばっかりなのに!?そ、そんな…まさか、亮太くんがそんなことするわけ…。)
いつの間にか亮太くんの顔が目の前にあった。私が反射的に目をつぶると、亮太くんはゆっくりと私に口付けをした。頭の中が一気に真っ白になる。
「なんていうか…これで許してもらえるかな…?」
亮太くんは素早く顔を離して目を泳がせる。私は思わず彼の手を取って大きくうなずいた。
「うん…!ありがとう、亮太くん。」
顔を真っ赤にした亮太くんを、私はぎゅっと抱きしめるのだった。
完
今まで楽しんでいただきありがとうございました!
もしかしたら続編があるかもしれないし、ないかもしれませんが(笑)。今後ともご愛読いただけたらとっても嬉しいです♪
華ちゃんと亮太くんも末永くお幸せに(^▽^)/




