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私たち、惜しい2人です。  作者: みもざちゃん


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18/20

私たち、気付いたんです。(3)

佐藤華さとうはな:どこにでもいる平凡な女子高校生。2年1組。いつもポニーテールをしていて身長は少し低め。部活は家庭調理部。成績も運動もまあまあ。なぜか亮太のことが気になっている。少女漫画をたくさん読んでいてロマンティックな展開をいつも期待している。

鈴木亮太すずきりょうた:どこにでもいる平凡な男子高校生。2年1組。短髪で中肉中背の体格。部活はバスケ部だが、ベンチを温めている。成績も運動もまあまあ。

高橋優香たかはしゆうか:華の小学生からの幼馴染で親友。同じクラス。成績優秀だが、運動は苦手。部活は吹奏楽部。

田中遥人すずきはると:亮太の小学生からの幼馴染で親友。同じクラス。運動は学年でもトップクラスだが、勉強は苦手。部活は野球部。

立石直哉たていしなおや:クラスのムードメーカー。お調子者男子軍団のリーダー的存在。

小川茜おがわあかね:クラスの1軍女子グループのリーダー。見た目は可愛くてモデルのようだが、性格があまり良くない。

渡辺先生:2年1組の担任の先生。新人でもベテランでもない男性教師。

「ごめん…ほんとにごめんね、田中くん。」

それから私ははっきりした声で言った。

「私、良いよって言えないんだ。だって、私には他に…他にいるの、私の隣にいてほしい人が。」

手の震えと胸の鼓動を感じながら、私は覚悟を決めて田中くんの前に立っていたのだった。


田中くんは一瞬黙り込んだが、私から一度も目を離さずに小さくうなずいた。

「そっか。佐藤さん、諦めないでね。」

「田中くん…。」

私がまた謝ろうとすると、彼はニコッと微笑みかけた。

「佐藤さんに何かあったらすぐに飛んでくよ。僕は佐藤さんのこと、いつでも応援してるからさ。」

(こんなに優しいのに、私は田中くんの気持ちに応えられなくて。でも…でも今は、申し訳ない気持ちより感謝の気持ちで胸がいっぱいだよ。)

じわじわと涙が溜まってくると、後ろから優香の声が聞こえてきた。

「ねね、私たち4人で並ぼうよ!あれ?亮太くんは?」

私と田中くんも周りをきょろきょろするが、亮太くんの姿が見えない。

「じゃあ、写真撮りますよ。みなさん、前向いて顔出してください。」

(やばい!もう先生カメラ構えちゃってる…。亮太くん、どこにいるんだろう?トイレ?いやあ、このタイミングで行かないよね。)

私がふと後ろに目をやると、そこには1人でしゃがみ込んでいる人がいた。

(え…?亮太くん!?)

肩を叩くと、彼はゆっくりと顔を上げる。やっぱり亮太くんだった。

「亮太くん…体調悪いの?大丈夫?」

「ううん、写真映るの嫌だなって考えてただけだよ。」

亮太くんは苦い顔をしながらゆっくり立ち上がった。

「亮太くん、後ろにいたの!?迷子になっちゃったと思って心配したよ。」

優香が亮太くんの肩を強めに叩いた。田中くんは「そういえば亮太、写真撮られるの結構苦手なんだよね。」と心配そうに亮太くんを見た。

「そこの4人!ブレちゃうから動かないで、しっかり並んでください!」

先生に言われて、私たちは慌てて前を向いた。私が隣にいる亮太くんをちらっと見ると、彼も私の方を向いてきた。その瞬間、カシャ!とシャッター音が鳴った。

(え!?ちょっと待って、ちょうど見つめ合ってるところを写真撮られちゃったんじゃない!?やばいやばい…!これは削除してもらわないとやばいって!)

「よし、オッケーです。じゃあ、解散!」

渡辺先生の指示でクラスのみんなは一気に帰っていった。私が赤面していると、亮太くんが静かに笑い出した。

「なんか、写真撮られるのが面白かったの…初めてだよ。」

亮太くんの楽しそうな顔が眩しかった。私も思わず笑顔になる。

「みんな、帰ろうか。今日はゆっくり休もうね。」

田中くんが荷物を持って言うと、優香は何か思い出したように口を開いた。

「あ!明日は午後1時に私の家に集合ね!打ち上げ、打ち上げ!」

「優香のお家…お邪魔していいの?」

「大丈夫だよ、華。こじんまりした家だけど、4人が入れるスペースはあるし、親も仕事でいないから。華は私の家知ってるから、3人で一緒に来なよ。」

私たちは彼女にお礼を言って、それから各々家に帰っていった。


私は早朝に目覚めてしまった。実は昨日の夜からずっと眠れなかったのだ。

(小川さんと亮太くんが2人きりでいるなんて、本当はすっごく嫌なのに私に止める権利なんてないんだもんね…。だって私は…亮太くんにとって…ただの友達だもんね。)

私は1人で大きく首を横に振って布団に潜り込んだ。

(ダメダメ!これ以上考えるのやめないと…。悪いことしか思い浮かばないし。)

それでもやっぱり眠れなかった。私は起き上がり、窓のカーテンを引いてまだ薄暗い空を眺めた。

(本当に…図書館で2人きりにして良いのかな…。私の本当の気持ちは…?)

胸がロープできつく締め付けられているかのように苦しくて堪らなかった。小川さんと亮太くんが2人で笑いながら一緒にいる姿が頭に浮かんでくる。私は小さくため息をついてもう一度布団に戻った。

(図書館に行って遠くから見てるのはどう?そうすれば、2人のことは邪魔しないし、私の気になる気持ちも収まるかもしれない…。ただ遠くから眺めるだけならいいよね?)

私は1人で納得して、ようやく眠りにつくことができた。


窓から太陽の光が差し込んで、私はハッと目を覚ました。

あわてて時計を見ると…もう10時ではないか!私は大急ぎで着替えをして髪もとかして、小さなバックも手に持って家を出た。

(どうしよう、昨日なかなか寝れなかったからめっちゃ寝坊しちゃった!もう2人は図書館にいるって言うのに!早く…早く行かないと!!!)

私は猛スピードで駅まで向かった。信号が赤になり、一瞬息を整えて、また走り出す。普通に歩けば20分かかるが、10分ほどで図書館に着くことができた。肩で息をしながら私は変装用に持ってきた伊達メガネとマスクを付けた。

(はあ、めっちゃ走った…。来たのはいいものの、2人がどこにいるかなんて分かるかな?自習スペースにいるんだろうけど、席がいっぱいあるし。)

私が図書館に入ったその時、亮太くんと小川さんらしき2人が横並びになってこちらに歩いてくるのが見えた。私は慌てて本棚に身をひそめる。

「私っていつも意地悪してるイメージあるでしょ?」

小川さんの声がはっきり聞こえてきた。亮太くんが「まあね。」とうなずくと、彼女はまた話を続けた。

「でも、実際は違うの。私って本当は佐藤さんが好きなの。尊敬してるのよ。」

(そ…尊敬!?そんなの真っ赤な嘘だよ!亮太くん、絶対に騙されちゃダメ!)

私は声を出しそうになってぐっと堪えた。小川さんの話はまだ続く。

「亮太くんには、私のことどうしても勘違いしてほしくなくて伝えたの。分かってほしかった。私は佐藤さんと仲良くしたいって。でも、佐藤さんが私と距離を置きたがるからすごく困るの。なんか偉そうに話してきたりして、私の方こそいじめられてるのよ。」

「佐藤さんに…小川さんが?」

亮太くんが驚いたような声を出すと、小川さんは何度もうなずいた。

「そうなの!いきなり睨んできたり、ボソッと悪口言ってきたり。ひどいよね?」

私はただただ唖然としてしまった。彼女が根も葉もない事実を簡単に並べていく様子がとても恐ろしく感じてならなかった。

「ひどいなぁ…そんなの。」

亮太くんが彼女に共感している声が聞こえた。私はさらに心がズタボロになっていくのを感じる。

(亮太くん…なんで小川さんのこと信じるの?私がそんなことしてないって、そう思ってくれないの?やっぱり…やっぱり亮太くんには別に好きな人がいるんだね…。)

「本当にめっちゃひどいでしょ?だから亮太くんもあんまり関わらない方が身のためだよ?これからは、私と一緒にいて。もっと亮太くんのことを知りたいの。」

小川さんは亮太くんの頬を触って上目遣いしている。彼女は可愛らしい笑顔を浮かべて彼を壁まで追いやった。私は思わず目を背けてしまった。

(ひどい…なんであんな嘘つくの!?私の方こそひどいことされてるのに、どうしてこんなこと言われないといけないの…!)

「俺がひどいって言ってるのは…小川さんのことだよ。」

亮太くんのはっきりした声が聞こえた。私はゆっくりと2人の方に目線を向ける。

「え…?亮太くん、どういうこと?」

「佐藤さんがそんなことするわけないんだ。俺には分かるんだよ、佐藤さんのことが。」

(亮太くん…。)

私の胸の鼓動が一気に高まっていく。小川さんは亮太くんの頬から手を放して彼に叫んだ。

「なんでそんなにあいつのことしか目に入らないわけ?あんなに地味な女のどこがいいの?ただの友達のくせに、付き合ってもないくせに!!!」

「ただの友達…ではないかな。」

小川さんがこんなに怒鳴っているのに、亮太くんは全く動じずに口を開く。

「少なくとも俺にとっては、ただの友達じゃないよ。」

「じゃあ何?好きなの?彼女にしたいってこと?告白したって、どうせ振られるだろうけどね。それなら私の方に来た方がいいじゃない!!!」

「たしかに俺には自信がない。でも、勝手に決めつけないでほしい。」

亮太くんの言葉に小川さんは何も言えなくなった。彼女は「もういい!」と言い残して、図書館の出口に歩いて行った。

(亮太くん…私も…私もだよ。)

私の身体は勝手に亮太くんの方へ向かっていた。亮太くんはしばらくボーっとしていたが、近づいてくるメガネとマスクの人に気付いて、驚いた表情をした。

「ん…?もしかして…佐藤さん?」

私は何度もうなずいて、思わず彼に抱き付いた。

「ごめん…本当にごめんね、亮太くん。私、こっそり見ちゃってたんだ。」

「俺と…小川さんの会話?」

亮太くんが私の耳元で聞いてきた。私はあまりに恥ずかしくて顔を上げることができない。

「だって…不安だったんだもん。なんか…2人きりなの、嫌だったんだもん。」

ようやく顔を上げると、亮太くんが頬を真っ赤にしているのに気づいた。

「実は私にも思えないの、亮太くんがただの友達だって。だから今日もこうやって勝手に来ちゃってるし…。」

「佐藤さん。」

亮太くんが私の伊達メガネとマスクを優しく外し、まっすぐな目で私を見つめた。

「俺、佐藤さんのことが好きだ。」

「…え!?」

私の目に涙が溜まってくる。亮太くんは私のことを優しく抱きしめた。

(待って…これって現実!?今、亮太くん…好きって言った!?本当に言ったの!?言ったんだよね!?)

頭の中が混乱していると、亮太くんは腕に強く力を入れた。

「きっと俺…好きだったんだ、ずっと。去年のクラスの時も俺が困ってるといつも助けてくれて。人のために一生懸命色々なことをやる佐藤さんの姿に惚れてたんだ。でも…勇気も自信もなくて言えなかった。好きって気持ちを隠してたんだ。」

(どうしよう、私…幸せすぎて頭が真っ白になりそうだよ…。)

私も亮太くんのことをぎゅっと抱きしめた。私は微笑んでゆっくりと口を開いた。

「私も…私も亮太くんのことが好きだよ。」


つづく

いよいよ次回が最終話です!ぜひご覧ください♬

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