第7話「仲間」
「早く子供を返しなさいよ!!」
学校の前で街の住民たちは騒いでると兵士とセイヌがかけつけた。
「お静かにしてください」
数人の保護者を相手に兵士は今の騒動を抑えようとする。
「先生方が悪いんでしょう、いつまで経っても子供を帰さないから」
「私たちはちゃんと下校時刻に帰しています」
次にセイヌはそう言った。
だが保護者たちは納得しない。
「じゃあ何で子供は帰ってこないのよ」
「それは分からなくて現在調査中です」
「調査中ばかりでウンザリ、もっとまともな先生で学校はないのかしら」
そう言うと保護者たちは少しずつ帰っていった。
残された兵士とセイヌは保護者たちの後ろ姿を見送っていた。
「セイヌ様、私は他の班と共に子供の行方を調べてきます」
「頼む、私も自分なりに調査してみる」
「はっ」
お互いに話が付くと二人は学校の前から離れた。
その頃、サリア姫はスースーと寝息を立てて寝ていた。
時折、医務室の前の通路で兵士たちが訓練のために走る音が聞こえていた。
それはとても耳障りの音でサリア姫は寝がえりを打つ。
「ん~……」
寝がえりを打っても生きてる者の音は確かなものでとても困惑していた。
すると、ガチャとドアを閉める音が聞こえた。
誰かが入ってきたのかとサリア姫は寝ているフリをする。
兵士であれば鎧のガチャガチャ音が聞こえるがそれは聞こえてこない。
となると、セイヌか、医務室の先生かと思ってると突然耳元に声が聞こえた。
「お姉ちゃん、大好き」
あまりの驚きにサリア姫は起きてしまった。
「な、何ですの!?」
囁かれた耳元を自分の手で押さえると、そこには見覚えのある女の子が目の前にいた。
「イエーイ」
あまりにもテンションが高くサリア姫はその子を落ち着かせようとする。
「ちょっと少しは落ち着きなさい、まず、あなたのことなんですけれど」
サリア姫は目の前の子をどこで見たかを考える。
テンションが高く落ち着きのなさ。
そして、自分の足元に存在してる小さいモンスターの数々。
これはと思った時にはセイヌがやってきた。
「リネル! どうしてここに、お前は地下牢に閉じ込めてたはず」
リネルと呼ばれた女の子は昨夜サリア姫を襲った本人であった。
「この子たちが鍵を開けてくれた」
そう言い示した物は足元にいた小さいモンスターであった。
それはサリア姫と戦闘した際に剣へと変えていた。
「この子たち色々な物に変身出来るの」
先程の剣からフォーク、そして、リネルが閉じ込められていた地下牢の鍵まで変身する。
それを見たセイヌは頭を抱えとりあえず本題に入る。
「リネル、お前の目的を教えてくれないか?どうしてサリア姫を嫁候補にする」
え~、と、とても面倒な態度を見せたがしぶしぶと話を続ける。
「私は魔物の娘なの、ん?それじゃあおかしいか、あれ、でも魔物の娘なのは確か!うん、絶対」
突然の発言にサリア姫とセイヌは驚いていた。
そこにセイヌは問い詰めてみる。
「魔物って昨夜倒した奴のことか?」
「えーーーっ!? お父さん倒しちゃったの?!」
「あれがリネルの父親だったのか、申し訳ないことをした!」
頭を下げセイヌは謝る。
「まぁ、ちょっと年を取ってよぼよぼだったから無理もないか」
リネルは少し目線を落とす。
「それでリネルの父親が魔物ということにどうしてサリア姫の嫁候補になるんだ?」
話を本題に戻そうとセイヌは聞いた。
「単純に言うとお父さんの好きな人がサリア姫だったから」
「…サリア姫、これから」
「待て待て待て、私の話をちゃんと聞け―」
「だから何だというのだ、もっと正確に」
「仕方ない。ここはネルビシア王国だろ? その左右の国はどこだか知ってるよな?」
「キャヘル王国とデントルプ王国だ」
「うんうん、私はキャヘル王国から来た。ちょっとおかしいかもしれないけどキャヘル王国の王でありお父さんはお前が倒した魔物であったのだ。その王妃は人間でありお母さんでもあるホライ王妃ということだ」
サリア姫とセイヌは真面目に聞いている。
「私はお母さんから言われたんだ、人間である男性ではなくて女性を愛しなさいって。男性は結婚すると戦いがメインになってすぐにいなくなってしまう。だから」
「そういうことか。ん? なら別にサリア姫でなくてもいいはず」
「私は戦闘力だけはある、その力でサリア姫を守ったほうがいいだろ?」
アイコンタクトで目をぱちっとさせてリネルはサリア姫を見た。
「うむ、まあ仕方ない。今後サリア姫に敵意を向けなければ許すことにしよう」
「やった! よろしくね、サリア姫」
リネルはサリア姫の手をぎゅっとした。
サリア姫は苦笑いをしその横でセイヌはやれやれといった感じであった。
前回の更新からだいぶ日にちが空いてしまいました。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは。