57 再びの誘い
ユーロチャレンジ決勝レースに玲愛、恵令奈、望月が出撃して行く。
ポールシッターの玲愛は、「ラリーに一緒に出よう」と小岩剣を誘った。
レースが始まった。
だが、あっけない物だ。
そもそも、玲愛、恵令奈レベルの奴が出る方が間違いと言う結果だ。
これでは白ける。
望月側は順位こそ10番手付近をウロウロしていたが、あちらこちらでバトルを繰り広げた上で8番手。順位は低いがバトルを繰り広げた事で大盛り上がりだ。
「会ったことあるか?ナガトさんに。」
と言う三条神流に頷く小岩剣。
「あの人はこう言っていた。「スピードを上げれば、速くなればなるほどに、孤独になっていく。孤独になれば、クソみてえな噂流す奴等もハエやゴキブリのように沸いてくる。スピードを上げれば、周囲は徐々にそのスピードに付いていく事が出来なくなり、気が付いたら周りには誰も居ないって事はよくある話だ。そして、付いて行けず脱落した奴等は、自分の腕の無さ技量の無さを棚に上げ、僻みから、変な噂を流す。」ってね。アヤと恵令奈、日奈子、玲愛だって、以前は両毛連合とは仲が良かったのだが、三人姉妹はレーサーで、あまりにも速くて追い付けず、アヤも加賀美もスピードが上がって行って追い付けなくなり、そこへ、アヤと恵令奈がラブホに入ったのを見たって奴が、そういう噂を流したんだ。」
「あの、両毛連合の人はライセンスを持っていて、レースに出た上で、批判したり、噂話流したりしているのでは無いのですか?」
「あいつらは、口だけ達者なトーシロだよ悪いけど。ライセンスなんか持って無いし、レースなんか、妄想でしかやって無いよ。」
「-。」
「じゃあ、行ってくる。」
三条神流と松田彩香が「86/BRZサーキットチャレンジ」に出撃するのを見送る。
この後はドリフト、グリップ走行会を1本ずつ挟んで、パレードランだ。このパレードランで小岩剣も走る。
ちなみにパレードランを終えたら、小岩剣は埼玉県の実家に立ち寄る予定である。
「群サイ、来る?」
今日初めて、加賀美から小岩剣に声をかけられた。
日程を教えられる。
その日は明けの休みの予定だ。
「是非、参加させていただきます。」
と、小岩剣は答えたのだが、加賀美はそれを聞くと、暗い顔をして「そう」とだけ言った。
(なんだ?)
と、小岩剣は首を傾げた。




