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ココロノツバサ - distant moon  作者: Kanra
第五章 筑波の月
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52 小岩剣の課題

群馬では、三条神流と松田彩香に随伴する事が多い小岩剣。

最近では、両毛連合にもその存在が知られたのだが、彼等は初会合で東郷三姉妹こと「ディスタントムーン」を悪く言い、三条神流を百合に首突っ込む変態野郎と侮辱したため、仲良く出来ないと踏んだのだが、小岩剣は当然そのような事を言うならば両毛連合もレーシングライセンスを最低でも所持していると思っていた。

「持って無いよ」と、松田彩香がコーヒーを飲みながら言う。

ここは桐生の、ベーカリーカフェレンガ。

三条神流と松田彩香、小岩剣の3人で朝食の後、わたらせ渓谷鐵道のトロッコ列車と並走しながら足尾に向かうのだ。

以前は加賀美も居たし、今日、小岩剣は加賀美にも声はかけていたが、加賀美は来れないと言う。

「持って無いってどう言う事ですか。」

小岩剣が怒気を込めた。

それは、両毛連合に向けた物だ。

ツイストパンを啄み、ブラックコーヒーを飲みながら三条神流は、

「口だけ達者なトーシロ。ただのカカシだ。」

と、両毛連合を酷評する。

「あの、まさかとは思いますがー」

「霧降艦隊やサンダーバーズ、東郷三姉妹を引っくるめた、俺達「赤城distant moon」だが、その中でも、サーキットは走れるが、レーシングライセンスを所持しているのはほんの一握り。Bライ持ちは半分。更にそこからAライセンスとなると、俺、アヤ、加賀美、霧降、望月だよ。そこにお前が加わる。ちなみに東郷三姉妹は国際B持ちで、やろうと思えばGTやら出られるんだが、どうもサーキットよりラリーに向いてるって言うんで、WRCやらJRCAの方に行ってるよ。」

「ー。」

小岩剣は驚きと同時に、怒りが芽生えた。

ところが三条神流は、それと分かったらしい。

「お前だって、ブラックどころか、コーヒーだって飲めないだろ?」

と、三条神流。

小岩剣は砂糖を溶かした紅茶を飲む。

「言いたい奴には、言わせておけ。そうして、格の違いを見せつけて黙らせる。」

三条神流はスマホの画面を見せる。

「この日、休みだったな。」

「ええ。」

「筑波行くぞ。お前の役割は雑用で、メカニックと荷物持ち。」

「ー。これは、自分は、走れないやつですね。」

「ああ。だが、こうやって優雅に朝メシ食って、その後、わたらせ渓谷鐵道の列車追い回して居るだけでは、なんら変わらない。メカニックと荷物持ちでもいいから、サーキット部隊に随行出来る時は随行して、知識と経験を身に付けろ。」

朝食を食べ終え、松田彩香の紅いGR86を先頭に、S660、ZD8型BRZの隊列となって、わたらせ渓谷鐵道の沿線に飛び込む。

上神梅駅でトロッコ列車を撮影して、水沼駅の先で花輪を抜けて対岸道路にアプローチする際に赤銅色のDE10-1537が牽引するトロッコ列車と併走、追い抜きし、中野駅で再度撮影して対岸道路を攻め、汽車見の滝付近で渡良瀬川を挟んだ対岸を走るトロッコ列車と並走しながら神戸を抜け、草木ダムを一気に越え、草木湖を渡る鉄橋で撮影したら、沢入駅手前で再度、トロッコ列車と並走し、草木ドライブインに一旦停車し、昼食を掻き込む。

相変わらず、華奢な体型からは想像が付かない程大食いな松田彩香は、モツ煮定食に唐揚げを付けている。三条神流と小岩剣は、よもぎうどん。

昼食の後、少しだけ休息したら足尾へ向け出撃し、足尾駅付近で各々撮影し、沢入駅でトロッコ列車を撮影し、草木湖を渡る鉄橋でトロッコ列車と隊列が同時に立体交差して終了。

草木ドライブインに再停車して、お茶だけ飲むと、桐生の町へ降りて行き、街中の銭湯(上の湯)で汗を流す。

「どうだ?今日一日。」

「相変わらず、ハードですが、楽しいです。」

三条神流が言うのに答える小岩剣。

「だが、楽しい止まり違うか?」

と、三条神流。

「えっ。まぁ、そのー。」

「はっきりしろ!」

熱いジェットバスに入りながら言う三条神流。

「楽しいですが、何か学びや新しい発見があったかと言われると、正直言って微妙です。」

「俺は撮り方少し変えた。場所によっては、車内に仕掛けたGo pro使って併走シーンを撮影してみた。楽しい止まりでは無く、楽しいの中に何か新しい発見、試みを加えなければ直ぐに飽きる。今日、お前、対岸道路攻めた時、何意識した?」

「ー。」

「何も考えてないだろ?確かに頭の中を空っぽにして走る時間も大事だ。気持ちをリセットする意味合いでな。だが、走行ライン、ペース配分、これも考えて走る。特に、列車と併走するならば、ペース配分を考えることは大切だ。これは、ラリーやレースの予選タイムアタックにも通じていることさ。」

「ー。」

「楽しみながら学ぶ。今のお前にはそれが必要。筑波サーキットのハチロク祭りに出て来いって言うのは、そう言う意味さ。」

と、三条神流は言った。

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