表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ココロノツバサ - distant moon  作者: Kanra
第四章 月の出
46/78

44 AE86・白石峠

拓洋の対応をしていた恵令奈と一緒に、ログハウスへ行った小岩剣はとうとう、秩父のホワイトレーシングプロジェクトに出入りしていた事、そして、拓洋から指導を受けていたことが、東郷三姉妹ことディスタント・ムーンにバレてしまっていた。

その晩、日奈子と玲愛にお仕置きされ、身体中を貪り喰われそうになった小岩剣。

しかし、

「ロータスとS660では、全く違うでしょう!だったら、同じS660にも乗っている師匠のところに出入りしてもいいのでは?」

と、恵令奈が言ったことで、更に深く掘られて、貪り喰われずにすんだ。

そして、そのセリフのおかげで、小岩剣はその後も、秩父のホワイトレーシングプロジェクトへ安心して行けるようになった。

今日は、拓洋が少し相手を変えようと言っている。

拓洋が用意していた車は、漫画に出てくるが、今や化石のような車だった。

「お前が追い付きたい相手が、ディスタント・ムーンのロータスとあれば、より実践的な訓練を行う方がいいだろう。いつも、ここで訓練するにしたって、相手がいつも俺のS660では、いざって言うときに、頭の中にあるのは定峰峠での、S660対S660の模擬戦じゃ、意味ないからな。って言うわけで、このAE86の登場だ。こいつはただのAE86じゃねえ。7A‐Gエンジンを搭載している。馬力は200馬力以上。S660を軽く凌駕するが、馬力だけで見れば、ロータスと同等だ。」

と、拓洋は言いながら、定峰峠に向かう。

定峰峠で早速、実戦訓練として、模擬バトルを開始する。

先行、小岩剣。後追い、拓洋。

序盤の川沿いのセクションは、小岩剣に先行させるが、登りが本格的に始まると、頃合を見て前に出る。

若宮八幡の手前の左コーナー。

ここで大外刈を決めて、拓洋がオーバーテイクする。

そして、若宮八幡のヘアピンをドリフトで抜ける。

小岩剣のS660はグリップでなんとか付いてくる。

古嶺神社のダブルヘアピン。

ここも連続逆ドリフトで抜ける拓洋のAE86に対し、小岩剣はせいぜい、タイヤを鳴らす程度のことしかできない。

定峰峠を登りきる。

「どうだ?普段のS660同士の訓練と違うだろう?」

と、拓洋。

「ええ。まるで、違います。」

だが、小岩剣は意外なほどサバサバとしている。

それが、拓洋にとって気に食わない。

「サンボルに似た場所に行ってみよう。」

「えっ?」

すぐ隣の白石峠に行く。

「白石峠は初めてだろう?」

「ええ。」

「まずはコースを下って登って、また下ってコースを覚えよう。」

その通りに走った後、上りのバトルを開始しようとして、ここをホームコースにしている走り屋の、BRZ・ハチロク連合軍と出会した。

「朝倉さん。これからこいつとバトルします。ギャラリーとマーシャル頼めます?」

と、拓洋が、リーダーの朝倉に言う。

彼の車はBRZ‐RAだ。

「ああ。ちなみにそいつは?」

「群馬まで探しに行ったアホぅですよ。」

「なるほど、この前途中で別れて人探ししてとっ捕まえて、白石峠に引っ張り出してボコボコにしようって魂胆か。面白そうだ。嬲り殺しが見られる。」

朝倉がニヤリと笑った。

ギャラリー兼、マーシャルが峠各所に散る。

「準備よし!」

「了解。おい小岩。お前が後追い、俺が先行だ。」

と、小岩剣に言う。

「カウント行くぞ!3、2、1、GO!」

朝倉がカウントを取ってバトル開始だ。

拓洋はレーシングスタートを決める。

白石峠は、スタート地点が急な登り勾配になっているので、レーシングスタートは難しい。坂道でこんなことを出来るのは、拓洋を置いて他にいない。

小岩剣は失敗して失速。

(見通しの悪く、狭い峠道。サンボルに近い条件だ。一番いいのは、サンボルでの実戦訓練だろうが、ここに来たからには、ここで出来る訓練はしっかりやらないとな。)

拓洋は思いながら、集落区間を突破して本格的な峠区間に入ると、小岩剣のS660がどんどん離れる。

「さぁて、この音聞きやがれぃ!」

アクセルを一気に踏み込む拓洋。

7A‐Gエンジンが一気に高鳴る。

(まんまこれ、例の漫画だよなぁ。)

と思う、拓洋。

ミリタリーショップの倉庫前の右コーナーをドリフトで抜ける。

ここからいきなり道幅が狭くなるが、構わず突進するAE86。小岩剣のS660も必死になって食らい付くが、ビビって失速。

一方で、拓洋は連続ドリフトで抜けて行く。

そのうえ、アクセル全開だ。

7A‐Gエンジンの咆哮が、白石峠にこだまする。

小岩剣も追うのだが、どんどんその差が開いていく。

太陽光発電所前の連続ヘアピンに来る頃には、バックミラーから姿が消えそうだった。

(かわいそうだが、少しスランプに陥らせる。S660同士で訓練しても、頭の中に構築されるのはS660対S660の模擬戦の時の記録。だが、それでは、例え外車の中では低い馬力で軽い車重のロータスにも敵わない。俺だってそうだ。S660だけが絶対的な基準だったが、SUGOでS耐仕様のNSXを走らせた時はビビりまくった。今でも一応、訓練のため、秩父サーキットか筑波サーキットに行って走るが、走った後でS660を走らせると全然違って戸惑う。何をしたいのかと言うと、ドラテクの基準を増やすのさ。言うならば、単線を複線にして、走る列車の本数を増やすような物だ。そして、そこから更に、待避線や支線、中線、貨物線って感じに、分岐や拡張をさせてドラテクの線を1本だけでなく、2本、3本と増やしていく。そうしなければ、S660で、怪力マシンになど勝てないんだよ。)

連続ヘアピンをドリフトで抜けていく。

が、一箇所だけドリフトが出来ない場所があるので、ここはグリップで抜ける。

グングン峠を登っていくが、小岩剣のS660と更に差が開いてく。

パラグライダースクール前のストレート。

ここで拓洋は、一気に加速。

この瞬間、小岩剣のS660を完全に振り切ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ