表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ココロノツバサ - distant moon  作者: Kanra
第四章 月の出
35/78

33 アクティブセーフティートレーニングパーク

小岩剣は当然のことながら、車の免許を所持している。

だが、拓洋が小岩剣に課した課題は、ここ、アクティブセーフティートレーニングパークで行われている講習を受講してくる事だった。

「アクティブセーフティートレーニングパークで行われている、スポーツドライビング入門講習を受けろ。これは、スポーツ走行の基礎的な運転技能とサーキット走行に関するルール、マナーに関する講習で、初心者やペーパードライバーがやるような講習とは違い、ある程度、技術を持っているが、スポーツ走行が初めてだという人向けのプログラムだ。お前は、N‐ONEで基礎的な部分は出来ているが、S660になったら一気に世界が変わるからな。この講習を受けるまでは、群馬の車仲間にあうことは止め、車に集中するように。」

と、拓洋は言っていた。

そして、その通りにしていた。

群馬での日常使用と、群馬からここまで来る間に、S660の車両感覚は覚えたものの、それだけで、いきなり峠を攻めるのは危険すぎる。

それは、小岩剣も解っていた。

だからこそ、ここで、S660の限界走行やスポーツ走行に関する基礎的な技術を身につけようとしていた。

なので、オリエンテーション後の自己紹介では、「峠を攻める」という禁句を隠しながらも、そう言った。

自己紹介の後、座学講習が行われる。

そして、その後は点検と慣熟走行。

一応、小岩剣は今日のために、ヘルメットとグローブも購入していた。

ホワイトレーシングプロジェクトの拓洋から、「どっちもFIA公認で、使える範囲が広いぞ。」と言われ、破格で譲られたのだが、そのFIA公認というのが何なのか分らず、だが、「使える範囲が広い」と言われたので、破格で買ってしまった。

(「FIA公認」とか、「使える範囲が広い」とか、どういう意味か知らないけど、でも、更に安い奴を買って、後々になって「これじゃぁダメだ」って言われて、結局、新しく買い直して余計に金かかったら、損だって考えて買っちまった。破格で。)

と、思いながら、準備をする。

「FIA公認のヘルメットって事は、今後、何かレースに出るのですか?」

と、車検に来たインストラクターに言われるが、どういう意味か解らず、「いえ」と、首を横に振った後、「FIA公認って何ですか?」と今頃になって聞く。

インストラクターは「何を言っているのだこいつは?」と言いたげな顔をしながら、

「レース等の競技会に出るためには、FIA、要するに、国際自動車連盟が公認した装備品が無ければ出られないのです。車も、FIA公認の物を使用しなければなりません。具体的には、耐火性、耐衝撃性の国際基準を満たしている物です。」

と、説明する。

要するに、小岩剣が今所持しているヘルメットとグローブは、図らずも、本物のレースに使用可能な物だったのだ。

「ちなみにですが、FIA公認で無い物でも、草レースのような物には出られる場合もあります。しかし、それで何か重大な事故が起きたり、トラブルが起きたりしても、しっかりと保証が出来ない場合がありますので、競技に出るのなら、そうした物も確認しなければなりません。」

と、インストラクターは言った。

慣熟走行の後、直線での急ブレーキだ。

これは、車がフルブレーキを使用した場合、どのように止まるかを知るためのものだ。

小岩剣にとって、初めてのフルブレーキだ。

そして、その後はJターン。

Jターンとは、その名の通り、Jを描くように走行することで、ヘアピン等のコーナリング時のブレーキングとライン取りを身につける事を狙いとした物だ。 

だが、小岩剣はうまくいかない。

良いタイムを出そうとして居るのだが、突っ込みすぎで、ブレーキがハードになってしまったり、オーバースピードで派手にオーバーランしたりと、酷い有様だ。

「呼ばれたドライバーの方、同乗指導します。」

と、トランシーバーで言われ、案の定、小岩剣もその対象だった。

インストラクターの乗る教習車は、HONDAシビックタイプR FD2。

S660と違い、FF車だが、シビックタイプRというのは、ドイツのニュルンベルクでFF車最速記録をたたき出した車である。

インストラクターから、

「しっかり手前から減速し、コーナリング中は出来る限り加速も減速もしない!」

等と指導を受け、もう一度。

時間の間、何度も何度も行い、どうにか出来るようになったところで、昼食休憩だった。

この後が、いよいよ、サーキット走行である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ