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ココロノツバサ - distant moon  作者: Kanra
第二章 月明かりに照らされて
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16 加賀美の本音

N-ONEの先輩である、加賀美咲と走る小岩剣。三姉妹は今居ない。

だが、加賀美が相手ではマンネリ化が進行していた。

更に、両毛連合を中心に一部からは、小岩剣が加賀美と三姉妹に二股をかけていると思われていた。

そのため、加賀美からも徐々に距離を置かれるようになっていた。

そして、一部区間は三条神流との重連運転ながら、加賀美の持つN-ONEの赤城サンダーボルトラインのコースレコードを小岩剣が塗り替えた事で、加賀美も我慢の限界を迎えたらしい。

「ちょっと距離置いて欲しい。」

と、言われてしまった。

「私としてはね、つるぎ君と走るのは楽しい。けど、つるぎ君、三姉妹にも尻尾振ってさ。しかも、サンボルで私のコースレコード塗り替えといて、自分は遅いって、私の事バカにしてる?悪いけどそんな事するなら、距離置きたくなる。」

「加賀美さんー。いや、そう、ですよね。」

小岩剣、涙を堪える。

だが、今回は小岩剣に非がある。

故意ではないが、二股のような事をしたのは、小岩剣だからだ。更に、自分の気持ちも曖昧で、加賀美に尻尾を振って、かと思えば三姉妹に尻尾を振る。おまけに無自覚ながらも、加賀美の持つ物を壊してしまった。そんな事をしていたら、相手はいい気分では無い。

(ああ。恐れていた事が起きてしまった。)

と、肩を落とす小岩剣。

「加賀美さん。あのー。」

「私が来るとこに来るなとは言わない。ただ、自分の気持ちを曖昧にして、あっちへフラフラこっちへフラフラしているのはダメだよ。」

「はい。加賀美さん。俺、明後日、秩父に行きます。それで、更に早くなる方法見つけて、加賀美さんのみならず、群馬の皆さんと対等に走れるテクニックを身につけて来ます。」

「N-ONEでは無理よ。」

切り捨てる加賀美。

「N-ONEは楽しい止まり。好きだけど。」

加賀美は言うと、小岩剣を置いて行った。

小岩剣、涙を流した。

「見ず知らずの年上の女の子に抱かれる淫乱野郎」と言う烙印が、小岩剣の中で痛む。

だが、加賀美の言う通りだ。

次の日も、淡々と仕事をしている。

昼過ぎ、昼飯を食べている時に、玲愛から連絡があった。

「ワンコ君!仕事、頑張っている?私もレース頑張っているよ!何をやりたいのか解らないけど、やりたいことも、頑張れ!」

と、写真付きのLINEだった。

写真は、玲愛のロータスと玲愛のツーショット写真。

玲愛は、胸にぬいぐるみを抱いている。

次いで、恵令奈から、

「このぬいぐるみ、HONDAのASIMOってロボットのぬいぐるみ。玲愛とおそろいで、ワンコ君にも買ったよ!ちなみに玲愛は、ワンコ君の代わりって言っている。」

と、ASIMOのぬいぐるみを持つ恵令奈の写真。

「敵を撃つのみ!一刀両断よ!」

日奈子と来たら、自分の自堕落な格好で破天荒なポーズを取る写真を送ってきた。

「日奈子さん、相変わらずだなぁ。」

と、小岩剣は溜め息を付きながらも笑ってしまった。

なぜなら、その写真に、苦笑いを浮かべる恵令奈と、無理にでも写り込もうとする玲愛の姿を見つけてしまったからだ。

昼の休憩の後も、淡々と仕事をし、夜の仮眠時間。

今度は、玲愛だけから連絡。

「今日は予選だったんだ!疲れちゃったぁー。おやすみ!」

と、三人姉妹とチームメイトと思われる人達との集合写真、三人姉妹の写真。そして、3台のロータスの写真が送られてきた。

夜も遅いが、一応、

「お疲れ様でした。また明日も頑張ってください。」

とだけ、返信した。

そして、仮眠を終えて残りの仕事を終えると、今日から公休。

なので、小岩剣は三人姉妹に言った「やりたいこと」をやることにしていた。

(やりたいことって言うか、相談しに行きたいって言ったほうがいいのかなぁ。)

と、小岩剣は思う。

そこへ、玲愛から連絡。

「今日はいよいよ、レースだよぉ!ワンコ君、応援please!」

「頑張ってください!」

小岩剣は不器用なりに、自撮りをしてみるが、見事に失敗した。

そして、N‐ONEのエンジンをかけて、出発した。

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