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第7話 転入生だけど質問ある?


登校中に友達になったユウカのおかげで入学に不安はないものの、やはり緊張する。


「はーい。ホームルーム始めまーす。」


と、俺のクラスの担任の先生である森田先生だ。

ゆるふわのロングの髪をふるんふるん。

ついでにおっぱいもふるんふるんとさせている美人よりもかわいいが先行するタイプの女性教師。

この人がこの1年俺たちの担任かと思うとちょっと不安になる。

なにがって、目のやり場に。


「今日は、昨日話した転校生が、今日からこのクラスに参加します。生嶋千景くんです。では、ご挨拶をどうぞ」


「千景です。前の学校ではちっちゃいからチカちゃんって呼ばれてました。マスコット扱いは慣れてます。名前で呼ばれたほうが仲いい感でるので、名前で呼んでくれたらとてもうれしい。能力は多才念動力(サイコキネシス)。よろしく。外部からの転入生だけど質問ある?」


ふかぶかと90° 最敬礼でご挨拶。

与えられた質問になるべく答える形での自己紹介をすることにした。


「はいはーい!」

と今朝がた出会ったばかりのユウカが手を挙げる


「チカちゃんの好きなものはなに? ちなみに私はご飯だとパン類全般! アニメだとスポーツもの!」


 だからパン咥えて走ってたのか?


「ご飯だと、甘口カレー。アニメだとぷいきゅあ、あとファンタジーかな。」


え、ぷいきゅあ? 小さいときに卒業したけど。みたいなつぶやきも聞こえるが

ぷいきゅあはすごいんだぞ。あたしもぷいきゅあ好きだよー。という肯定的な話し声も聞こえる

思ったより悪印象ではないらしい


「おい。俺は曽我太一(そがたいち)。ランク7の凍結能力(パーゴキネシス)だ。」


 今度は男子が挙手する。

 短い茶髪をツンツンと逆立てる、ヤンキーみたい。怖い。

 彼は指先になにやら雪の結晶のようなもの。

 少しずつ大きくなる氷塊を作り出していた。その大きさ、ゴルフボール

 ピキピキと音を立てて氷塊ができるスピードが上がり、テニスボール


 なにそれ!? さらっと作ってるけど、どうやってるんだ?

 どういう仕組みだ?

 何もない場所から氷を作るってことは空気中の水分から氷を作ったってことか?

 指先で浮遊しているということは念動力も込みの能力?

 気になる!!!!!!


 ランク7ってことは俺と同格。本気を出せばそんな小さな氷の塊ではないはずだ。


「お前、ランクは?」

「7」


ざわっ

ランク7って…

曽我と一緒だ

ってことはこの学校の最高ランクってことでしょ!?

え、ランク7、2人目!?

外部からの転入でってことは学校で能力訓練してないってことでしょ!?

え、それってやばない?


「チカちゃん7だったの!? 助けてあげるなんて言っちゃった!はずかちい!!」


ユウカも他のみんなと同じく驚愕の目をする

どうやらランク7は思った以上に相当上澄だったらしい。

1年間、握力と共に本気で出力鍛えてて良かった…


しかし、そんな俺のことが気に食わない様子の男の子が1人。

ピキピキとコメカミに青筋をたて、氷塊はいつのまにかバレーボールの大きさに!!


その状態を重く見た先生が

「曽我くん、やめなさい!」


と叫ぶも


「お前のサイコキネシス見せてみろ!」


その指先から放たれた氷の塊は俺の顔面目掛けて一直線に飛んでくる!!


「ひい!!!」


 異能バトルは慣れてないんだってば!!!

 己の出力訓練で使い慣れた念力バリアを瞬時に展開する


 ほぼ無意識だった。

 氷の塊を作った時点で予想はしていたものの、飛んでくる氷塊に対して目をつぶってしまったものの一瞬で展開されるバリアにバヂィッ!! とはじかれる


 ボーっとしていられない。

 はじかれた氷塊が誰かに当たる前に念動力で捕まえて誰かに当たらないように回収ーー


ーーバヂン!! バリン!


「ほわっ!?」


 バリアに衝撃が走る!

 指先からの攻撃だけに注意してたから側面からの攻撃が見えていなかった!!

 バリア展開したままだったから無事だけど、正面のバリアで氷塊を受けたすぐ後に、バリアが反応した。

 俺の左右両方から!

 初撃を防いで安心してバリアを解いてたら確実に失神してた………


 指先からじゃなくても氷塊作って飛ばせるのかよ………。

 そりゃあランク7まで行くと単純な氷塊飛ばすだけじゃないのはわかるけど、指先で視線誘導して側面から殴るのは、なんというか正々堂々からかけ離れた卑怯な戦法を感じる

 べつにそれが悪いわけじゃないけど、だけどさぁ


「いきなり氷塊ぶつけるのは危なほわぁああああああああ!!!???!?」

「くたばれぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」


 顔を上げた瞬間には、 

 曽我の右腕にはカギ爪!!

 その振りかぶる拳を覆うように氷を纏い、透明度の高い、そして手の甲からは鋭い3本の爪が伸びている

 先ほど見せた氷塊の生成速度すらブラフ!

 己の能力の研鑽を続けたものにしかできない発動速度!

 その透明度から密度も純度も高い純水から作られたような氷であることが伺える。


 さらには曽我は一歩踏み込めば そこから先は地面の摩擦はゼロ。

 彼は右足の踏み込みと同時に左足から地面を凍らせ、滑るように高速で突っ込んできたのだ。

 よくわからないけどたぶんすごく喧嘩なれしてる!!


  最後の左足の踏み込みと同時にピキィン!という澄んだ高い音とともに彼の左足が地面に接着するようにピタッと慣性を失い、地面ごと凍ることで踏み込みによる摩擦ゼロのデメリットを無理やり打ち消した!!

 そんな使い方もできるの!?

 左足のつま先はまっすぐに俺のほうを向いている。バンカーでも撃ち込まれたかのように地面に固定された左足、そこから鞭のようにすべての慣性を込められた右の拳にすべての力が伝わっているのがわかる!


 顔を上げた瞬間にはそんなすべての力が込められた渾身のかぎ爪が目の前だったのだ!


「んにゃぁああああ!!!」


 無我夢中で曽我に念力を飛ばしてしまった

 バギン! と音を立てて曽我の左足が地面から離れた!

 俺の鼻先をカギ爪が通過し、バリアをかすって下に通り抜ける


「てめ! こら!! 卑怯だぞ!!! 降ろせ!!!!」


 曽我を念力で持ち上げることができたようだ。

 ペタンと安心して地面に座り込む。


「び、びっくりしたぁ………!」


バックバックと耳の奥で大音量で心音が聞こえる。

こ、腰が抜けた…。

あんなもん、下手したら、いや直撃したら死んじゃうぞ………!

 

「このっ!!」


 ドガガガガガ!!

 と、大量の氷塊のガトリングが俺のバリアに炸裂する


 そうだよね! 浮かせて動けなくしたくらいじゃ相手の攻撃の手札がなくなるわけじゃないもんね!!!


「ひぃ!!! ユウカ! 窓開けて!!」

「りょー!」


 ユウカが筋力増強(ストレングス)によって高速で窓際まで移動し、グラウンド側の窓を全開にする

 すかさず彼をその窓から放り投げる!!


「ちょぉおま!!」


ついでに床に散らばった氷も念力で大量に持ち上げすべて外に出した。

片付けが面倒だからね。

ごみは一緒に窓の外にポイだ。


ここは2階、怪我したら大変だから俺も(腰が抜けて立てなかったから念力で)窓際に近づき、曽我を地面に軟着陸させる。



「ほわぁ………」


今度こそ肩の力を抜いた。


ーーわぁああああ!!!

ーーすげえぞ転校生!

ーー曽我がやられっぱなしだった!


パチパチパチ! と拍手が送られ、なんだか照れくさい。

氷塊のおかげで気温の下がった教室の中で、すこしだけ誇らしい気持ちになった。





あとがきちゃん

ご拝読いただきありがとうございます

面白いと感じてくださったらブクマと☆☆☆☆☆→★★★★★にしておいてください。


1週間連続更新か…。褒めて。


次回【番長だけど質問ある?】

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