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第4話 能力測定だけど質問ある?


さて、あれよあれよという間に新居が決まり、父さんの海上都市での出勤日となり新生活がスタートしていく。


入学手続きなんかも渡される書類にサインしていきとんとん拍子に決まっていく。


また、超能力を持つ俺は精密検査があるとかで個室でサイキックのテストが行われた。


「この伏せられたカードのマークはわかりますか?」


 5枚のカードが伏せられ、そんな問いに


「わかるわけないですよ。何言ってるんですか」


 伏せられたカードを答えろって無理に決まっている。


「わかる人がいるんですよ。透視能力(クレアボヤンス)ってやつで。」

「あー………じゃあ左端から (なみ) (ほし) +(じゅうじ) (まる) (しかく)


 わかんないから適当に答える。

 

「全然違うわね」


 呆れたようにため息をつく白鳥さん


「サイコキネシスって言ったじゃないですか。というか、暇なんですか白鳥さん。僕の相手ばっかりしてますけど」

「暇なわけないでしょう。これも研究員としての仕事よ。私が引き入れた人材として、正確にあなたの能力を把握しておきたいの」


 そう。目の前にいるのは俺を海上都市に連れてきた白鳥沙彩さんその人。

 漆黒の髪を耳にかけ、タバコをふかしながらこちらの相手をしている。


「退屈かもしれないけれど、この検査も何度か続けさせてもらうぞ」

「………はぁい」


 当てたり外したりしながら、とりあえず100回ほどカードの種類当てを行い


「次は、私が持っているカードがどんなカードか当てて頂戴」


 今度は伏せられたカードではなく、白鳥さんがカードを1枚手に取り、そのうえでそのカードが何かをあてるように言われた。

 ということは、今度は精神感応(テレパシー)のテストかな。

 持ってないって言ってるのに。


 そういったテストを続け


「では、このカードを手を使わずにひっくり返して頂戴」

「それならできます。」


 俺のサイコキネシスはこういう単純な事なら容易だ。

 なにがクレアボヤンス 何がテレパシー 知らん知らん。俺にできるのは離れたものを動かすことくらい。


「風もない。これを己の意思で?」

「もちろん。ふふん」


 超能力を見せびらかす機会なんてなかったからドヤってしまう。

 白鳥さんにとっては超能力は見慣れたものかもしれないが、俺自身が人に超能力を見せることをあまり慣れていないからな。


「はは。思う存分ドヤっておきたまえ。続けるぞ。」


 カードをひっくり返して、なんなら浮かせて、それを100回ほど続けて行い、今度は屋外に出る。


「今度はこちらの指定する現象を起こせるのか検証していく」


 とのことで、巻き藁が置いてありアレを浮かせばいいのかなと首をひねっていると


「あれを燃やしてくれ。発火能力(パイロキネシス)の確認だ」

「発火はできません。あ、ライターくれたらそれを浮かせてそこに投げ込むくらいなら出来ると思います。」


あ、でも空気って圧縮したら熱くなるな。巻き藁の空気を圧縮したら火ぃつくかな。

そういやサバイバル漫画でファイヤーピストンって見たことがある。

綿みたいな発火材があればファイヤーピストンの中の空気を瞬間的に圧縮させることで高熱をだし、発火材が熱で発火するとか。


やってみるか………


「そら!!」


ーーーバギョ!!

 と巻き藁がひしゃげたものの、発火には至らなかった。

世の発火能力者はどうやって発火しているんだ?


「なるほど。まあ一応の確認だった。では、あの巻き藁を切ることは?」


「切る? ええっと、たぶん無理です。でもやってみます」


 サイコキネシスで物体を切るってのがイマイチ想像できない。

 あ、念力をピザみたいに薄く延ばして回転させて投げる?

 そういやそんな漫画を見たな。真似してみたいけど、今の精度ではまだ無理だ。頭の片隅にメモしておいてあとで特訓しよう。

 そのうち、ぷいきゅあ達が良く使うグミ弾やなんちゃら波なんかも打てるようになるかも。

 夢が広がる。


「ほりゃ! 」


 しかし今は力業。巻き藁を上下に引っ張って切ると言うより引きちぎるようにしてみる


「うーん。これも慣れてない操作だからむつかしいですね」


 巻き藁はプチプチと音を立てているものの、ちぎれてはいない。修行するかぁ。と思ったところでブチっと巻藁が千切れた


「おお。出来ました。」


家で行ってたバリアと念力の出力強度実験のおかげか、念力の出力自体は上がってるからか、巻藁を千切ることに成功したようだ。


「OKでは次だ。あちらの風速計に向かって風を吹かせてくれ」

「今度は風力操作(エアロハンド)のチェックですか。手持ちのサイコキネシスで出来るかな…」


 不可視の腕(インビジブルアーム)を右手の先から作り出し、


「えいや!」


 と手を振り下ろして風を発生させる


「ふむ。微風…。まあ、そんなものか」


 と、少しだけ結果が出たことで思い至った。

 このサイコキネシスは複数の性質を併せ持つことが可能なのではないか、と。


 サイコキネシスという自分の能力の応用で、風を作り出すことができた。

 ということは、だ。疑似的な風力操作(エアロハンド)をも可能だったということだ。

 ならばと、念動力で空気を固定し、中の空気を押し出すようにサイコキネシスをプログラムして発動。念動式空気砲だ。


今度は少しだけ風速が上がった。 これまた100回反復して少しずつ念力の構築と空気砲の射出を高めていく。

ま、結果は髪がブワッと広がるくらいの風圧だった。



「次はプールに向かうわ。着替えてらっしゃい」


「はぁい。」





 というわけで水着に着替えてプールにやってきた。


「ここのプールは能力測定用だけど、使用許可を取れば超能力者ならいつでも使えるわ。」


 と、タブレットを片手に、漆黒の髪をポニーテールにして競泳水着から伸びる長い足をこれでもかと見せつける白鳥さん


 ジャージを羽織っているとはいえ、水着になったことにより協調された胸部装甲の主張が激しい。

 中学2年生の若い肉体がいやおうなしに反応してしまう


「おや、気になるかい? 私にぶしつけな視線をよこすのはやめてくれ。そういうのは第二カジノ娯楽区画の歓楽街で大人になってからな。」


 か、歓楽街があるんだ。

 ごくりと唾を飲み込む。


「さて、いろいろ超能力の検査をしているが、君の持つサイコキネシス、念動力というのはいろいろ細分化されている。空気に干渉できる空力操作(エアロハンド)土砂操作(マッドハンド)も、これから調べる水流操作(ハイドロハンド)も。すべてサイコキネシスから派生したものだ。それぞれの操作に特化した者の能力を指す言葉。君がどれほどの力を有しているのかはわからないが水だけしか動かせない者、土しか動かせない者もいる。己の可能性を信じて水の操作を行いたまえ」


俺が先程自分のサイコキネシスの可能性に気づいたことはすでに研究済みだったようだ。



「ほい」


水を好きな形に変えるのは慣れている。

お風呂のお湯で何度も試したから。

水を浮かべているのは、念力の形を水を除いた形に丸めているからだ。

でも、おそらく水流操作(ハイドロハンド)はそういうことじゃない。水の中まで操作しないといけない。


ならば、水に俺の念力を混ぜて仕舞えばそれこそ水流操作の本質なのではと考えた。


慣れない操作は時間がかかる。少しずつ自分の念力を水に混ぜて水と念力を一体化させる。


そのまま水を不可視の腕を作る要領で俺の右腕にくっつけた。


発動時間を鍛えれば水の操作は大丈夫そうだ。

このプールのまず全体に念力を混ぜれば、プールの支配権を完全に握ることも可能だろう。それはよう特訓だ。


先程擬似的に再現した空力操作も空気中に念力を混ぜることができれば竜巻だって起こせるようになるだろう。

大丈夫。俺のサイコキネシスの出力も精度も指数的に伸びている。


訓練すれば津波だって止められるようになるかもしれない。


今はまだ腕一本分くらいがせいぜいだけど、訓練を続ければあるいは…と考えさせられる。


「ど、どうですか? 水流操作、できてますか?」


「ああ。すごいな。その右腕の中でしっかり水流が動いている。かなりの精度だ。なにかサイコキネシスを精密に動かす訓練でもしていたのか?」


「まぁ、一人二役でテレビゲームをしていました。」


「なるほど。訓練課程に組み込んでもいいかもしれないな」


どうやら興味深い研究成果を与えてしまったらしい。



自分の念力が及ぶ範囲に念力を混ぜると操作が楽になることを水流操作で学んだ。

それはおそらく土などにも有効で、自分の念力を混ぜて手足の様に自由自在に動かせるからこそ操作(ハンド)と読んでいるのかもしれないな。

ならば能力が及ぶ範囲を完全に支配できたなら、己の絶対支配領域、【念動力場(サイコフィールド)】とでも呼べる最強の能力に成長させられるかもしれない。

ひと月もあれば、訓練である程度形になるはずだ。


「プールの水を全て浮かせる事は可能か?」


今度は重さを調べるのか。と思いつつ


「多分可能です。やってみます。」


と、意気込んでチャレンジ。

かなり力を込めて可能な限りの水を持ち上げる。

ザバァ!! と音を立ててプールが波打ち、プールサイドに水が溢れる。


ああ、だめだ。持ち上がりきらない! 

水に念力を浸透させるがさすがに体積がデカすぎて時間がかかる!


だけど!


「ぬぅりゃああああああ!!!!!」


自分の脳だか精神だか、よくわからないが超能力を司る部分がスパークするような感覚。

視界の端に青白い光が浮かぶ。

念力を送る両手にも力が入る。

明日はサイコキネシスの筋肉痛は間違いない。


「全部ではないが、この50mプールの3/4は持ち上げてしまったな…大した出力だ。残った水の堆積からすると持ち上げた水の重さは大体1000トンくらいか? 凄まじいな。思った以上だ。」


どうやら流石にプールの水をぜんぶ持ち上げるのはできると思っていなかったらしく、クールな白鳥さんがややドン引きしていた


「すこしそのまま持ち上げていてくれ。」


と白鳥さんが言ったかと思うと、その持ち上げた水に手を突っ込んだ。が、


「む…浮いた水球の中で泳いでみたいと思っていたものだが、水を包む念力がバリアのようになっていて手が入らんな」


「そ、それは僕がもう少し水流操作(ハイドロハンド)に慣れてからになると思います……! ああ、そろそろ限界です! 離れてください!!」


バシャーン!!

と大きな音と波を立てて、プールの水はすべてプールに戻された。


びしょ濡れになった白鳥さんはわはははと笑って前髪をかきあげていた。

すごく、魅力的な大人の無邪気な笑顔のギャップに心臓を撃ち抜かれた。


こうして、様々な数値を測りながら検査を続けて数値をとりながら俺の能力について解析し、名前をつけて管理をするのだそうだ。


その後の検査については、水流操作でコツをつかんだからか、この次に土の操作を行った所、同じように土の腕を作ることができた。土砂操作(マッドハンド)も恐らく使用可能となる。


俺の能力の結果はどうなることやら




ご拝読いただきありがとうございます

面白いと感じてくださったらブクマと☆☆☆☆☆→★★★★★にしておいてください。


次回【能力測定の結果だけど質問ある?】

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