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第21話 お姉ちゃんだけど質問ある?



「チカゲくん。お姉さんと話してみる?」


奈々さんがそんなことを聞いてきた


「いや、この非常事態に何いってるんですか! テロの真っ最中ですよ!」


「いやいや、もうほとんど解決してるんだよね。うちの親衛隊は優秀だから。パークに常駐してる保安局の人達も無能じゃない。テロリストたちの捕縛は始まってるよ。応援も来てる。」


どこで聞いた情報なのか、そんなことまで知っているようだ。

たしかに、智香とわたしが遊撃しながらテロリストを無力化してここに到着したように、一般人を人質にするためのショッピングモールにいたテロリストもココちゃん親衛隊の首領であるココちゃんが制圧済み


超能力者を集めて確保するための中央広場では、超能力者を甘く見たのか、太一の凍結能力で氷漬けにされている。


生きてるのかな。


「じゃあ、パークの出入り口には? あそこにもテロリストがいたよね?」


「入口の方も、仲間のゴローちゃんが制圧したよ。なんか強力な念動力の能力コピーできたって言ってたし、楽勝なんじゃないかな」


コピー!?

コピーの能力とかあるのか!?

こっわ。能力盗まれないようにしたいけど、防ぎ方がわかんね。


「ま、そういうわけで、あとは残党狩りをのこすばかりってわけ。ぶっちゃけもうやることない状態的な?」


「お、おう………」


「ぶっちゃけ、あたしの能力は悪霊を操る事ができる能力なんだよね」


と頭の後ろで手を組んでニッと笑う奈々さん。


「ま、海上都市じゃ、霊視の能力はオカルトが強すぎてポルターガイストのことを念動力ってことになってるけど。………あー、はいはい。わかったよ。じゃあ早速。」


 本人は悪霊を操るなんて言ってたけど、姉ちゃんは悪霊なのか?

 超能力自体がオカルトみたいなもんだと思うが、なんて思っていたら、奈々さんはわたしの胸をポンと叩いた。




 その瞬間、意識が暗転した。




「どう? 受肉した感想は。」


「コレが感触………。不思議! ありがとう!」


「どう致しまして。」


なにやら俺の体が勝手に動いて喋っている。


「チカゲくん。今、君の体をお姉さんが操作してる。簡単に言うと、霊体の君のお姉さんを憑依させた。」


マジか。超能力者ってそんなこともできるんだな。

すっげー………。


しかも、なんというか、俺が自分の身体を動かせないというのに別に変な焦りとかもない。


なんというか、好きにさせてあげたいという感情すらある。

なんならしばらく俺の身体使ってもいいぞ。


「千景の意識はのこってる見たい。しばらく身体使ってもいいって」


「はっはは、なかなか理解が早くて助かるよ。」


はじめましてだな、千火(ちか)姉ちゃん。

死んでも話せるようになるなんて思ってもいなかった。

海上都市に来てよかった。

超能力に目覚めて良かった。


「あっはははは、超能力に目覚めたことめっちゃ感謝してる! こっちこそ。はじめまして。千景が元気でなにより。まさかこんなテロ襲撃の状態で千景と話せるようになるなんて思わなかったよー。」


俺もだよ。


「それにしても、さっき銃で撃たれた時、さすがに死んだと思ったけど、わたしがいなかったらマジで死んでたまであるかんね。」


マジ? 姉ちゃんのがなんかしたのかよ


「なんかわかんないけど、助けないとって思ったらさ、ルミカの能力使って千景のこと直してたんだよね。」


そんなことが出来たのか………すげーな、俺の姉ちゃんは。


「あんたが超能力者なんだから、姉のあたしだって超能力もっててもおかしくないでしょ!」


そういうもんかね。

水子の幽霊なのに。


なんて千火姉ちゃんと話していると、くいくいと控えめに袖を引っ張られる感触。


「なぁに? ヒメちゃん?」


姉ちゃんは膝を折ってヒメに視線を合わせる


「ねえね?」


ズキューン!!


なにやらヒメは俺たちの雰囲気の違いについて察した様子で首をひねっていた。


か、かわいいがすぎる


「か、かわいいがすぎる!」


姉ちゃんも同じことを考えていたようだ


「もう、こんなカワイイ子が異界区画でずっと人体実験されてたとか信じらんない! 助け出せてよかった。逃げ出してくれてありがとう」


むぎゅっとヒメを抱きしめると、ヒメは苦しそうに「きゃははー!」と喜んだ。


「………どういたしまして」


そこで何故か智香が返事言っていた。

智香がヒメを逃がす手伝いをしていたんだろうか。

そうなんだろうな。


「あ、放送設備の所にいたテロリストと残党狩りは終わったみたい。うちの隊員は優秀だねぇ。」


どうやらすべて片付いたようだ。

なにやら他の霊とも交信できるようで、スマホを見ずに現状を確認できるようだ。



「多少の怪我人は出たようだけど、確認した限りの死人はなし。連中も超能力者をなるべく生け取りにしたかったんだろうね」


「ああ、それで千景は頭じゃなくて肩を撃たれたのね」


「一般人まで被害が及ばなかったのは奇跡だな」


すこし離れた所にいた太一も、こちらの話を聞いていたのか安堵の表情をする。


「あ! あんた最初に千景をいじめてたやつ!」

「うお!?殴るな! なんだよ、千景!」

「うるさい! わたしは千景の姉だ! 千景をいじめる奴は許さないからな!」

「い、いじめねーよ! やめろー!」


ポコポコと太一を殴るお姉ちゃん。

俺の肉体だから、当然力は非力だ。


「保安局の人間も来たし、事情聴取して解散かな。」


微笑ましそうにこちらを見ていた奈々さんが呟く。

というわけで、テロリストたちは保安局の人間に引き渡し、さすがにこれからプールで遊ぶ気にもなれず、事情聴取のあとお開きとなった。





あとがきちゃん

ご拝読いただきありがとうございます

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次回【無事だけど質問ある?】

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