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第11話 なにか忘れてるけど質問ある?


ーー僕らが出会うのはまだ早すぎる。もう少し後………ランク8になった後。異界区画で会おうね。

ーーそれまでこの子をお願いね。



………………

………



………???


あれ、何してたんだっけ。



急に意識が目覚める感覚。


夢を見ていたような妙な違和感。周囲を見渡してみると、そこはコンビニの前。


すこしぼうっとした様子の花梨と、俺の右手を握られる感触。


ああ、そうだ。この子(・・・)と一緒に遊園地を遊ぶんだった。


「花梨。待ち合わせ場所に行かないと」

「うえ? あ、れ? こんなところでなにしてたんだっけ?」


花梨が俺と同じようにハッとしてキョロキョロと顔を動かす。


「ああー! 待ち合わせ時間過ぎてる!! なんで!? お姉ちゃん、ヒメちゃん(・・・・・)、早く行こ!」

「………ん。」


花梨がわたしの手を引いてコンビニから離れ、それにつられるように、わたしの手を握る、小さな子供であるヒメちゃんがトテトテとついてくる。

肩まで伸びた緑色(・・)の髪に黄色(・・)のメッシュがいたるところ入り、その黄色の癖っ毛がピョンピョンと外側に跳ねている。


恥ずかしそうに、そして楽しそうに、その瞳には未知の世界に対する喜びに星が浮かび上がり期待に胸を膨らませる表情。


ふんすふんすと鼻息荒くして興奮している、耳の尖った(・・・・・)5歳くらいの幼女。

ヒメはわたしたちと一緒にアクアパークで遊ぶことになったのだ。

………あれ、いつそうなったんだっけ…?

とにかくそうなったんだ。


はやく待ち合わせ場所のアクアパーク前の噴水広場に向わなくては。みんなが待ってる!


「お兄ちゃん、もうお友達みんなパークに入っちゃったかな?」


わたしと一緒にテーマパークについてきてくれる

妹の花梨も、遅刻に申し訳なさを爆発させながら不安そうにこちらを見る。


だけどわたしには見えている。

ちゃんとみんなが噴水前で待っているのを!


「ヒメ、花梨とおてて繋いでてくれる?」

「ん!!」

「うん!えらいね!」


ヒメはわたしから手を離して花梨と手を繋ぎ直す。


「みんな待ってたみたいだから、先に挨拶してくるね」

「ほ、よかった……。ヒメちゃん。いっしょにジュース飲んでチカお姉ちゃん戻るまで待ってよっか?」

「うん!」


花梨は自動販売機からパックジュースを買って、アクアパーク入り口近くにある謎オブジェ前のベンチに座ってヒメの相手をしてくれる。


「おおーい、みんなー!」


中学2年生にしていまだに声変わりをしないわたしの喉。

子供らしく高い声は女子と思われてもおかしく無い。


わたしが集合場所である商業区画のアクアパーク近くにある噴水前に駆け足で近づくと、すでにクラスのみんなが待っていた


ユウカもすでに到着しており、ギャルたちと楽しそうに談笑してる。

クラスの元嫌われ者であった曽我太一は居心地悪そうにポケットに手を入れ、そっぽを向いており、クラスのまとめ役である釧路正勝がまあまあと宥めていた。


「おまたせー! みんな、おくれてごめんね!!」


と、わたしはみんなの前に顔を出すが


「え、誰このカワイイ子。誰かの妹?」

「あと来てないのってバンチョだけっしょ? この子がバンチョのイモート?」


ああ、そういや女装したままだった。

みんな頭の上にはてなを浮かべて怪訝そうな表情だ。

それほどまでに花梨と母さんによる変装技術が素晴らしいということだろう。


「いやいや、わたしが正真正銘千景だって。番長の噂が経ってからはさ、いつものカッコしてたら喧嘩売られて大変なんだよ。だから、これ変装。髪もカツラだよ。」


そういってバッグの中を漁ると、平べったい財布とスマホが入っている。他のものは入っていない。大体の会計はスマホかウォッチで完結するからね。

 スマホの機能の電子生徒手帳を見せると、そこに記載されている名前を見て


「ああ! 本当だ! 本当にチカちゃんだ! びっくりした! すっごいね、その変装。本当に女の子みたい」


ユウカが目を丸くしてわたしの格好を見つめる。

太一と正勝もあんぐりと口を開けていた


「ええっ!? これバンちゃんなの? え、マジ? すごくね? おい曽我、あれ? おーい?」


正勝が放心状態の太一目の前で手を振って正気に戻す。


「………はっ? 千景! 何遅れて来てんだ。散々待たせやがって!バカが。この、バカが。バーカ。おまえ、新番長の癖に!」

「あ、こいつ脳の処理がバグってうまく感想が出てこなかったからとりあえず罵倒してるのに語彙力がねーな! ごめんねバンちゃん。たぶんこいつ、予想以上に似合ってて、見惚れて人を褒め慣れてないんだよ」


あははと笑いが生まれる。


「ありがとう。せっかく番長バレしないように変装してるからさ、さすがに今日だけは番長と呼ばないでもらってもいいかな?」


と、両手をパン! とあわせてから左に傾け、私の顔も左に傾ける。ついでに左目でウインク


「はうっ!?」

「あっ(尊死)」

「うぐっ!?」


正勝が心臓を抑え、ユウカが鼻血だして昇天、太一は顔を逸らした。

ギャルたちも「やばー! かわゆすぎるんだが」「やばたにえん」と言いながら写真を撮る。


なんとか魂を現世に戻してきたユウカから一言



「チカちゃんが前の学校でチカちゃんと呼ばれていた訳がわかった。単純にかわいいんだ。」



その言葉に、我がクラスメイトがうんうんと頷いた。

そんなところでクラスの意見一致しないでよ。





あとがきちゃん

ご拝読いただきありがとうございます

面白いと感じてくださったらブクマと☆☆☆☆☆→★★★★★にしておいてください。


次回【テーマパーク来たけど質問ある?】

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