27(終) めでたしめでたしで終わる
マリアが連れてきた護衛二人と共に凌を乗せた馬車が出発するのを見届けると、マリアはスミス伯爵家の馬車に乗り込んだ。
護衛二人は道中、凌が逃げないよう見張りとして連れてきたのだ。
幸い王都は治安がいいし、徒歩ではなく馬車で移動しているので、女一人でも安全なのだ。
「邸に帰る前に、大通りに寄って」
マリアは馭者に、そう告げた。
「大通りですか?」
「ええ。あそこに、りあ、お姉様が好きそうなお菓子屋さんがあったから」
世間的に死んだ事になったのもあるが、前世から引きこもりがちのりあは、外出する事はない。そのりあのために、あれこれ物を揃えるのは、マリアの役目であり楽しみでもある。
馬車の振動に身を委ねながら、マリアは微笑んだ。
もうその脳裏に、自分が、ただ処刑するよりも悲惨な運命に向かわせた前世から因縁を持つ男の事は消えている。
――厭きるまで、傍に置けばいい。
「本当に、貴女は何も分かっていないのね。りあ」
自分が彼女に厭きる事などない。
未来永劫、自分が「自分」である限り、「彼女」への執着が消える事などない。
彼女がいつか、マリアから逃れたいと思っても、逃がしてなどやらない。
物語であれば、めでたしめでたしで終わる。
けれど、ここは現実だ。
死ぬまで物語は終わらない――。
完結です!
読んでくださり、ありがとうございました!




