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10 愛せなかった元婚約者

前話から、だいぶ間があいて申し訳ありません。

最終話まで一括投稿します。

 物語であれば、めでたしめでたしで終われる。


 末路は悲惨だろうと予想できるのだとしても終わりにできる


 けれど、ここは現実だ。


 死ぬまで物語(人生)は終わりにできないのだ――。





 チャールズ・ウィリアムズ侯爵令息にとって、家族、特に母親は、気持ち悪くて得体の知れないモノだった。


 母は二目と見られないような醜女(しこめ)などではない。むしろ、誰もが認める絶世の美女だ。きつい印象ではあるが。


 自分が(おこ)す事業のためだけに、求婚してきたウィリアムズ侯爵である父と結婚したと(のたま)った母は、当然ながら、夫である父も息子であるチャールズも愛してなどいない。


 ただ兄のセオドアの事だけは、彼が十歳以降になってからは、どういう心境の変化なのか、今までの無関心が嘘のように溺愛しているが。


 チャールズも母を愛していないから、お互い様か。いや、チャールズは母に生理的嫌悪感を抱いているから、ただ自分と父に無関心な母よりも、ひどいかもしれない。


 侯爵夫人としての責務を果たさず、ただ自分が興した事業に心血を注ぐからか、自分と父を愛さないからなのか、どちらもチャールズが母を愛せない理由としては当然だとは思うが、それらだけが全てではないと彼自身分かっていた。


 その容姿が、表情が、声が、チャールズ以外の人間は美しいと褒め称えるだろう母の全てが、彼には、とにかく気持ち悪かったのだ。


 そんな母の全てを許容できる父と兄の事もチャールズは愛せない。特に、今までの無関心が嘘のように自分を溺愛してきた母を気味悪がらず受け入れている兄が理解できない。

 

 母に対するような生理的嫌悪感とまではいかないが、あの母を愛している時点で、血が繋がった家族であっても受け入れられなかった。


 そうなると当然、家族と折り合いが悪くなる。


 それでも幸い虐待などなく侯爵令息として恵まれた生活を与えてくれた。そこだけは感謝している。


 家を継ぐ長男ではなく次男であったチャールズはスミス伯爵家の跡取り娘との婚約が決まった。


 けれど、それは、チャールズにとって喜ばしい事ではなかった。


 侯爵家から伯爵家と爵位が下の家の人間になったからではない。


 よりによって、婚約者が自分が生理的に受け付けない母と似ていたからだ。


 銀髪とアイスブルーの瞳、女性としては長身のすらりとした肢体、さらには、きつい印象を与える絶世の美女である所まで同じだった。


 彼女、エヴァことエヴァンジェリン・スミス伯爵令嬢の為人(ひととなり)を知る前に、その外見や雰囲気だけで受け付けなかった。


 さらには、その為人を知るほど、母に似ていると思えて、仲良くなる気には到底なれなかった。


 だからなのか、エヴァとは対照的な彼女の妹、マリアことマリアジェーンに惹かれた。


 マリアもチャールズを好きになってくれて、スミス伯爵夫妻の後押しもあって、婚約者の入れ替えは、あっさりと決まった。


 全てがうまくいくと思っていた。


 エヴァが家出し、ジョンソン公爵と結婚したと聞いた時は驚いたが、別にチャールズやマリアには何の影響も及ぼさないだろうと思っていたのだ。


 まさかエヴァが社交界で自分がずっと家族に虐げられ、婚約者を妹に奪われた事を言い触らしていたとは思わなかった。


 確かに、エヴァとマリアの両親、スミス伯爵夫妻は、彼女達姉妹に露骨に差をつけていたのかもしれない。


 だが、これも仕方ないだろうとしかチャールズには思えないのだ。


 エヴァは自分以外、それこそ肉親である両親や妹ですら露骨に見下していたのだ。これでは、いくら血の繋がった娘だろうが愛せないだろう。


 婚約者の入れ替えだって円満に決まったのに、自分が被害者ぶるのもどうかと思う。


 チャールズがエヴァを愛せなかったように、彼女だってチャールズを愛していなかったのだから、お互い様だ。







 




 




 


 


 













 

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