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止まない雨

ワステに雨が降り始めて3日が経過した。


リドル「今日も雨止んでねぇな。そういうもんなのか?」

サモ「いや、この地域で3日も雨が降るなんて聞いたこともないぞ…」

ロエル「まぁ自然なんて気まぐれだからな、こういうことも…」

???「あ、あの、すみません…!」


リドル「ん?」

声の方を見ると、小柄で童顔の男が息を切らして立っていた。


???「はぁ…はぁ…その姿…新聞に載ってた情報と同じ…!あなた達、リメリアで二十魔将を倒したという冒険者ですよね…!?」

リドル「まぁ、そうだけどそれが…?」

ロエル「新聞って…俺達も有名になったもんだなぁ…」

セノ「僕セノ・リアって言います…!魔力について研究をしている学者です…!いきなりですがあなた達に協力して欲しいことがあるんです…!」

リドル「え、なんで?」


セノ「この街の命運が掛かっている話です!詳しい事は後でご説明します!」

リドル「あ、あぁ…それなら分かった…ロエルとサモも良いよな…?」

ロエル「お、おう…」

セノ「ありがとうございます…!ではこちらです、ついてきてください!」

突然の出来事に困惑するリドル達だったが、街の命運が掛かってるという事なのでセノへとついて行った。


ラゼール「初めまして、私はこの街の町長のラゼールだ。よろしく」

リドル達が連れてこられたのは役所だった。


ラゼール「君達が噂の冒険者だね?名前を聞かせてもらおうか」

リドル「俺はリドル」

ロエル「俺はロエル」

サモ「サモザーラだ」


ラゼール「ふむ、いきなり来てもらって申し訳ないが、頼みたいことがある」

ラゼール「まずはこれを」

ラゼールはそう言うと水晶を出した。


ラゼール「これはセノが開発した魔力を探知する装置だ。この装置の一定範囲内で魔力が放出されると…」

ラゼールが手から魔力を放出すると、水晶が光った。


ラゼール「この様に水晶が光る。それを踏まえてこれを見てくれ」

ラゼールはさらに複数の水晶を出した。


ラゼール「この水晶は街の複数箇所に設置たセンサーが魔力を検知すると、それにリンクしてこの水晶が光るんだ」

ロエル「どの水晶も普通だな…いや、若干光ってる…?」

ラゼール「その通り、全ての水晶がほんの僅かに光っている…というより点滅している」


ラゼール「何故か分かるかね?」

ロエル「そのセンサーとやらの近くで誰かが魔法を使って、その魔力の残り香とか…?」

ラゼール「残念、答えは雨だ」

ロエル「雨?」


ラゼール「光の点滅の仕方が、雨が地面へと落ちる感覚と似てるとは思わないかね?」

ロエル「う〜ん…よくわかんねぇな…」

ラゼール「いや、分からなくてもいい、私の例えが悪かったな。とりあえずこの微かな点滅は今降っている雨が原因だ」

サモ「だが雨からは魔力なんて感じなかったぞ?」

ラゼール「余程魔力探知に優れていない限り感じることは出来ないほど微弱な魔力が流れているからな、普通は気づかない」


ロエル「それの何が問題なんだ?」

ラゼール「この微弱な魔力が検知され始めたのは雨が降り始めた翌日からだ。雨粒1つで見れば知る由もない程微小の魔力だが、昨日から今日までの降水量を考えると、多大な魔力がワステへと降り注いでいる」

ラゼール「その魔力総量は恐らく二十魔将に匹敵するほどだ」


ラゼール「さらに雨雲のサイズを測定した結果、半径約1km、この街をすっぽり覆う大きさだ。この雲を遠隔で維持するのは不可能だ、つまり…」


ラゼール「二十魔将クラスのなにかがこの街に潜んでいる」

一同「…!」

ラゼール「これが恵みの雨だと良かったのだが…」


魔法とは、魔力を「何か」に変換すること。魔力を火に変え水に変え、はたまた肥料となって植物を育てたり、自身の身体能力を向上させたりなど、個々の向き不向きはあれど万能なものだ。しかし魔力自体は生命を滅ぼす程危険である。ワステには今、その危険な魔力そのものが雨となって降り注いでいるのだ。


対策として魔力量が多いほど魔力への耐性がつくのだが、生憎ワステに冒険者や戦闘職の者はほとんどいない。


ロエル「なるほどね、俺達にそいつを見つけて倒して欲しいと…」

ラゼール「その通りだ…可能かね」

ロエル「もちろんやる、けどこの街のどこかか…探すとなると骨が折れるな…」

???「それならさっきからここに居るぜ」

突然謎の声が聞こえた。すると何もない場所から人型のうなぎの様な見た目をした魔族が現れた。


リドル「うわ、でっけぇうなぎ!」

???「うなぎじゃねぇよ!」

リドル「いやどう見てもうなぎだろ…」


ウツボ「まぁそんなことはどうでもよくて…俺は二十魔将19のウツボだ!」

サモ「うなぎじゃないのか…」

ウツボ「違ぇつってんだろ!」


ロエル「お前が二十魔将…?前の奴よりは全然強そうに見えねぇな」

ウツボ「見た目で判断しねぇ方が良いぞ?現に俺はモイモンより上の数字を冠してるからな」

ロエル「へっ、たかが1違いだろ」

ウツボ「そう言ってられんのも今のうちだぜ…?」


ウツボ「さて、本題に入るか」

ウツボ「今降っている雨、あれはお前らの言う通り俺が作った。あの雨は時間が経つごとに魔力が増して、いずれ雨粒一つ一つが弾丸より強力なものになるぜ」

ウツボ「魔力のない雑魚どもは魔力に侵され朽ちて死ぬ、お前らみたいにある程度魔力に耐性のある奴は穴ぼこになって死ぬってわけだ」

ロエル「それならずっと隠れて雨粒の威力が上がるのを待った方が良かったんじゃねぇか?」

ウツボ「雨の正体は知られたんだし、どうせ隠れてても近いうちにバレてたさ」


ウツボ「そうだな…明後日には人間を殺せるくらいになってるだろうな」

セノ「明後日…!?」

ウツボ「後、人間共がどこかへ逃げない様に、俺の部下達が人間に化けて街に潜んでいる。あいつら血気盛んだから、お前らのこと見つけたらすぐに襲いかかるだろうなぁ…」

ウツボ「この事態を止めたきゃ俺を倒してみな。まぁ、俺の部下も倒せないようじゃ、お前らと戦う気はねぇけどな」


リドル「おい、なんでこの街を狙うんだ。ここを潰して魔王軍になんか得があんのか?」

ウツボ「別にこの街に興味はねぇぜ」

そう言うとウツボは消えた。


リドル「興味はねぇって…どういうことだ…?」

サモ「色々気になる奴だ…取り敢えず、まずはウツボの部下達を倒さないか?潜んでいるとはいっても、ここの住民に危害を加えないわけではないはずだ」

セノ「それなら僕も戦わせてください…!」

ロエル「お前戦えんのか…?」


セノ「こう見えて魔族を倒したことだってあるんです!さっきの魔族も見た目で判断しない方が良いって言ってたでしょう」

ロエル「マジか…なら頼もしいな」

サモ「各々分かれて行動しよう。部下の一人一人を全員で相手したいが、今は時間がない」


ラゼール「分かった、私は街の警備体制を強化する。二十魔将の討伐は任せたぞ…!」

サモ「あぁ」

リドル&ロエル「おうよ…!」


ラゼール「セノも気をつけるんだぞ…!」

セノ「はい!父さん!」

ロエル「え、親子…?」

セノ「血は繋がってないですけどね…」


リドル「よし!次の二十魔将だ!!」

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