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始まり

初めての投稿です。暇つぶしなどで読んでいただけると嬉しいです。

静かな夜、山の中の村に住む1人の子が母親にとある本を読ん

でもらっていた。


母「こうして、勇者ダエラは魔王を倒しましたとさ...」

子「すげ〜...!」


「勇者誕生」という本だ。勇者に憧れる子が世界を滅ぼそうと目論む魔王を倒そうと奮闘する話である。


母「どうリドル?面白かった?あんたこの本好きねぇ、もう何回、いや、何十回も読み返してるわよ」

子の名前はリドル。藍色の髪が特徴的な男の子だ。

リドル「うん!俺も勇者になって魔王を倒してみたいなぁ...」

母「ふふっ、でも今は魔王なんていないから勇者にはなれなけどね」

リドル「えぇ〜...じゃあ勇者じゃなくても強くなって山賊とか悪い奴らをボッコボコにする!」

母「それは楽しみね。さっ、もう寝る時間を過ぎてるわ。そろそろ寝なさい」

リドル「ふぁ〜、は〜い...」


母はろうそくの火を消して、リドルは大きなあくびをしながら深い眠りについた。


夜が更けた頃、眠っているリドルの頭に声が響く。

(リド...君は...力...持って...)

リドル(だ、誰...?)

(僕の...来い...リド...リドル...!)


母「リドル!」


リドル「はっ...!?」

母「やっと起きた!何回呼んでも起きないんだから毎日毎日あんたはねぇ...それよりうなされてたけど大丈夫...?」

リドル「う、うん...なんか誰かが喋ってて...怖かった...」

母「だから夜更かしするなって言ったのに...夜更かしすると悪魔が怖い夢を見せてくるって言ったでしょう...」

母「もうお父さんお仕事してるから、さっさと朝ごはん食べてお父さんを手伝いなさい。」

リドル「うん...」


怖い夢で目覚めが悪かったが、リドルはすぐに朝ごはんを食べて父の仕事を手伝いに家の裏へ行く。


父「おおリドル〜!いつも来るのが遅いが今日はもっと遅いな!」

リドル「悪魔が怖い夢を見せてきて...」

父「なんだ夜更かしか〜?そういえば昨日俺が寝る前も母さんに本を読んで貰ってたよな〜。でも気にすんな!悪魔なんて怖い夢で攻撃して自分は出てこない弱い奴だからよ!次リドルに怖い夢見せたら父ちゃんがぶっ飛ばしてやる!」

リドル「...うん!」

父「元気出たな!じゃあ早速仕事するぞ!」


リドルの父は村1番の仕事人で、朝は薪を割って、薪を割ることができないお年寄りに薪を配り、リドルは薪を配る仕事を手伝っている。その後は夕方まで食料などを手に入れるため狩りに出る。村1番の実力も持っており、村人が何人で挑んでも勝てなかった魔物を1人で討伐したこともある。リドルはそんな父を誇りに思っている。


リドル「えっほ、えっほ」

リドルはいつものように駆け足で薪を運ぶ。

リドル「おばちゃんこれ!」

老人「おぉいつもありがとうねぇ。そうだ、昨日クッキーを焼いたんだが作り過ぎてね、余ってるから食べておくれ」

リドル「いいの?ありがとう!」


手伝いをしてるとこんな嬉しいこともある。

手伝いを終え、お昼ご飯を一瞬で平らげた後は...


リドル「ロエルー!」

ロエル「遅ぇ!」

リドル「痛!」

リドルはポカンと頭を殴られる。


手伝いの後は1つ上で緑色の髪につり目が特徴的な親友、ロエルと一緒に強くなるために森で修行をする。といっても追いかけっこや木の棒を使って戦うなど遊びに近かった。


ロエル「今日は石を遠くまで投げ飛ばす修行だ!まずお手本を見せてやるよ。とりゃ!」

石はそこそこ遠くまで飛んだ。


リドル「すげー!次は俺だ!とりゃ!」

リドルが投げた石もそこそこ飛んだがロエルほどではなかった。


ロエル「ふん、まだまだだな。修行が足りてねぇ。」

リドル「もう一回!次はロエルよりも飛ばす!」

ロエル「無理無理、お前じゃ俺に勝てねぇよ。」

リドル「ムキー!見てろよー!」


石投げの修行は日没まで続いた。

門限を過ぎるまで修行していたリドル達は全速力で家へ帰っていた。


ロエル「やべー!修行してたら夕方じゃん!早く帰られねぇと!」

リドル「母ちゃんに怒られちゃ...え...?」

ロエル「なっ...!?」


森を抜けるとそこには辺り一体燃えている村があった。

空には複数のドラゴンが飛び、地上には魔族らしき集団が蔓延っている。


ロエル「村が...なんで...」

リドル「母ちゃーん!父ちゃーん!皆ー!」

リドルは村へ向かおうと走る。


ロエル「おいバカ!魔族がいるんだぞ!」

リドル「でも母ちゃんと父ちゃんと村の皆が...!」

そう言うリドルの背後に魔族が立っていた。


ロエル「リドル後ろ!」

リドル「え...?」

魔族が剣を振り下ろしたその時だった。


魔物「ぐぁっ!」

魔物が呻き声を上げ倒れるとそこには剣を持った父がいた。


リドル「父ちゃん!」

父「大丈夫か!?リドル!ロエル!」

リドル「うん!」

ロエル「おっさん!村で何が起こってるんだよ!」

父「魔王軍とか名乗る奴らが村を襲ってきたんだ。そのせいで村人が何人もやられてる」

ロエル「そんな...」

リドル「母ちゃんは...?母ちゃんは大丈夫なの!?」

父「大丈夫だ、母ちゃんは森の奥に隠れてる。」

リドルは安堵のため息をつく。それも束の間。


ロエル「おっさん後ろ!」

魔族「やれ!ぶっ殺せ!」

魔族が襲ってきた。それも複数で。

父「さっきから突っかかって来やがって...しつけぇんだよ!」

魔族「ぐぇ!?」「ぐはぁ!」「ぐほっ!」

複数体相手でもものともせず魔族を斬り捨てる。


リドル「すげぇ...!」

ロエル「そんなこと言ってる場合か!俺達も今の内に逃げ...!」


ロエルがリドルの手を引っ張り森へ逃げようと後ろを向くと、さっきとは雰囲気の違う魔族が立っていた。冷めた一つ目に屈強な肉体、縫い目のような口や長く鋭い爪と他の魔族より一段とおぞましい姿をしていた。

魔族はその長く鋭い爪でリドル達は切り裂こうとする。すると


「キンッ!」


襲ってきた魔族を片付けた父が魔族の攻撃を防ぐ。

お互いせめぎ合い、腕が震えている。


父「お前...強いな。さっきの魔物達より攻撃が重い。」

魔族「お前こそな。私が切り裂いた奴らより圧倒的な強さを感じるぞ」

父「てめぇ...!」

父「お前達!ここは俺が食い止める!お前達は森の方へ逃げろ!」

リドル「で、でも...」

父「安心しろ!俺がこいつら全員ぶっ飛ばす!」

ロエル「走れリドル!」

ロエルはリドルの手を引き全速力で森へ走る。


魔族「逃さんぞ」

魔族は父の剣を押し返し、目で追えぬ速度でリドル達の真横へ移動し再び爪を振りかぶる。父も瞬時に移動し魔族の攻撃を防いだ。


父「俺が食い止めるつってんだろ?」

魔族「ちっ...」


ロエル「はぁ...はぁ...」

リドル「はぁ...はぁ...」


ロエル達は無我夢中で森の中を走った。夜になるまで走り続けてへばってしまい、岩にもたれかかって休憩する。


リドル「やっぱり...俺達も...父ちゃん達と...一緒に戦おうよ...」

ロエル「ばか言うな...俺達じゃ...勝てねぇよ...」

リドル「俺達...修行したじゃん...俺達...強いって...」

ロエル「無理だ...修行しても...今の俺たちじゃ...魔物には...」

魔族「おっ!ガキがいるじゃねぇか〜!」

リドル「え...!?」

ロエル「まじかよ...!」

息を切らしながら会話をしていると、魔族が1匹現れた。


魔族「見回りとかしょ〜〜もないことを任されてたけどまさかガキ、しかも2人も見つけちゃうとはなぁ。産まれて数年の人間はさぞ新鮮で美味いんだろうなぁ。」

魔族「さて、どこから食おうか。やっぱり1番美味い脳みそから...いやじっくり堪能するために指からか...悩むなぁ...」

魔族がどこの部位から食べようか悩んでいると、ロエルが立ち上がり


ロエル「くらいやがれクソ野郎が!」

魔族「いてっ...!」


全力のパンチをお見舞いした。しかし所詮子供のパンチ、魔族にはあまり効かなかった。


ロエル「やっぱダメかよ...」

魔族「てめぇ...ガキの分際で舐めてんじゃねぇぞ!」

ロエル「ぐあっ!」


ロエルも顔面にパンチをお見舞いされ倒れてしまった。


リドル「ロエル!」

魔族「てめぇも邪魔だ!」

リドル「ぐえっ!?」


リドル倒れたロエルを心配して駆け寄ると、魔物がリドルを蹴飛ばした。


魔族「ひひっ、俺に歯向かうからこうなるんだ...そうだ、肉をしっかりほぐしてから食ってやるよ!おら!この!」

ロエル「がはっ!」「ぐあっ!」「が...!」


そう言うと魔族はロエルの体を踏みつけ始めた。何度も何度も至る所を踏みつけられ、血を流してぐったりしている。


リドル「ロエル!この野郎!」

魔族「邪魔だっつってんだろ!」

リドル「がはっ!」


魔族に立ち向かおうとするも顔面に強烈なパンチを喰らってしまった。鼻血がだらだらと垂れる。


魔物「あぁ!ムカつく奴らだ...本当にムカつく!...食う前に俺へ歯向かった罰を与えなきゃいけねぇなぁ...」


そう言って魔族は剣を取り出した。


魔族「まずつり目のガキ、お前からだ...!」

リドル「やめろおおおおおおお!!!」


リドルは再び立ち上がり魔物へ立ち向かう。


魔族「まだやるかクソガキ!いいぜ、まずはお前の首をぶった斬ってやるよぉ!!!」

リドル「これでもくらえええええ!!!」

魔族「何度も何度も!無駄なんだ...は?」


リドルが拳を振りかぶった瞬間、突如リドルの拳を赤黒いオーラが包む。魔族は危険を察知するが、至近距離だったため避けることができずリドルのパンチをモロにくらってしまった。リドルのパンチが魔族の腹に触れると、リドルの拳を包んでいたオーラが、一気に拡散し、消えた。


魔族「な...ごは...!」


魔族は腹に大きな穴が空き、血反吐を吐いて倒れ、やがて灰になった。


リドル「...倒した...ロエ...ル...」

リドルも力の反動か気絶して倒れてしまった。


... ... ...


... ... ...


(リド...ル...強...くな...れ...)


あの声が聞こえる。


(魔...王が...世界...滅ぼ...す...)

(君の...力...必要...だ...)


リドル「はっ...!?はぁ...!はぁ...!ここは...」


リドルが飛び起きると森の中ではなく見知らぬ部屋だった。

下を向くと包帯を巻かれた手が毛布をぎゅっと握っていた。


リドル「いだっ!」


急に背中が痛み背中をさする。背中にも包帯のような感触があった。

少し混乱していると部屋のドアが開き、人が入ってきた。

ガッチリとした体付きで、赤紫の髭が生えた男だ。


男「おっ、ようやく起きたか」

男はベッドの横にある椅子に座る。

リドル「おじさん、誰?」

男「俺はビアー、よろしくな。君は?」

リドル「俺リドル。おじさんここどこ?」

ビアー「ここは街の病院だ。君の村が襲われているって報せが来てね、向かっていたところに君ともう1人の子が倒れていたんだよ。昨日からずっと起きないもんだから心配したよ」

リドル「...はっ!ロエルは!?父ちゃんと母ちゃんは!?村の皆は!?」

ビアー「ロエルっていうのは君と一緒に倒れてた子かい?それなら無事だよ。今は別の部屋でぐっすり寝てるよ。パパとママも無事だ。村の人達は...全員ではないがたくさんの人が亡くなったよ...」

リドル「そんな...うぅ...うええええん...!」


リドルはショックで泣き出してしまった。それもそのはず大好きな村の人達がたくさん逝ってしまったのだから。


ビアー「すまんな...もう少し早く助けに行ければ...」

ロエル「何泣いてんだよお前」

リドル「いだっ!」


リドルは頭をポカンと殴られる。怪我をしているせいで前よりも痛かった。


リドル「ロエル!」

ビアー「起きてたのか...!ダメじゃないか安静にしないと...!」

ロエル「リドル、自分が助かっただけでも十分じゃねぇかよ。人のことばっか考えてるといつかお前も死んじまうぞ」

リドル「でも...うぅっ...ロエルは悲じぐないの...?」

ロエル「だから泣くなよ...!俺だって...!悲じいんだからよおおおおお!!」

リドル「ロエルううううわあああああん!!」

2人は体の痛みを忘れて抱き合った。

ビアー「2人とも...うおおおおおおおおおおおおん!!!」

ビアーももらい泣きしてしまった。


3人は数十分泣き続けた。泣き止んだ後、ロエルは看護婦に連れ戻された。


リドル「そういえば街って何のこと?」

ビアー「パパやママから聞いたことないかい?ここはパラノテアっていう街にある病院でね、君達の村から遠く離れた所にある街だ。時々村人が食べ物とかを買うために山から降りてここに来るんだよ」

リドル「あっ、母ちゃんから聞いたことるかも...!村よりも広くてすごい所だって。」

ビアー「ははっ、よかったら怪我が回復したら街を回ってみるかい?」

リドル「行ってみたい!」


リドル「...ねぇ、ちょっとお願いしてもいい...?」

ビアー「なんだい?」

リドル「おじさんって強そうだけど戦うお仕事してるの?」

ビアー「あぁ、俺はこの国で騎士をやってるよ」

リドル「だったら俺を強くして欲しい!」

ビアー「どうして?」

リドル「俺、強くなるために村の森でロエルと修行してるんだけど。全然ダメで...おじさんは騎士だから強い人に修行して貰えれば強くなれると思うんだ!」


リドル「あと、森で寝ちゃった時言われたんだ。「リドル強くなれ。魔王が世界を滅ぼす」って...」

ビアー「魔王が世界を滅ぼすねぇ...」

リドル「あれは絶対夢のお話じゃない!きっと誰かが俺に喋ってるんだ!信じてくれる?」

ビアーは口に手を添えて少し考える。

ビアー「...信じるよ。じゃあ、傷が完治したらやろうか」

リドル「やったー!いででででっ!」

喜びの万歳をすると全身に痛みが走った。


ビアー(ただの幻想な気もするがリドル君の村の襲撃やここ最近魔族が活発になっているのを考えると本当に誰かが語りかけてるのかもしれんな...しかし魔王か...本当ならかなりまずい事態だ...)


ロエル「なに俺抜きでそんな話してんだよ」

リドル「あ、ロエル!」

ビアー「君...!安静にしてろって...」

リドル「ロエルも一緒に修行しない?おじさんが強くしてくれるんだって!」

ロエル「へっ、当たり前だろ。お前が俺より強くなるのは嫌なんでな」

看護婦「ロ〜エ〜ル〜く〜ん?」

ロエル「あっ、やべ...!」


こうして騎士ビアーに修行を積んでもらう事になった2人は、数週間怪我の完治に専念し、いざ特訓...の前に父母に会いに行く。


リドルの親も襲撃の影響で怪我をしてリドルがいる所とは別の病院に入院していた。入院している間は手紙で会話し、怪我が完治したら村へ帰るつもりだったが、村への襲撃で帰る家は無くなっていて、復興も困難だそうだ。


仕方がないので移住先を探すが、パラノテアから遠く離れた村にしか自分達に合った場所が見つからない。これではビアーに稽古をつけてもらうため街を離れることができないリドル達に顔を合わせるのも難しく、2人とは離れて暮らすしかなかった。パラノテアに住もうという話にもなったが、父が自由人な上息子は自分がいなくてもやっていけると信じていたので、遠くの村へ移住することとなった。


なので今は父母に別れを告げるためにケルペロ乗り場へ向かっている。

ケルペロとは、全長が成人女性くらいの猪のような生き物である。足が速く、持久力も高いので乗り物として使われている。


移住先の村まで行く方法として汽車もあるのだが、鉄道が通ってない村に住んでいた2人にはどういうものか理解できず使えなかった。


リドル「父ちゃーん!母ちゃーん!」

父、母「リドル!」

乗り場についたリドルは泣きながら父母の元へ走り、抱きついた。


リドル「あいだがっだよぉ...!」

父「俺もだよリドル...!」

母「本当に無事で良かった...!」

父母も泣きながらリドルとの再会を喜ぶ。


父「ロエルも無事で良かった...!」

ロエル「お、おう...」


ロエルもリドルの親に会いに来ていた。ロエルに会いたい人はいなかった。父はロエルが生まれてすぐに病気で亡くなり、育ての親である叔母も村の襲撃で亡くなった。母は亡くなった叔母曰く、ロエルが生まれてすぐに行方不明なったたそうだ。


リドル「...」

ロエル「な、なんだよジロジロ見てよ...」

リドル「ロエル...!俺達強くなって、村の皆を酷い目に合わせたり、お家とか畑とか森とか、後は...え〜と...大切なものをたくさん壊した魔王を倒そう!」

ロエルは少し固まった後、ため息をついた。

そしてさっきまで曇っていた顔が晴れる様に明るくなった。


ロエル「そんなの当たり前だろ。俺達の村をめちゃくちゃにした野郎をそのままに出来るわけがねぇ、ギッタギタのボッコボコにしてやんよ!」

リドル「うん!ギッタギタのボッコボコにね!」

父「はっはっはっ!ずいぶん立派になったなお前達!俺も安心してお前達離れることができるよ」

久々の再会に元気が出た皆は、会えなかった時の話などで盛り上がるのだった。


父「じゃあ、俺達はそろそろ出発するか。リドル、ロエル、またな」

母「辛くなったらいつでも私達の所に来るのよ」

リドル「うん!」

ロエル「おう!」

ケルペロ「ぷぎいぃぃぃぃぃ!」

ケルペロ達が2人を乗せて移住先の村へ走ってゆく。


父「2人とも〜!元気でな〜!」

リドル「さようなら〜!」

2人は手を大きく振り、気づけば2人は豆粒くらいに小さくなっていた。


リドル「...うぅ...」

ロエル「泣くなよ...自分で決めたことだろ」

リドル「ぐすっ...うん!」

リドルは溢れそうになった涙を拭いて大きな返事をした。


ビアー「...2人とも決心はついたかい?」

リドル「うん...!」

ロエル「おう...!」

父母を見送った後ケルペロ乗り場まで送ってくれたビアーが入り口で待っていた。リドルは寂しかったが、後悔はない。


街へ帰った2人はビアーの家で暮らすことになった。そしてついに2人の修行が始まった。


それは過酷なものだった。村で自分達がやっていた修行など遊びだと2人は実感させられた。彼が留守にしている時も、他の兵士が修行をつけた。時には兵士の養成所へ赴き、訓練兵と手合わせすることもあった。


最初は逃げ出したかった2人だが、自身の志願を果たすために過酷な修行を続けた。2人は着実に強くなっていった。


街にも出かけた。村には無い食べ物、村には無い建物、どれも山育ちのリドル達には驚かされるものばかりだった。


そんな生活を続け、12年が経った


ビアー「2人とも随分立派になったな...!」

リドル「ほんと、もう18だよ。時が経つってのは早えなぁ〜」

ロエル「ガキの頃が懐かしいぜ」

リドルとロエルは過酷な修行を乗り越え立派に成長した。可愛らしかったあの頃と違いとてもたくましくなった。


修行を終えた2人は旅立つ前、パラノテアを出入りする門の前でビアーと話をしていた。


ビアー「12年前、君達に修行をつけ始めた頃が懐かしいよ。あの頃は夜2人が寝床で俺の愚痴を言っていたのをよく覚えてるよ」

リドル「え?聞こえてたの...?」

ビアー「最初は追い出そうかと思ったけど、愚痴を言ってもやる気はあるしそのままにしてたらまぁ立派に成長した!」

リドル&ロエル「あはは...」

2人は冷や汗をかいた。


ビアー「君達はすごかったよ。修行内容は養成所の訓練メニューとさほど変わらないのに今じゃ並の兵士よりも強いんだがら」

ビアー「ぜひ君達をうちの隊に入れたいが、君達にはやることがあるからね」

リドル「あぁ...!」


ビアー「12年前の村襲撃の後、魔族の活動が活発化している。それに、ここ最近魔族達は魔王と口にするようになった...君達なら魔王を倒せると信じているよ...!」

リドル「おう!俺達の村を潰した野郎をぶっ飛ばす!」

ロエル「あぁ!目に物見せてやろうぜ!」


リドル、ロエル「じゃあな〜!」

ビアー「期待してるよ〜!」

リドル達は手を大き振りながら旅立ち、豆粒のように小さくなっていた。


ロエル「そういえばどうやって魔王を探すんだ?」

リドル「とにかく冒険して探す!」

ロエル「宛てとかねぇのかよ!?」

リドル「そりゃあな!魔王討伐なんてそう楽なことじゃないよ!」

ロエル「おま...はぁ...こりゃ長旅になりそうだな...」


魔王を倒すべく、生き別れの母を探すべく


2人の冒険が始まった。

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