表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/34

月が消えていく


?『…マ。…エニ…グマ』


エニグマ『! ここは、夢の中?』


?『エニグマ、私の声が聞こえますか?』


エニグマ『お前は誰だ』


?『ここは貴方の夢の中、私は貴方に呼ばれてやってきたのです』


エニグマ『私が…お前を?』


?『貴方の中に渦巻く不安、私も理解できます。気づいたら知らない土地、知らない者達に囲まれて、不安だったことでしょう』


エニグマ『………』


?『貴方へ向けられる恐怖心は確かなようです。しかし、貴方はそれで良いのですか?』


エニグマ『ふん、私は嫌われてなんぼなんだ」


?『妹達に嫌われてもいいのですか?』


エニグマ『黙れ…』


?『もっと…心を…』


エニグマ『黙れ!貴様如きの朧げなやつが口を出すな!!私の夢の中から往ねッ!!』




グリフォン「うなされていましたが、何かありましたか?」


エニグマ「なんでもない、ただの悪夢だ…しかし、あの夢の中で出てきたやつは………」


空気が冷たい、あの時もこんな感じだったっけ。


…………


やはり、思い出せない。


……………ぐっ!!


頭痛が………



エニグマの脳内にとある光景が映し出される。



『逃すな!追い詰めろ、囲え!!』


『………』


『今あの化け物達はこの塔の中に追い詰めた、しかしあの龍が暴れてまともに近寄れぬ』


『そのまま焼き払って灰にしてしまおう』


『そう、それこそが正義なのだから』


『………させるか』




グリフォン「…お食事はここに置いておきます、好きな時にお食べください」


エニグマ「…ああ、ありがとう」


龍……私はあの二人以外にも、誰か『複製(コピー)』していた?



幻「えへへー、見てみて〜。かっこいいでしょー」


幻は手首辺りに何かを身につけていた。


エルドラド「何だそれ」


叡智「暇だから作ったんだってさ、なんだっけ?」


幻「あれすと・くろー!」


アルカディア「arrestclaw?」


幻「うん!見ててね!」


手首から放たれる小さな鉤爪が木にめり込む。


寂滅「おお、移動が楽になりそうだね」


エルドラド「といっても、飛べるから無意味じゃね」


幻「むー!こういうのはロマンなのー!ロマンは大事なのー!」


するとしゅるしゅると伸びた紐が一気に仕舞われていく、その勢いで幻は木にぶっ飛んでいった。


幻「いでっ!!」


寂滅「まだ練習してるもんねー」


幻「使いこなしたら絶対かっこいいもん!」





エニグマ「………」


エニグマは塔の地下深くまでやってきていた。


エニグマ「こんなに深い所まであったんだな。しかし、ここまで掘るということはそれほどバレたくないものがあるのか?」


真っ暗闇の中、エニグマは瞳孔を大きくして探索する。


ガタッ


右足が何かに当たった。確認する。


エニグマ「…………船?」


そう、そこにあったのは船だった。かなり大きい、小さな山くらいはあるだろう。彼女はそっと、その船に触れる。


エニグマ「…………!」


『バックアップデータを発見、崩壊したデータを修復します』



エニグマ「…………………あ、あぁ……」





?「…雲一つない綺麗な空。月も綺麗だ。…………むっ、何か光った?確認してみようかな」




ファントム「ふあーあ、流石に遊びすぎたかなぁ」


ライト「もう真っ暗だから帰ろうか」


ファントム「はーい」


?「…………!」


ファントム「………!」



二人「「そこにいるのは誰だ!!」」




?「油断したか、姿は消していたつもりだったが」


ファントム「姉さん、こいつ誰?」


ライト「さぁ?見た感じ蛙だけど」


?「そこの二人、何か光る物がここらに落ちてこなかったか?」


ファントム「しらなーい」


?「…なら、もうここに用はないな………ん?」



シュルルルルル



幻「いえーい!あれすと・くろーでかっこよく登場!」


ファントム「幻! 何それかっこいい!」


寂滅「やっほ、こんな遅くに何してたの」


ライト「遊んでた、今帰ろうとしてたとこ」


叡智「…お、あそこに居るのは?」


?「…不味いな、僕の目的はあくまであの謎の光の確認。ここらで変な関わりは持ちたくないな」


幻「……! 消えちゃった!」


寂滅「わお、怪しさ満点!」


叡智「…………」


叡智は月を見ていた、心なしか妖しさを醸し出している。


幻「どうしたの?」


叡智「…ああいや、なんでもないよ。折角だから送っていこうか?」


ファントム「ううん、大丈夫。帰れるよ」





?「…見つかるだなんて迂闊だった。僕の推測が正しければこっちに落ちてきたはず……」


?「…いてて、着地に失敗しちゃった」


?「……誰かいる?それに、あのマント…どこかで…」


?「そこに誰か居るの?」


?「!? あ…ああああ…」


?「ああ、月の蛙じゃないか!」


?「な、何でお前がここに!?」


?「僕も月の蛙なんだ、昔月から逃げてきた蛙が居たとか噂があったんだけど本当だったんだ!」


?「違う!僕は…」


?「何で逃げるの?僕達同士でしょ?僕も月から逃げてきたんだ」


?「月…から?」


?「そう、レオ様っていう人をあてにしてきたんだけど。きっと力になってくれるよね」


?「レオ…様…」


?「レオ様の居場所知らない?よかったら教えてよ」


?「知らない!!そんなもの知るもんか!!」


?「うわ、逃げた!薄情者ー!」


?「知らない!僕は関係ない…!!」





?「レオ様!」


レオ「…遅かったな、カワズ。月の様子は…」


カワズ「レオ様!!!」


レオ「…何があった、話してみよ」


カワズ「月の蛙が地上に来たのです!」


レオ「何?」


カワズ「あいつは僕が逃亡者だということを知っていました、それにレオ様を捜していると…!」


レオ「……まずは落ち着くことだ。そしてゆっくり事の成り行きを話せ。蛙の数は?ここに来た手段は?」


カワズ「一人です。月のマントを羽織っていました」


レオ「カワズ、お前は私の言うことを聞いていればいい。危険は及ばぬよ」



グハハ……追手が来ることはない。これからもだ。さぁ、あの策を実行するときが来た。


月を『入れ替えよう』






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ