(Ⅲ)
「それはそれは古代の貴重な物品リロ! 古代技術の結晶リロ!」
リリロロは鼻息を荒くして目を輝かせながら、自信満々で色々と見せつけてくるが、ガラクタにしか見えない。
そして、取り出す度にごちゃごちゃ何か自慢げに説明しているのが、わりとうっとうしい。
ブラシのついた円盤。先端に筒状の輪がついた棒。丸い顔のエイリアンみたいなロボットの置物。小型の空気清浄機のようだが送風口がないもの。やたら分厚くて前が見えない構造の水中ゴーグル。そして、小型のタブレット――。
「あれ、これって士官に支給されてるのと同じ……?」
リリロロが取り出した小型タブレットを指さして、自分がもってるタブレットと見比べてみる。
「そうリロよ。士官さんのもってるその通信用タブレットも、オペレーターさんたちが使ってるコンピューターも、古代技術の転用で作られたものリロ。ただ、その本来の性能の十分の一も発揮できていないといわれているリロ」
「これも、古代技術の一部……?」
「そーいってるリロ! 人類が地下に住んでいた頃の、そのもっと前の話リロ。古代人からしてみれば士官さんたちが使ってる端末なんて、地層深く掘り尽くしてやっと見つけた絶滅種の化石に過ぎないけどリロね。 ふははリロ!」
そう言ってドヤ顔を見せつける。なぜこいつが誇らしげなのか。
「古代人はこれ以上の性能のもので何をやってたんだろ?」
「んーそれについてはリリロロもあまり詳しくないけど、古代人はそれを使って、みな、ひとつのネットワークで繋がっていたらしいリロ。国を超えた数多の情報も、個人の意思も、ひとつのサーバーにまとめられて、全人類がそれを閲覧できるような状態リロ」
「え? ……みんながみんな揃いも揃って、それに繋がっていたの? 何を言っても筒抜けじゃない?」
「当然拒否する民衆もいたと思うリロ。でも、そうした情報源に群がるように世界行政が何らかの方法で仕向けたんだと、リリロロは推察するリロ」
「そんなことをすれば、一つの情報でみんないっせいに操られるんじゃない?」
「もちろん、そんな問題もあったリロ。情報操作、思想改造、情報崇拝、なんでもありリロ。……でもそれは村社会の小さなネットワーク上でも同じリロ」
「規模の問題なんじゃないかなあ」
「そんな些末な問題よりも、技術の発展を優先することが人類発展への展望にほかならないとリリロロは考えるリロ!」
「人類の発展って? 情報に支配されることが?」
「それが正しいか間違いかは、つまるところ関係ないリロ。
人類の進歩は止めてはいけないリロ。それが正義リロ。今のこの世も、莫大な時間がかかっても、古代で行きついた先に、また必ず再到達するリロ。どのみち話はそれからリロン。……ま、リリロロたちの世代には関係ないだろうリロけど!」
と、言ってリリロロは雑貨を漁り始め、何かを取り出した。




