「まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」
一応タグにBLは付けていますが、ギャグみたいなものです。
誤字直しました。ありがとうございました。
屈強な騎士っぽい野郎共に両脇を挟まれながら連行され、豪奢な部屋に入れられる。
その途端、
「貴様は、一体なんの不満があって逃げ出したっ!! しかも、城に付け火までしよってっ!! 前代未聞だぞっ!? 女神の化身とは言え、首を刎ねられたいのか貴様っ!?!?」
怒りに顔を歪めた尊大な態度の男(顔は美形)に、全力で怒鳴られた。
しかし、わたしだって非常に怒っているのだ。
「不満しかねぇに決まってんだろ、脳みそ詰まってんのかクソ野郎が。まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」
と、言ってやった。
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ことの始まりは――――
一仕事を終え、そろそろうちの方に帰ろうかと思っていたときのこと。
同僚に、わたしが管理している部署のことについて強く抗議された。
「あなたが他の部署の仕事のヘルプに行っていたのはわかっているけど、わたしのところの子に迷惑を掛けないで頂けますか? 可哀想に・・・あの子はあなたの部署に無理矢理連れて行かれて、あれこれと無理難題を押し付けられた挙げ句、酷く虐待を受けて、心身共に壊されてしまったんですよ? 責任を取って頂きますからね」
と、同僚の言う『あの子』が受けたという酷い仕打ちを聞かされた。
まさか、わたしが少し目を離した隙にわたしの部署の人間が他の部署の人にそんな非道なことをしているとは露知らず、平身低頭で同僚へ謝った。
「申し訳ありません。わたしの監督不行き届きです。言葉もありません」
恥ずかしいやら申し訳ないやらで、居た堪れない思いで謝罪をする。
「……次はありませんからね」
と、同僚は渋々と謝罪を受け入れてくれた。
酷く落ち込んだ気分で帰ろうとしたら――――
パッと足元に魔法陣が浮かび上がり、気付いたら石造りの建物の中にいた。
「おお、召喚が成功した。皆の者、女神の化身が我が国へ降臨されたぞ!」
見知らぬ人間に取り囲まれ、どういうことなのか事態を把握する前に、
「お前が女神の化身か。まあまあの顔だな。お前をわたしの妻にしてやる。子を産ませてやることを光栄に思うがいい。今夜は初夜だ。この娘を磨き上げろ」
いけ好かない尊大な態度の男(顔は美形)に告げられ、声を出す間もなくメイド服のような格好をした女性達に腕を取られて連れて行かれた。
着ていた服を無理矢理脱がされ、大きな浴場で数人掛かりで入浴させられた。香油で念入りに肌をマッサージされ、薄い服を着せられ、化粧を施される。
なにこれ? どういうこと?
「お綺麗ですよ」
「羨ましい」
「いいですか? 陛下に尽くすのですよ」
「陛下に情を掛けられるのは幸福なことです」
「決して陛下に逆らわないように」
「あなたはこれから一生、なに不自由無く暮らせるのですからね」
「毎日美味しいものを食べられますよ」
「平民では見ることも叶わない、とても美しいドレスや宝飾品で身を飾れるのですよ」
「陛下に身を任せるのです」
「呉々も、陛下のお気を損ねぬように」
そんなことを言い含められて、大きなベッドのある豪華な部屋に一人置かれた。
は? 意味わかんないんですけど?
これが巷で噂になっているという拉致召喚か……と、今更ながらに思い至った。
とりあえず、今は逃げよう。
ここでぽかんとしていたら、あのいけ好かない尊大な態度の男に襲われるのは確定のようだ。
貞操、大事。というかっ・・・
いきなり拉致して、ワケもわからないでいるひとに向かって、妻にしてやる? 今夜は初夜だ? 巫山戯るのも大概にしろよなっ!!
と、とりあえずベッドのシーツを破り、薄物しかまとっていない身体に巻き付ける。
それからカーテンやらシーツやらを裂いて編み、縄の代わりにして、窓から逃亡を図った。
窓の外には見張りはいない。わたしのことを、逃亡する意志が無いと舐めくさっているようだけど、それはそれで好都合。
逃亡ついでに、部屋に置いてあった酒をベッドへとたっぷりと吸わせて、これまた見付けたマッチで縄へと火を点ける。
一応、この城っぽい建物は石造りなので大して燃え広がることはないだろう。人死には少し胸が痛むから。でも、あの忌々しい初夜の間とやらは燃え落ちろ! そして、二度と使えなくなれ! と祈りながら、燃え上がって行く縄を見て・・・
さて、とりあえず、無理矢理剥ぎ取られた服でも探しに行きますか。
暫く気配を殺していると、焦げ臭い臭いとうっすらした煙が広がっていることに気付く。
あちこちと慌ただしく人が行き交う。人の気配がする度、こそこそと隠れながら城に潜む。部屋がいっぱいあって、隠れ易くて助かる。
静かな部屋を見て回っていると・・・わたしの着ていた服は、ゴミとして捨てられそうになっていた。本当に信じられない! 人の服を勝手に捨てようとするだなんて、最悪だ。
発見できて本当によかった。見付けてからは自分の服を着て歩いていたけど、城の中では目立つと思い、使用人? の人達の着るような服を失敬して私服の上から着ることにした。
隠れながら城のあちこちを巡っていると――――城の端々に、わたしより以前に拉致召喚をされたと思しき女性達の面影が残っていることに気付く。
そして、古い倉庫に雑然と置かれていた……『家に帰りたい』、『虐げられてつらい』、『死にたい』などの恨み辛みの書き連ねられた日記らしき物を見付けてしまった。
おそらくは、《この世界》の人間には読むことのできない文字で書かれた……筆跡の違う文字、質感や年代の異なる紙などからして、複数人の女性達が辿った、非業の証。
怨嗟の叫びに、助けを求める言葉に、胸が痛くなる。
そうやって、彼女達の面影を追いながらこそこそとしていたのに・・・
「いたぞっ!! 捕まえろっ!!」
と、近衛? っぽい野郎に捕まった。
そして、両腕を背中で確りと掴まれ、逃げられないように豪奢な部屋へとまるで犯罪者の如く連行された。一応、放火はしたという自覚はあるけど……
国王だかなんだか知らないけど、ひとのことを勝手に妻にするだとか子を産ませてやるだとか、クソ戯けたことをのたまった顔だけ野郎が待っていて・・・
「貴様は、この国最上位であるわたしに情けを掛けられることに一体なんの不満があって逃げ出したっ!! ありがたくその身を差し出すどころか、城に付け火までしよってっ!! 前代未聞だぞっ!? 女神の化身とは言え、首を刎ねられたいのか貴様っ!?!?」
なんて怒鳴りやがるから、いきなり召喚されてわたしの意志を無視されて、妻だの子だのとのたまわれて、着ていた服を無理矢理剥ぎ取られて捨てられそうになったわたしは、マジ切れしてもいいと思う。
「不満しかねぇに決まってんだろ、脳みそ詰まってんのかクソ野郎が。まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」
と、言ってやった。
「は? い、今、なんて言った?」
ぽかんとした顔のクソ野郎。
「だから、不満しかありませんが? わたしとお話がしたいのなら、ご自分よりも上位の存在に無理矢理凌辱なされてから、いらしてください。交渉はそれからです、と言ったのです」
「え? いや、今……不満しかねぇに決まってんだろ、脳みそ詰まってんのかクソ野郎が。手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ、とか言わなかったか? 聞き間違い、か……?」
「あら? そうでしたか?」
あれ? おかしいな? 本音の方が出てしまっていたらしい。気を付けないと。
「い、いや、そんなことよりっ、無礼だぞ貴様っ!? わたしが貴様に情をくれてやろうと言っているのに、なんだその反抗的な態度はっ!?」
「え? 要りませんけど? 気色悪い。初対面の人間に身を任せる程、わたしは貞操観念も倫理観も低くないので。そもそも、異世界のひとを無断で召喚して、妻にする? 子を産め? それ、単なる拉致誘拐、監禁、そして婦女暴行。犯罪のオンパレードですから。どこぞの地域にある、誘拐婚って言う野蛮な風習の方が、まだマシな気がするわ。あれは一応、かなり困難だとしても、誘拐された花嫁が婚姻を了承しないで無事に家に帰り着けば、婚姻は無効になると決まっているし。《世界》が同じなら、自分の住んでいた地域からは地続きなワケだし」
花嫁の親族や友人が助けに来るかも……という希望がある分、少しだけどまだ救いがある。
けれど、ここは・・・《世界》が違う。普通の人には、隔てられた《世界の堺》を越える術はない。《別の世界》から《異なる世界》へと召喚されてしまった人は、孤独だ。
そんな状況で、いきなりとんでもないことを強要するだなんて・・・
「この国は、随分と野蛮な国なんですね? とてもとても文明国とは思えない非道なことを、平気で女性に強要する最低の国ですこと」
「我が国を侮辱するか貴様ぁっ!?」
「侮辱だなんてとんでもない。単なる事実に過ぎないと思いますが?」
にこりと微笑むと、クズ野郎が腕を振り上げて近付いて来る。どうやら、わたしを殴るつもりのようだ。
「ほら、そうやってすぐに暴力に訴えようとする」
「黙れっ!! 人が下手に出ていれば付け上がりよってっ!! 女のクセにっ!?」
真っ赤になったクズ男の顔。腕を掴む近衛? の力が強くなった。
《この世界》に降り立ってから、いつ下手に出られたのかわからないんですけどね?
「では、まずご自分よりも上位の存在に犯されて来てください。話はそれからにしましょう」
と、背中でひとまとめにされている腕をバッと振り払い、
「え?」
パチンと指を鳴らす。瞬間、クズ男が目の前から姿を消した。
「へ、陛下っ!!」
慌ててクズ男を探す近衛? 共。
『……おい、聞こえているか?』
そして、重々しい低い声が部屋に響いた。
「ハーイ、元気してるかしら?」
『それどころではない。今、そっちの世界から人間が飛ばされて来たが・・・あなたの仕業か?』
「ふふっ、ちゃんと届いていたみたいね? 彼、見目麗しいでしょ」
『顔立ちは整っている、とは思うが……』
「彼ね、わたしと交渉をしたいそうなの。でも、その交渉、彼が自分よりも上位の男に色々と蹂躙されてからじゃないと、始められない交渉なの。しかも、彼の方から持ち掛けた交渉よ。だからお願い、わたしに協力して? その彼は、身体を綺麗にしてこっちに戻してくれれば、なにをしたって構わないし、遠慮は要らないから」
そう告げた瞬間・・・
『もうヤっだ! 信じらんな~いっ!! 今丁度、魔獣討伐戦が終わったところで、アタシ汗だく血塗れ、いろんな肉片塗れのひっどい状態なのにっ! もう、こんな臭くて汚い酷い格好で綺麗で可愛い男の子を迎えないといけないなんて、どうしてくれるのよっ!!』
太い声のテンションが爆上がり、女性言葉になってわたしを詰る。
「え? じゃあ、あなたの準備が整うまで、それこっちに戻そうか?」
『それも嫌よっ、アタシ、今の話聞いて、身体が火照って疼いて堪らないんだからっ! 責任取ってちょうだいっ!?』
「ぁ~、わかった。それじゃあ後はよろしくー。終わったら連絡ちょうだい」
『あ、ちょっと待って。聞き忘れてたけど、一回で返さなきゃダメかしら?』
「ああ、あなたが鎮まったらでいいわ」
確か、戦いの後はいろんな欲求が爆発するとかしないとか・・・
『キャー、ありがとっ!! 大好き! 今度また一緒に遊びましょうね!』
「はーい。それじゃあまたねー」
『や、やめろっ!! そ、それ以上わたしに近寄るなっ!! アァァーーーーっ!?!?』
と、彼との交信が終わった室内に落ちるのは沈黙。
なんか、最後に変な声が聞こえた気が・・・?
ま、あれだわ。きっと、わたしとの話し合いを始める前の準備として、自分の身を以て色々と経験して来るのだろう。
彼、身長が高くて筋骨隆々。逞しくて、野生味溢れる偉丈夫。けれど、態度は紳士的でカリスマもあって、人柄なんかも本っ当にすっごくいい男! ではあるんだけど・・・唯一の欠点が、男の趣味が悪いことなのよねぇ。クズ男をアンアン言わせるのが大好きだし。
まぁ、あれだ。わたしとの話の前に、身体を張って色々なことを実地で体験しに行くとはさすが国王だ。素晴らしい自己犠牲精神! がんばれー。まぁ、あのクズ男とまともな話ができなくなったとしても、王位継承権第一位、第二位だとかの代わりが幾らでもいるでしょ。そのときはそのときで、別の人と話させてもらうことにしよう。
うんうんと一人で納得していると、
「こ、この魔女めっ!! 陛下をどこへやったっ!!」
怯えの混じる怒声が響いた。
「ああ、彼のところへ送ったの。だって、言ったでしょ? まずは、ご自分よりも上位の存在に無理矢理凌辱されてからいらしてください。交渉はそれからです、と」
「陛下よりも上位の存在がいる筈があるかっ!? 今すぐ陛下を返せっ!!」
「ふふっ……彼は、戦神なの。神、よ。だから、人間であるあのクズ男……国王よりも明確に上位の存在じゃないかしら? ねえ、彼はわたしに言ったわよね? この国最上位の自分に身を差し出すのが当然だって。ありがたがれって。たかが人間という矮小な身で、神という存在にその身を差し出せるという栄誉を与えられたというのに、なにが不満なの?」
「な、なにをっ……」
「ああ、わかった。クズ男が羨ましいの? あなたも、神にその身を捧げたいのね? いいわよ♪」
「ひぃぃっ!!」
パチン、と指を鳴らすと、情けない悲鳴と共に近衛? っぽい男が一人、《この場》から消える。
『アァァーーーーっ!?!?』
またしても変な声がしたような? ま、いっか♪
「他に、神へ身を捧げたい人はいるかしら? 一人二人だけじゃなくてもいいわよ? 彼、体力凄いから。あなた達みーんなまとめて、向こうへ送ってあげるわ」
にっこりと微笑むと、がたがたとみんな震え出した。寒いのかしら?
「お、お前は何者だっ!!」
「は? お前?」
「い、いえ、あ、あなた様は一体……」
「あら、あなた達は、《女神の化身》を召喚したんじゃなかったのかしら?」
「ま、まさかっ!!」
「なに? 自分達で召喚しといて、マジもんの女神が出て来たら驚くの? おかしくない? それとも、馬鹿なの?」
全く、ひとが《別の世界》のヘルプで留守にした、たったの数百年程度で、この世界の人間がこんな愚か極まりないことをしているとは、夢にも思わないじゃない。
邪神出現が片付いて《こっちの世界》に帰ろうとした矢先に、別の世界担当の同僚から、うちの世界の人間が同僚のところの人間を拉致召喚して、心身共に傷付けているなんて話を聞いてどんなにショックを受けたことか・・・
オマケに、自分でも体験することになって・・・
「でっ、ではっ、あなた様は本物の女神様であらせられるとっ!?」
興奮したような声が響き、なぜか喝采が上がる。
「女神様が陛下のお子を、次期国王を産んでくださるとは、この国も安泰だ!」
「は? なに言ってるの? 馬鹿なの? わたしは最初に言ったわよね? 初対面の人間に身を任せる程、貞操観念も倫理観も低くないって」
「そ、それは、はい。そ、その、もしも陛下のことがどうしてもお気に召さないのでしたら、他の王族の方との婚姻は如何でしょうか? 無論、お互いを知り合う機会と時間を設けますし、選ぶ権利は女神様にお与えしますので」
「・・・馬鹿なの?」
あまりの愚かしさに、同じ言葉しか出て来ない。
「わたし、憤慨しているのよ? なぜ、わたしが見知らぬ人間の子を産まないといけないの? そもそも、なぜわたしがこの国に留まる前提で話を進めているの? 《女神の化身》として召喚した相手へ対し、理不尽を押し付け、その自由意志を蔑ろにし、虐げるだなんて、とんだ不遜じゃない? この国が、神に対しての敬意を持ち合わせていないことは、今までの待遇で十二分に理解したわ」
「そ、そのようなことは決してっ!!」
「ふふっ、その態度が示しているじゃない。さて、あのクズ男は彼の気が済めば無傷で戻って来る筈」
まぁ、精神の方まで無傷・・・とはいかないかもしれないけどね? でも、それってあのクズがわたしへしようとしたのと似たような仕打ちだし。
自業自得なんじゃないかしら?
傷付けるのなら、傷付けられる覚悟を。
ああ、いえ。そうじゃないわね。わたしより以前に、この国に女神の化身だとして召喚された、《他の世界の女性達》に比べれば、とても温情に溢れている処置と思う。
だって、彼は優しいから。おそらくは、むやみに虐げたりはしない。そして、身体的には無傷でこの世界にあのクズ男を還してくれるだろうから。
・・・これじゃあ、この国に虐げられた《彼女達》への償いとするのは生ぬるいかしら?
《彼女達》の付けられた傷は、とてもとても深い。身体の傷を無かったことにして、虐げられた記憶を消して、幸せになれるように! と目一杯加護を付与して元の世界へと還したとしても。《この世界の人間》が《彼女達》へとした非道な仕打ちが無かったことにはならない。
わたしも、《彼女達》のいた《世界》を管理している同僚も、忘れない。
「この世界に於いて、異世界からの召喚を禁ず。召喚魔法の発動を禁ず。使用者は、召喚魔法発動の意を、命で以て贖いを。償還に於いては、その限りに非ず」
この世界の存在に、異世界からの召喚魔法発動を禁じ、意志を以て発動させようとした場合は、発動者が絶命するように。そのように、《この世界の理》を書き換える。
そして、償還・・・《異世界からの者》を、《元いた世界》へと『償い還す』ことに対しては、制約には当たらないことを書き加える。
まぁ、《この世界の存在》に召喚魔法を禁じさせたとしても、なにかの拍子に《別の世界》から落ちて来たり、迷い込んだりする存在が稀にあるのよね。
「異世界からの迷い人は丁重に扱いなさい。相手に害意や殺意がある場合には、その限りではないけれど。とりあえず、召喚魔法を使用した年月分、この国から神の加護を取り上げるから」
「へ?」
「魔術の発動、農作物の育ち、病害虫の発生、疫病の発生、魔獣の発生。その他諸々に対する付与、抑制の加護や祝福が、これから一切無くなるから覚悟なさい。報いを受けなさいな」
それじゃあ、がんばって? と、わたしは一旦神界へ戻ることにした。
✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧
それから、数日が経って――――
あのクズ男ともう一人が《この世界》に無事戻された。
やっぱり、彼は優しい。身体的に傷は全く付いていないし、痩せて栄養状態が悪いワケでもない。精神はその限りじゃないけど。ちゃんと無事に戻してくれた。『世界間の安寧に協力するのも神の務め。いつでも大歓迎よ♡』というメッセージ付きで。
なにやら、クズは男の存在にやたら怯えるようになったとか、幼児退行してまともな話ができなくなったと聞いたけど・・・これで、『異世界に召喚されて理不尽な目に遭った女性達』の気持ちを少しはわかるようになったと思う。
そして、あのクズ男の次に国王になった人間は、クズ男の様子を見て、わたしの決めた《世界の理》に対して、青ざめた顔で快く同意してくれた。
「女神様のお心のままに。我らはその裁定に従い、我が国の罪を償わせて頂きます」
とのこと。話のわかる子でよかったわ。
――――さて、数百年放置していたことだし。
他にも愚かなことをしている国がないか、目を光らせなきゃ。
彼も、『いつでも大歓迎よ♡』と言ってくれてることだし。懲罰にもなって、お友達とも友情を深めることができる上、《世界間》の平穏にも貢献できる。これぞまさに、一石三鳥ね♥
さ、お仕事お仕事♪
――おしまい――
※償還は誤字ではありません。お金の返済などの用途で使用される言葉ではありますが、作中では文字通り『償い、還すこと』という意味で使っています。
というワケで、「まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」終わりました。
異世界に召喚されて、勇者や聖女をさせられて、王族と結婚を迫られるという話がよくありますが、誘拐婚と似てるよなぁ……拉致誘拐されて、理不尽を押し付けられたらキレて当然じゃね? と思ったのがきっかけでできた話です。そしてあんな落ちに。(笑)
主人公、女神なのにめっちゃ口悪いです。ちなみに、クズ男をキャッチアンドリリースして無傷で還してくれた戦神は、身長2メートル越えの筋骨隆々とした野性味溢れる偉丈夫で、普段は寡黙でクールを装っている、クズ男好きの隠れオネエ(あんまり隠れてないかも?)で、主人公の戦友。趣味と中身がアレなこと以外は、めっちゃいい男です。(笑)
補足説明。異世界の女性の召喚を繰り返していた理由としては、女神さまが余所の世界のヘルプに行っちゃったからです。なかなか戻って来ないので、「女神さまカムバック!」って神官が祈ってたら、余所の世界の女性が現れた的な感じです。
最初の頃の『女神の化身』として召喚された女性は大事にされていたっぽいのですが、王族が『女神の化身』に手を出しちゃってからは「女神さまカムバック!」よりは嫁取りの方に歪んで行き、段々と『女神の化身』を粗末に扱うようになったという経緯です。
そして数百年後、本物の女神さまを召喚してぶちギレられるという本編へ……ですね。
以上、最後まで読んでくださり、ありがとうございました♪
感想を頂けるのでしたら、お手柔らかにお願いします。