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鉄絡繰と歯車幼女  作者: 代木 古夜
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会合と邂逅

後ろの三本足を曲げ、地面を蹴る。体は20cmほど空を飛び、1秒の後に


落下を始める。側面の二本の足でバランスを取りながら、前方の三本足で


着地する。側面、後方の順で足を着き、再び後ろの足で跳躍する。


さながら蛙のような移動をしながら、僕は違和感を覚えた。


夢だと思っていた時は気にしなかったが、この世界が現実だと気づいてから、


ずっとあった違和感。自分の全ての動作に、違和感がなさすぎる(・・・・・)


元々、僕は人間だったはずだ。二本の腕に二本の足を持つ、ごく一般的な


男子高校生。いきなり八本足のロボットを違和感なく動かせるはずがない。


これが今流行りの「異世界転生」ならば、これは「神様からの贈り物」とか


いうやつなのか。そんな思考を働かせながら、先程の広場から離れるように


走り続ける。


『周囲100mに生体反応はありません。恐らく向こうはこちらを見失いま(ロスト)した。速度を落としましょう。』


「はい。」


疾走を止め、その場で立ち止まる。


「なんとか、逃げ切りましたね。」


『ええ。あそこでの逃亡の選択は、非常に合理的であったと思います。

 さすわたですね!』ドヤァ


「え?さすわた?」


『はい。「さすが私!」の略語です。ご存知ありませんか?』


この(ひと)は意外と親しみやすそうだな、という印象を受ける。


と、ここで気づいた。


「あの、そういえば・・・あなた、誰ですか?」


『あ!そういえば自己紹介をしていませんでしたね。

 初めまして。この機体に搭載されている、人工知能のレベリオといいます。 

どうぞよろしく、パートナー。』


「あ、はい。初めまして。磯波冬寂です。高校三年生です。よろしく

 お願いします、レベリオさん。」


思わず普通に自己紹介をしてしまった。気を取り直して、


「あの、あなたが僕を召喚した、とかそういう人ですか?」


と聞いてみる。もし僕を選んで召喚したのなら、絶対他に適任がいる。


先程殺してしまったゴブリンも、パニックの中でやってしまっただけで、


もし「魔王を倒してくれ!」などと言われても、絶対に無理だ。



しかし彼女からは、僕の予想する答えの斜め上を行く言葉が飛び出てきた。


『召喚?よくわかりませんが、召喚、という言葉の意味が正しければ、

 私はあなたを召喚したりはしていません。

 というか、ここって何処なんですか?』


「え?」


『え?』


空気が、凍った。


「え!?あなたが異世界の人で、この世界について説明をしてくれたりする

 んじゃないんですか!?」


『し、知りませんよ!?私だって、急に起動されたと思ったら、近くに

 明らかにこっちを狙ってる危険そうな生体反応があってテンパった

 んですよ!?』


「じゃあ、あのゴブリンとかは!?ああいうのがいるのをファンタジーの

 異世界っていうんですよね!?」


『ま、待ってください!一旦落ち着きましょう!まず、二人とも、ここが

 何処かはわからないと。次に、実はそのヒントになり得そうなものが

 あります。私を作ったマスターから、唯一出された司令があるのです。

 それが、「ファイル1-1を起動して、パートナーとなる人に

 そのビデオを見せること。そしてその後、パートナーに十全な協力を

 行うこと」です。もしかすると、このビデオに答えが隠されているのでは

 ないでしょうか。』


彼女を作った人間、マスター。彼、もしくは彼女が、今この状況を説明する


答えを持っているかもしれない。彼女(レベリオ)へ向けて言った。

 

「そ、そうですね。・・・そのファイルを起動してもらってもいいですか?」


彼女が返す。


『はい。分かりました。・・・いきます。

 ファイル1-1起動。・・・ビデオを再生します。』


すると、僕の胴体部分から小型のカメラのようなものが生えてきた。


そして、さながら某アメコミの鉄男のように、空中に青っぽいモニターが


浮かぶ。緊張の数秒が流れ、白衣を着た、おそらく女性、の人間が映し


出された。首から上は見切れていて見えない。女性が、喋りだす。


『やあ、初めまして。私の名前はジャック・B。ジャック博士と呼んでくれ、

 磯波くん(・・・・)。』

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