夢現とロボ転生
初の連続小説です。
至らぬ点や、描写の矛盾、誤字など多く在ると思いますが、
温かいご指摘を頂ければ幸いです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
ホワワワン、と春の暖かさを知る。
「春眠、暁を覚えず」とはよく言ったものだ。暖かな春の陽気と、
つまらない国語のどうでもいいようなウンチクの垂れ流し。
(い・・み・・・)
その二つがタッグを組めば、あらゆる自制も
理性も為す術はないのだ。
(い・・そ・・み!磯波!おい!磯波冬寂!)
「は、はいっ!」
僕は、車海老もビックリのスピードで上半身を愛しの机からはね起こした。
ブラックタイガー顔負けの瞬発力を見せた僕だったが、今重要なのは
そこじゃあ無かった。僕はどうやら国語の時間に居眠りをしてしまった
らしい。国語の担任は、その拳骨で数々の悪童を地に沈め、怒りの顔は
不動明王の如く、「泣く子のSAN値が削れきって笑い出す」と恐れられた
鉄血鬼国岡だ。彼女を怒らせ、高校生にもなりながら大泣き
させられたやつは数え切れないほどいる。僕は必死に頭をフル回転させ、
彼女の拳骨から逃れる術を模索した。しかし、あらゆる術は打開策に
ならないと言う現実が、無情にも僕の前に横たわった。僕は観念し、
恐らく数日は頭痛に悩まされるだろうから、最悪湿布でも頭に貼っ付けて
しまおうか、
と考えながら鉄血鬼の顔面を直視した。いや、正確には彼女
の顔面が存在するであろう空間を直視した。
しかし、そこには怒り狂う鬼女の顔も、後光の射すような聖母マリアの顔も
なく、代わりに、夢の続きのような光景が広がっていた。
「・・・は?」
僕の目の前には、森が広がっていた。毒々しい色をした草が高く僕の身長
近くまで生えていて、茸の胞子のようなフワフワとしたものを放出している。
まばらに生えている木は、灰色と紫が混じったような葉を付けていて、
やはり毒々しい胞子を放出している。そして、何より僕の視線を
強く惹いたのが、眼前5~6M程先に存在する、見上げる程大きな石塊だった。
これらの異常な光景を目にし、僕はようやく、これが夢である
ことに気づいた。
「なんだ、ゆめならそれでいいや。わーい、
もうちょっとねむれるぞー。うれしいなー。」
と僕は考え、あたりを見回そうとした。すると、僕の首が180°回転した。
僕の首が180°回転した。
「うっ、うわああああ!」
僕は叫び声を上げ、180°回転した顔の下、即ち背中が位置するはずの
場所を見ようとした。すると、僕の首は動く気配を見せなかったが、
視線は降下し、でっかい飯盒のような黒光りする物体と、
それにくっついている幾本かの機械の足を映し出した。
「わわっ、わああああああああ!」
僕は驚き、思わず大きく後退りし、(おそらく)胴の方から倒れ込み、
さながら胴もちをついてしまった。倒れ込んだ地面は湿っていて、
すぐ横に水溜りがあった。思わずそこをのぞきこむと、そこには、
でっかい飯盒に足を生やし、監視カメラを乗っけたみたいなロボットが
こちらを覗き込んでいた。
「」
僕は絶句し、数秒の間をおいてから
「ふふ、あはははは、ははははっ」
笑いだしてしまった。
まさか転生願望どころか人外への憧れもあったとは。自分の精神状態が
少し心配になったが、しかし同時にここまで吹っ切れて頭のおかしい
世界なら、やはり夢だろうと確信し、僕はこの夢を楽しむことにした。
「じゃあ、まずは周りを歩いてみようかな」
僕は、8本の足を使い、歩きだすことにした。
・・・転んだ。