8話『休養』
私は天界に入り、レルラの看病で休養している。
ここに来る間に
「フン、すぐ壊れたな」
「ああ、子鬼の分際で我らになり変わろうとするからだ」
「あんなのそのままにすればいいのに」
と私を侮辱する声をワザと聞こえるように言っている天使がたくさんいた。
それを聞いてレルラは
「ああ、姉さま、殺意が湧いてくる」
と言って何か良くない雰囲気になったので
「落ち着きなさい、レルラ……大人しくね、ここで暴れれば私もあなたも死ぬよ」
と忠告した。
パラスは
「ここで休養してもらいます、天使たちは入れないようになっている場所ですのでご安心を」
と言った。
それを聞いて
「私達は入っても大丈夫なんですか?」
と聞くと
「結界を調整しているので私が許可した者しか入れないのですよ」
と言って私を安心させた。
レルラは
「入って来ても私が殺すから大丈夫だよ姉さま」
と言った
私はすぐさま
「止めなさい」
と言ってコツンと頭を叩く。
そして
「では、休養後に訓練をそのまま受けて頂けるようにした方がいいと思いますがどうします?」
と聞いてきた。
流石はパラス、私が負けた理由の一つが鬼人化だとすぐに分かったようだ。
恐らくこれからこの状態が続く以上すぐに対応をした方がいいという考えなのだろう。
恐らくしばらくはサキュバスの行動は放置されるが私が死んでどうしようもなくなるよりかはマシだと考えたのだろう。
私もその好意に応えるように
「分かりました。お願いしますね」
と言って了承した。
それを聞いてパラスは
「ありがとうございます」
と言ってその部屋から出て行った。
恐らく訓練のための準備を整える為なのだろう。
私も子鬼であるため、治癒能力はかなり高いのであった。
鬼人化したせいで今は体の自由がないが元に戻るのもそう時間はかからない。
レルラは
「姉さま、やっぱりサキュバスは狩るの?」
と聞いてきた。
私はレルラに
「お金も美味しい物も貰えるからね」
と言った。
レルラは
「本当に? 本当にそうなの? あの事件がきっかけじゃないの?」
と聞いてきた。
私にとってもレルラにとってもあの事件は考え深い物がある。
もしかしたら私はそれが引っ掛かってるのかもしれない。
だが
「やり切らないと私自身が自分に自信が持てなくなるから、やり切るよ」
と言った。
レルラは
「分かった。姉さまはこれに関しては話を聞いてくれないし……でも心配している妹がいることを自覚はして必ず生き残ってくれたらいいよ、怪我をしても私が治すから」
と言って頭を撫でてくれた。
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「そうか、子鬼が怪我を」
と一人の老人の様な者が話す。
そこにいたパラスは
「訓練の準備をするべきです、彼女は良く頑張ってくれていますがサキュバスは狂暴です、そして強い悪魔は本当に強い、そのためにも!」
と老人に言った。
老人は
「そうだな、パラス、天使を使った訓練か……それは私も賛成だ……ルシファーの件で他の神からも天使の評判は低い……それを払拭するにもそれはとても必要なことだろう」
と言った。
パラスは
「では! お願いできますか! ゼウス様!」
「そうだな……この話はまた考えようじゃないか……今は彼女を見てあげなさい」
と言って優しい笑顔で送り出した。
そして老人は
「アレス……聞いていたか?」
「ああ、聞いていたさ、ゼウス」
と言って笑っていた。
そして
「お前の考えを聞かせてくれ」
「天使たちを使った訓練は良い、とても良い」
「そうか……」
「だがそれでは不十分だ!! たかだか訓練如きで得られる力など少ない!」
「ならばどうする?」
「そこで、私の考えは!」
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私が寝ているとパラスが現れた。
「ゼウス様から訓練の事を話しました」
「そう? どうだった?」
「前向きに考えてくれてるみたいです!」
「それはそれは」
私はおやつを食べながらパラスを見た。
レルラは
「姉さま、頑張ってくださいね」
「はいはい」
と言って私はレルラの笑顔を見て笑い返した。
パラスは
「なのでエルネティ、貴方も気を引き締めてくださいね!」
「わかりました」
と言って伸びをして
「さてと、傷もほとんど治癒してきたし! 頑張りますか!」
と言って気を引き締めた。