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土砂降りの中

俺は外を眺めた。雨が降っている。入学式の日から雨とか、ついてないな。電車の車体に雨がポツポツと降っている。この様子だと、入学式が終わる頃には土砂降りになっているだろう。

俺は青咸あおみな駅で降りて、乗り換えをする。想像以上に重い通学鞄は俺の足取りをさらに重くする。そしてホームに着いた時、ちょうど電車が来ていた。俺は駆け込もうと走る。が、視界に入ったのは妊婦さんだ。俺は何も考えずに足を止め、妊婦さんを乗せてあげた。そしてドアは閉まった。窓から妊婦さんは申し訳なさそうにこちらを見ているが、俺が頷くと、ありがとう、とでも言うように微笑んだ。お腹の中の子、無事に産まれると良いですね。そう思いながら、俺は微笑み返した。そして電車は俺の目の前でゆっくりと出発した。

次の電車が来たのは10分後だった。でも別に良かった。久しぶりにいいことをしたような達成感に喜びを感じており、初日に学校に遅れることなんてもうどうでもよく感じていた。俺は電車に乗り込み、角で車両に寄りかかりながらスマホをいじっていた。

途中で俺は、正面に同じ制服を着た男子が立っていることを知った。声をかけるのも良かったかもしれないが、今はそんな気分ではなかった。今は、なんというか、ドヨーンとして、ずっしり重みを感じる気分。入学式からこの調子じゃ、いいことは何一つないだろう。

赤七海駅ー赤七海駅ー

車内のアナウンスが流れ、俺はイアホンで流れている、Funky Monkey Babysの「あとひとつ」をとめた。俺はこの曲がリリースされてからずっと聞いている。おまけに、野球が大好きな俺にとってはまさに神曲だ。

アナウンスとともにドアが開き、俺はダッシュで電車から降りた。駆け込み乗車はダメだが、駆け込み降車が悪いなんていうことは聞いたことがない。しかも、時間的にも追い詰められていた。この雨の中、いくら学校が駅から3分だといえ、自分のクラスの場所とかを確認している間に集合時間になってしまう可能性は十分あった。なんといったって、あと5分しかないのだから。五分経ったら、もう先生が説明を始めてしまう。初日から遅れるのはごめんだ。


予想通り、俺は集合3分前に学校に着いた。そしてクラスを探したが、生憎最上階だ。ということはエレベーターが車で待たなければならないということなのか?それとも自力で10階まで行けということなのだろうか?流石にこの荷物では無理だな、と思い、遅れる覚悟もしながらエレベーターを待った。幸運なことに、同じ車両に乗っていた生徒もエレベーターを待っている。仲間がいるから安心だ。

エレベーターは2分後に来た。俺が最初に乗り込み、もう一人が後から乗った。その生徒も10階だ。クラスは?と聞きたかったけど、そんな余裕はなかった。後30秒、、。

ポーン。エレベーターが10階に着いた!俺は猛ダッシュでエレベーターを降り、自分の教室に向かった。あ、あった!後2秒でチャイムがなる。これは滑り込みセーフか?



俺の中学校生活は滑り込み()()()で始まった。

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