〜second〜
【将貴…―】
心の中で呼んでみる。
返事はない。
当たり前の事。
『〜〜♪〜♪』
携帯が鳴り響く。
電話だ。
発信先を見ると友紀からだった。
【一瞬将貴かと思っちゃった…】
『もしもし??』
『零那ぁ明日将貴と遊ぶんだけど零那も来ない??』
『えッ?!』
【将貴に…会えるの??】
『あッ!なんか予定あったあ??ごめんねぇ』
『………。』
【将貴に……会える?】
『零那ぁ??』
『あッ!ごめんッ行く!!行くよ♪』
『だと思ったあ♪零那…将貴の事好きだしょ?(笑)』
【えッ…??】
『ちッ…違うし!!』
【ドクッドクンッ】
『零那自分に素直になんな??』
素直になる。
友紀の言葉が心を揺らがせる…―
『…将貴ともっと一緒にいたいとか近づいてドキドキしたり赤くなったり…―それは好きッテ事なのかなあ??』
『………。』
友紀貴女は今何を思っていますか??
この先に知ることになる貴女の気持ちに気づいてあげられなくてごめんね。
でも、将貴の事
自分の気持ちに素直になれたのは…―
他の誰でもない
友紀のおかげなんだよ??ありがとう。
ごめんね。
『零那…それでいんだよ。零那はちゃんと将貴を好きだと思うよ??応援するから頑張んなよ!!(笑)』
目からこぼれ落ちる涙で視界がぼやける。
『友紀ありがとう。』
涙は止まる事を知らぬかのように
次々と頬へとつたい落ちる…―
『んッ…でもッ私棗の事引きずってたのにッ…棗以外もう愛せないッテ思ってたのにッ…』
泣きじゃくる私の頭を友紀の優しい手が撫でる。
『零那は確かに棗を愛していたよ??でも、零那はちゃんと前に進む準備が出来たんだよ。零那…今度は絶対後悔しちゃダメだよ??幸せになんなよ??友紀は零那の幸せを願ってんだかんね??』
そう言って友紀は私を抱きしめた。
涙が止まらずこぼれ落ちる…―
【友紀ありがとう。】
そのまま友紀は私が泣き止むまでずーッと抱きしめててくれた。
『ぷッ…零那すごい顔(笑)目めっちゃ腫れてるし(笑)』
友紀は私が顔を上げるなりそんな事を言った。
『うッうるさい!!』
『ああんな事言ってると将貴に嫌われちゃうかもよ〜(笑)』
【えッ…】
『冗談だしッ!!零那まぢいい奴だかあら将貴も絶対気に入る♪だから零那は素直にその想い大事にしな。』
友紀が私の頭をくしゃッと撫でた。
友紀貴女はこの時どんな想いでしたか??
苦しかったよね??
悔しかったよね??
辛かったよね??
それでも友紀はいつもと同じ笑顔で微笑んでくれたよね??
私は友紀みたいに
強い人間に生まれたかった…
いつも弱音ばっかで
友紀がいないとダメで
頼ってばっかで
ごめんね??
友紀が
辛かった時
苦しかった時
私は気づいてあげられなかった…―
ごめんね。
【将貴を好き…―。】
【でも、将貴は私みたいな女嫌いかもしれない。
友紀はああー言ってくれたけど…】
心の中が渦巻く…―
『何暗ぇ顔してんだよッ!!』
『ビシッ!』
『痛ッ!』
将貴だ!!
将貴は私の顔を見るなり凸ピン。
【まぢ痛かったあ(泣)】
『痛ッてぇなあ(怒)いきなり何すんだし!』
『暗ぇ顔よかまだ怒った顔のがマシだな♪』
そう言うと将貴は私の隣に座った。
『………。』
また、沈黙。
【将貴は私といて楽しいのかな…】
『また……』
『へッ??』
『また暗ぇ顔してる。』
『俺心とか読めねぇーしでも、暗ぇ顔してんのわ分かっから…吐いてみ??』
将貴の真剣な瞳。
『………。』
『俺会ったばっかだけどお前の事まぢで大事なダチだと思ってっから』
ダチ。
友達…。
わかってたはずなのに
涙がこぼれそう…。
『私はッ…将貴の事友達なんて思ってないッ!!半端に優しくなんてしないでよッ!!私の気持ちは将貴にはわかんないッ!!』
【あッ…】
『そっか…まあお前が思ってなくても俺は友達だと思ってっからなんかあったら言えよ??』
将貴の微笑んだ顔が
寂しそうで
心が痛んだ。
将貴を傷つけてしまった後悔に心が押しつぶされそうだった…―
将貴…
貴方は今笑っていますか??
あの日貴方を傷つけて
しまった事今でも
後悔しています。
あの時の私は弱くて
貴方にこの気持ちを
届けられずにいました。
私の弱さが貴方に
あんな寂しそうな笑み
を浮かべさせてしまって…
ごめんね。
【なんであんな事言っちゃったんだろう…】
後悔
その2文字が頭の中を
駆け巡る…―
『可愛くねぇ…』
私は毛布を頭までかぶり眠りについた…―