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自称普通の高校生は異世界に行く

よろしくお願いします。

 俺には前世の記憶がある。

 そんなことを誰かに言えば速攻で救急車を呼ばれたり、腕の良いお勧めの病院を紹介されたりしそうなので、そのことは誰にも言わずにいた。


 その前世の記憶なんだが、やはりと言うか、現代日本ではではなく、過去の日本でもない。

 海外?それも違う。むしろ俺の知っている地球上のどの出来事にも当てはまらない、いうなれば異世界である。

 俺もよく読むネット小説やライトノベルでお馴染みの剣と魔法と魔物の世界、ファンタジー世界といえば通じるだろうか。


 前世の俺は名字も何もない、キースって言う名前のプッタ辺境伯の治める辺境の開拓村で猟師とする父と、薬師を営む母の息子として二十五歳まで生きていた。

 何でも千年に一度発生するっていう魔物の大量発生(スタンピード)に飲み込まれ、抵抗むなしく、最終的には両親共々に殺された。

 

 俺は幼い頃から父親からは狩りの技術、母親からは薬師の知識、魔法の知識、簡単な錬金術を教わっていたので結構活躍できたはずだ。

 まぁ、最後には魔物の津波に飲み込まれた訳なんだが……


 で、「あぁ、死んだな……」って意識が遠退いたんだけど、遠退いた意識が浮上する感覚があって、目が覚めれば現代日本に転生していたって訳だ。


 前の世界とは技術レベル、文化レベル等々の全てが違ったので、戸惑いながら赤ん坊をしていた。

 少しずつ成長していき、物が分かり始め、言葉を覚えて行く頃には前の世界と今の世界との違いがはっきりと分かってきた。


 大事なことなんだが、前の世界には潤沢に合ったマナがこの世界にはほとんど感じらない。

 つまり、この世界で魔法を使おうと思ったらとんでもなく高い魔力操作の技術が必要だってこと。

 三十歳を超えれば魔法使いになれるなんて伝説は嘘だ。

 なぜなら生まれ変わってから十五歳になるまで毎日毎日魔力操作の訓練をして少しずつ技術を磨いてきた俺がすでに魔法を使えるのだから。

 ただし、簡単な魔法だけどな。

 ちなみに俺は童貞だけど、それも魔法使いとは関係ないと思う。



 さて、そろそろ本題に入っていこうか。

 俺の名前は山田 太郎。現在十五歳の高校一年生だ。前世の記憶を持っているだけの普通の高校生だ。

 サラリーマンの父と専業主婦の母の元に生まれ、二つしたの妹が居て、隣に同じ歳の幼馴染がいる普通の高校生だ。

 少しだけ魔法が使えたり、身体強化魔法を使ってたまにズルしたりする普通の高校生だ。

 簡単な錬金術や、前世の記憶にある薬師の知識は生態系が違うためにあまり役立てることができなかった普通の高校生だ。

 

 俺の知ってる普通の高校生と全然違うけど、かろうじてギリギリ普通の高校生だ。



 そんな普通の高校生である俺は現在、森の中に居た。

 自ら望んで森に赴いた訳ではなく、気が付けば森に居た。何を言ってるのか分からないと思うけど……ry

 まさにそんな状態。訳が分からない。


 しかし、そんな訳の分からないなりに俺はどこか懐かしい感じを感じていた。

 マナが潤沢に感じられる。

 前世の詳しい感覚なんて忘れてしまったけど、日本とは全く違うマナの量から俺は此処が日本ではない事を直感で感じていた。



 まるで異世界転移したみたいじゃないか!



 前世の知識があって、更に異世界転移した事をなんと表現すれば良いんだろうかと考えた。

 

 それよりも思い出せ。散々お世話になったネット小説やラノベの知識を!

 まずは現状確認と周辺の確認、しいては情報を制するものは全てを制する!


 現在の俺の服装はブレザータイプの制服。もちろんノーマル。普通の高校生だからね。

 所持品は財布、学生手帳、スマホのみ。持っていたはずのカバンはどこにも見当たらなかった。

 ちなみにスマホは案の定圏外だった。ちくせう。


 つぎに周辺だが、俺の周りにあるのは木、木、木……

 つまりは森だ。足元には当然草が生えている。あ、薬草見っけ。

 

 うん。この薬草に使える草は日本ではお目にかかれなかったことからも異世界の可能性が高い。

 そして、俺の前世の知識に有った世界の可能性が少し高くなった。


 ここでネット小説やラノベなんかだと大体二つの選択肢に別れる。

 人里を目指すか、ここでサバイバルして一人で生きていくかだ。


 答えはもちろん決まっている。

 一人は嫌だ。寂しいのは嫌だ。これでも一応は普通の高校生だ。サバイバルなんて無理だ。やろうと思えば出来るけど。

 なのでまずは人里目指して行動を開始しよう。


 移動の前に俺は石を探すこと数分。

 黒曜石っぽい石を見つけたので、他の石に当てて形を整えながら石を砕いていく。

 ある程度の形が整ったら比較的平らになっている石に魔法で産んだ水をかけて研いで行く。

 ようは簡易的なナイフを作っている訳だ。

 今の俺は完全な丸腰。付近に獣が出た時に徒手空拳でどこまで戦えるか怪しすぎる。

 イノシシまでは何とか素手でも行けるとして、流石にクマが相手だとこちらも怪我をしてしまうかもしれない。

 もし、魔物がいる世界だとしたら最低でも武器がないと相手次第では死んでしまう事もある。

 なので簡易的とはいえナイフ一本あるのと無いのとでは生存確率が劇的に変わってくる。


 よし。完成。

 ナイフを片手にまずは獣道を探し始める。

 魔物も獣もある程度の縄張りを持ち、数日に一回、もしくは毎日縄張りを見回る習性をもつ。

 殆どが同じルートを通るためにその部分の土は踏み固められ草が生えなくなる。

 その獣道の足跡で獲物の大凡の大きさや種類なんかの情報が手に入るのだ。


 魔法による身体強化を使い、五感を強化しながら森を進んでいく。

 ここでネット小説やラノベなんかだと何らかのイベントが起きたりするんだろうな。なんて事を考えていると本当にイベントが起こってしまった。



 人はそれをフラグと呼ぶ。

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