始まりと理由
皆さんは霊の存在を信じるだろうか
信じるとまでとはかないが小さい頃から不思議な体験をよくしてきた
朝目が覚めると何故か仏壇で寝ていたり
台所で母の声がしたが覗いてみると誰もいなかったり
まだその頃は幼いながらに不思議だなーぐらいにしか思っていなかった
よく覚えているので当時親子四人で寝ていたのだが
夜中にふと目が覚めると外が異様に明るいことに気付き月明かりかなと思いベランダに目をやるとニヤリと笑う生首と目があった事がある
今となっては夢だったのかもしれないが鮮明に覚えていて思い出すだけでもゾクッとする
このような体験は年を取るにつれて減っていったが大人になった今でもたまにおかしな事は起こったりする
自分は人より少し霊感があるのかなと思うぐらいで特に気にはしていなかった
おかしなこととは具体的になんなのか
まぁ話すとキリがないので皆さんのご想像に任せてそろそろ本題に入ろう。
最近一人暮らしを始めたんだが
夜寝ていると物入れからカリカリと何かを引っ掻くような音がするのだ
部屋は分譲マンション家賃四万六畳ワンルームにキッチンとユニットバスと服など掛けれる大きめなクローゼットと言うのだろうか物入れがあるのだが
問題はその物入れだ
部屋の下見引っ越した当時は特に変わった所はなく三ヶ月ほど経つ今の今まで本当に何もなかったのだが
原因はなんなのか考えてみた
1ネズミ
住んでるとこは割りと都会でネズミが出る感じではないのだが一番にこれではないのかと思った
実家が田舎なのでネズミは頻繁に出没しネズミが出すカリカリという音がどんななのか知っていてそれに近い音だったのだ
物入れは三段あって上段が物置で手が届きにくい所にあり普段使わない物をしまっている
中段が服掛けるところでコートなどお気に入りの服をかけている
下段が大きめの物入れであまり着ない服扇風機などの家電製品
あとお菓子をまとめ買いして段ボールに入れ保管してある
ネズミがいるなら真っ先に手を出すだろう
物入れを念入りに調べたのちネズミ取りの罠を仕掛けた
が何も異常はなかったのだが1つだけ気になることがあった
それは数本の髪の毛だ
物入れの中に髪の毛なんて落ちるだろうか
しかも髪の毛の長さからして自分のではないのは一目瞭然だ
原因はネズミではない
2上隣の部屋の音
上の階と隣の部屋には住んでる人がいる
だが部屋の壁は割りと厚くカリカリとゆう音が聞こえるとは思えない
カリカリとゆう音を隣の部屋に聞こえるようにするにはカリカリではなくガリガリでないといけない
隣の部屋まで聞こえるほどのガリガリしなければいけない作業とは何なのか
油汚れがひどいキッチンの掃除
すきまに詰まったゴミの掃除
頭を掻きむしる
どれもあまり考えられない
3霊
これはあんまり考えたくなかったしありえない話だったのでこの考えに至るまでしばらく時間がかかったがもうこれしかないのではと思った
大体深夜0時から3時にかけて頻繁に起こるカリカリ現象略してカリ現としよう
カリ現はカリカリ・・カリ・ガリ・・・カリカリカリと約10分おきに聞こえてくる
気にしなければそれでいいのだが時計の音のように一度気にし始めると気になってしょうがない
久しぶりの霊現象
怖いよりもワクワク感の方が上回っていた。
次の日から本格的な調査を始めることにした
霊感は多少ながらあるかもしれないがそういった感じはあまりしない
思いきってカリ現中物入れを開けてみたが何もない
話しかけてみたが返事がないただの屍のようだ
ちょっとした霊体験はしたことあるが長続きはせず一瞬で終わる
だが今回は長いしどうにかしなければいけない情況
全くもって対処法がわからない
カリ現を起こしている霊
仮に霊子としよう、、カリだけに、、。
霊子はカリカリするだけで特に何かしてくるわけでもなく害はないのでお祓いや霊能力者などに頼る必要なないだろう
だがしかし霊感が多少あるだけの人間ではどうにもできない
そもそも何のためにカリカリ音を出すのか
霊というのは生前強く思っていたこと亡くなる直前の行動を繰り返すと聞くが
霊子は何をもって何をして亡くなったのか
それを知る術を知らない
霊とコミュニケーションをとる方法としてこういったものがある
Yesなら一回Noなら二回音を出すというものだ
時刻は深夜0時カリ現が始まった
僕は霊子に問いかけた
僕「はいなら一回いいえなら二回ノックしてください。あなたは女性ですか?」
・・・・・
返事はない
しばらく考えてる間にもカリカリと音が聞こえる
そうだ質問内容を変えてみよう
僕「はいなら一カリいいえなら二カリでカリカリしてください。あなたは女性ですか?」
・・・カリ・・・・
手応えあり
女性・・・とゆう事でいいのだろうか
僕「あなたはいい霊ですか?」
・・・・・
返事がない
少し怖くなってきた
僕「あなたは僕に何かしようとしてますか?」
・・・・・カリ
ヤバいこれはヤバい洒落にならない
霊子は俺に何か良からぬ事をしようとしている
霊がなにかする=呪い
これしかないだろう
あ、ここままじゃあ殺される
だめだこいつ、早くなんとかしないと
意を決して最後の質問をしてみた
僕「あなたは僕を殺すつもりですか?」
・・・カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
僕「うわあああぁぁあ"あ"あ"!!」
今までにないほどのカリカリ音
そんなに僕を殺したいのか
恐怖と驚きで床に退く
やはり僕には手におえない
大した自信も知識もなく軽はずみでこんな事するべきではなかった
僕は後悔しながら布団でガクブル震えながら朝を迎えた。
朝を起きると昨日の事は覚えているが恐怖心は少し薄れていた
昨日の激しいカリカリ音
あれだけカリカリしたら流石に傷が付くのではないか
若干怖かったが明るいとゆう事もあり物入れを開けてみた
特に変わった所はなかったように思えたがよく調べてみると気になる跡があった
カタカナのコの字のような傷があった
コ?まさか殺すのコではないだろうか
そう考えるとまた恐怖心が込み上げてきた
だが一日の半分を過ごすこの部屋
引っ越そうにもお金がなくそれもできない
やはり自分が何とかするしかないのだろうか
次なる作戦を考える事にした
今度の作戦は次の通りだ
物入れにコと書いてあったように霊子は文字を書くことが出来ることを知った
だが物入れに書いていたのではすぐにボロボロになってしまい部屋を出る際に修理代を請求されるとゆう理不尽なことが起こってしまいそうだ
ならばどうすればいいのか
答えは簡単だ
物ではなく紙に書いてもらえばいいのだ
素直に紙に書いてくれるとは思えないがこれしかない
用事を済ませて考え事をしていたらいつの間にか外は暗くなり夜を迎えていた
深夜までまだ時間があり夕飯を食べテレビを見ながらグダグダしていると物置からゴトッと音がした
ラップ音だろうかカリカリ以外の音は聞いたことがなかったのでビックリした
恐る恐る物入れを開けると掛けてあった服が落ちていた
なんだよビックリさせやがって
そう思い服を掛け直して扉を閉めるとカリカリと音がした
僕は耳を疑った
基本カリ現は深夜にしか起こらない
だが今は夜の8時
あまりにも早すぎる
まさか昨日の出来事で霊子が活発になったのだろうか
だがすでに準備は整っている
僕は昼間に買っておいたメモ帳を一ページ切り取り物入れに入れて置いた
しばらくしてカリカリと音がしてきた
そしてまたしばらくすると音がしなくなった
成功したか
物入れを開けて紙を見てみるとそこには[ゴメンナサイ]とだけ書かれていた
ごめんなさい?もしかして壁に書いてあったコはゴメンナサイと書きたかったのだろうか
だが何故謝るのだろうか
僕「どうして謝るの?」と聞いて再び紙を入れてしばらくしてのカリカリ音
物入れを開けると紙には
[キガイクワエルキハナイ]
[ヒッシデツタエヨウトシタ]
と書いてあった
なるほど
カリカリカリカリ激しくなったのは殺したいのではなくそんなつもりはないって事を伝えたかったようだ
カリカリする理由
つまり目的を聞いてみた
[トモダチニナリタイ]
うん、怖い!すごく怖い!ホラー映画で見たこあるような言葉だね
その霊語何とかならないかな
そんな事を呟きながらどうして友達になりたいのか聞いてみた
紙を入れるとカリカリカリカリカリカリカリカリと連カリが始まった
少し怖かったが音は数分で止まり物入れをあける
紙にはこう書かれていた
[いやー霊ってカタカナ使うのがマナーというかルールなんだよねー(笑)
まぁ、特に守る必要はないんだけどね(笑)
あ、はじめまして幽霊です(笑)
まぁ好きなように呼んでください(笑)
あ、怖くないように(笑)使ってるけどうざくないですか?(笑)
新しい人が引っ越してくる度に何とか友達になろうと頑張ってるんだけどなかなか上手くいかなくてさ(笑)
みんなすぐ出てくし何人かは自殺して死んじゃったんだよね(笑)
それでね最近あなたが引っ越してきて]
長いよッ!!!!
なにこの霊急にお喋り!!
え、なに?久しぶりに届いた友人の手紙!?
つか(笑)(笑)うるせーし自殺とか笑えねーから!!頑張りの空回りに人が巻き込まれて死んでるからね!?もはや殺人マスィーンだよ!!
自殺した理由考えたことある?多分君だよ!?青酸カリじゃなくてただのカリだからね!?
あまりの驚きに取り乱してしまった
まさか霊がこんなに積極的だとは思わなかった
紙の続きには壁が固くてゴメンナサイが書けなかったこと
一人で寂しかったなどが書かれていた
友達かぁ
僕は彼女もいなければ友達すらいない
幽霊の友達か、まぁ悪くないか
僕「いいよ、僕で良ければ」
霊子「・・・ありがとう」
さっきとは違い素っ気ない返事が返ってきた
僕「あれ?あんまり嬉しくないかな?」
霊子「違うの・・・嬉しくてついはしゃいじゃったけど・・その・・・恥ずかしい」
どうやら霊にも感情があるみたいだ
その後も何度かやり取りをして色々と分かったことがある
生前の事は覚えていない
自分の名前も覚えていない
なぜ死んだのか覚えていないこと
だが1つだけ覚えていることがあるらしい
それは家族だそうだ