表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風をよぶ君  作者: 東雲 滉那
二人の皇子
20/24

 侍女の一人の言葉に狭良は頷いた。「そうだったわ。入宮のお祝いにどなたかから頂いたのだけれど、化粧が好きでないから、どうぞ心置きなく使って頂戴」

 そう皆から言われては、逆に断るほうが失礼だと…そう思ったのか、嬉しそうに「ありがとうございます。喜んで使わせて頂きます」と答え、袂にそれを仕舞った。内心、いい拾い物をしたと思った。この白粉は、自分が壱ノ妃に命じられて交換した。謂わば高級品なのだ。下級貴族の金では買えない代物だった。


 ━━━━彼女の悲鳴を聞いたのは、その夜の事だった。

 ガタガタと音がして、悲鳴を聞きつけた侍女たちが事が起こった場所に駆けつける。遅れて、狭良や波蘭も駆けつけてきた。

 そこは、侍女部屋からすぐ外に出るとある廊下だった。彼女はうつ伏せに倒れていた。手には小さな手鏡がある。

 誰も駆け寄ろうとはしない。苦悶の呻きはもう聞こえなかった。誰もが最悪の状況を想像した。血はない。

「私が見る。」波蘭は侍女たちを押しのけて、倒れた人の胸に腕を通し、仰向きにさせた。その瞬間、誰もが息を呑んだ。

 美しかったその顔は見るも無惨に爛れていた。肉の腐った臭いがして、皆が顔を顰める中、偶然通った羽虫のみが美しいとでも言っているように、その顔に止まった。

「皆は部屋に戻りなさい」静かな、だが有無を言わさぬ声が響いた。狭良の指示に従い、誰も何も言わずに帰る。吐きたい者はその場で吐瀉した。

 息はなかった。

「白粉だ」と波蘭は言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ