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風をよぶ君  作者: 東雲 滉那
宮廷の花びら
10/24

 フッと、子春が笑んだ。


「気をつけろよ」


 その難しさも、すべて理解しているから。


「…はい」


 守れる自信はなかったが、手に入れたかった。自分のものにしたかった。これが神に逆らうことになろうとも…。



***



「…は?」


 狭良は神官長の言ったことが理解できなかった。


「皇太子に嫁ぐ……なんの冗談ですか」


 冗談としか思えない。まさか、あの男は正当法で来た…と?


「冗談など言うか。勅命だ」


 狭良は押し黙った。


「私は島の出ですが…」


 神官長は、あぁ…と言った。


「位は第三妾妃だそうだ。折りを見て、貴妃に格上げすると」


 …あいつは馬鹿か、と狭良は心の中で呟いた。島の出が身分の低いことを示しているということを知らないのか。少なくとも、後宮に入れるほどの身分を狭良は持ち合わせていない。迷惑にも程がある。だが、彼女に拒否権はなかった。


「…慎んでお受け致します」


 これで神に祟られて死んだら、それは自業自得だ。あの時、興味本位で声に釣られた自分の所為だ。


「…神の血を継いだ子を産め」


 そう、神官長が呟いたのを狭良は聞き逃さなかった。

 神の血を継いだ子…すなわち皇太子。

 何故…?  皇太子の跡継ぎは既に在る。まさか今の次に立たれる皇太子は皇太子ではないと……そんなはずはあるまい。


 狭良はそのことに疑問を感じ、子穂に尋ねなかったことを後々後悔することになる。

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