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母がいない間だけ、幼馴染が俺の料理を食べに来る  作者: bonta
第二章 努力の程度は人それぞれ

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少しの休憩と、達成感

「一旦⋯⋯落ち着いたか⋯⋯」

 朝からの喧騒が一時的に収まる。時計は10時半頃を指している。ここまで来て、やっと客の数がまばらになってきた。裏の隠れたスペースで座り込む。


「お疲れ様、脇阪くん」

 ひっきりなしに動いていた接客側も一旦の区切りだ。夏希がお盆の上に乗ったお茶を俺に渡してくる。この短期間で随分様になったもんだ。


「そっちこそ、接客大変だったろ」

 受け取った茶をゆっくりと飲み込む。想像よりも疲れていたようで、飲んだ瞬間に安心感からか、どっと体が重くなる。



「大変ではあったけど、それよりも嬉しかったかな」

 こんなに大変なのにか、凄いなこいつは。


「俺はもう絶対飲食店なんてやらないと思ったぞ」

 出来上がった料理を提供するだけなのに、ここまで忙しくなるとは思っていなかった。


「でも、脇阪くんの努力が、やっと報われたから。それが嬉しい」

 ⋯⋯俺の事を他人に優しい。なんて言ってた癖に、俺以上に人に甘いんだな。

 でもなんとなく、言いたい事は伝わった。彼女は中学の俺の努力と、結果が結びつかなかった事を嘆いていた。


「そっか、そうかもな」

 だからこそ、こうやって今、みんなに認められている事が、嬉しいと言ってくれているんだろう。


「随分と俺に優しいんだな、あんまり甘やかされると困るぞ」

 夏希にそこまで言ってもらえるのは嬉しいのだが、釘を差しておく事にする。ここまでの事をされると、勘違いしてしまいそうになる。


「甘やかしてるつもりはないよ?それに⋯⋯」

 少し笑いながら、夏希は答える。


「こんな事するの、脇阪くんに対してだけだよ」

 その言葉は、勘違いするには、充分すぎる返事だった。


「それって⋯⋯」

「おーい!脇阪いるかー?」

 どういう事だ?と聞く前に、先生に呼ばれる。⋯⋯タイミング悪くないか?この人。


「おう脇阪、なんかお客さん来てるぞ?」

 調理場に戻ると、先生がそう言ってくる。客?誰だそれは、別に俺は文化祭に誰も呼んでないはずだが。


「晴って言えば分かるってさ」

 名前を聞いて少し顔をしかめる。夏希とお互い顔を見合わせる。


「呼んだのか?」

「まぁ⋯⋯一応弟ですし」

 本当に来るとは思っていなかったんだろう。夏希側も少し驚いている様子だった。というかあいつも夏希に呼ばれたんだったら、夏希を呼べよ。


「まぁ良いか、久しぶりに遊んでやるか」

 別に文化祭なんだから、誰が来たって問題じゃない。ただし⋯⋯


「晴がお前の弟だって、隠しといてくれよ?バレたら面倒だし」

 晴経由で、俺と夏希が幼馴染だとバレるというのだけは、面倒になるので避けたかった。


「そんな事言ったら、晴が可哀想じゃない?」

「まぁ大丈夫だろ、あいつは強い奴だし」

 そう言いながら、教室に向かう。


「あ、先輩!久しぶり!」

 そこにいたのは、一年前と変わらない後輩の姿だった。

「久しぶりだな、元気だったか?受験生くん」

 昼時に向かう前に、賑やかに一波乱起きそうな気がした。


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