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母がいない間だけ、幼馴染が俺の料理を食べに来る  作者: bonta
第二章 努力の程度は人それぞれ

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夜の寄り道は、少し楽しい

「和食、和食ねぇ……」

「な、悩むんだったら別のでも良いよ?」

 夏希の弱音を聞いた夜、二人で帰り道を歩く。

 登校する時は勿論別々で登校するのだが、学校で食事を終え下校する時は、家が近所の事もあって一緒に帰る事になってしまう。


 目下悩むのは幼馴染様ご提案の和食。なんだろうな、豚汁?でも豚汁って量作らないと美味くないんだよなぁ。


「ちょっとスーパー寄って帰るわ」

「あ、うん分かった」

 冷蔵庫に何があったか思い出しながら、スーパーに二人で入る。……二人?


「……なんでついて来てんの?」

「え?……に、荷物持ちしようと思っただけ!」

 買い出しに付き合わせるつもりは全く無かったのだが、「スーパー寄って帰る」は言い方が悪かったかもしれない。……まぁついて来るんだったら、自分で選んでもらうか。



「じゃあまずは魚か肉かで決めよう。どっちが良い?」

「……じゃあお魚で」

 二人で並んで鮮魚コーナーを見る。……周囲から見ると変じゃないか?この状況。家族でも珍しい状況だぞ。

 横を見ると夏希は真剣な眼差しで刺身を見ている。


「刺身買うのは辞めとけ、流石に明日までってなると鮮度が怖い」

 刺身には半額のラベルが貼られている。今日までなら問題はないだろうし、俺一人なら明日でも食うけど。


「じゃあやっぱり焼いたりするのが良いの?」

「まぁそうだろ、一本物があれば刺身もいけるだろうけど、家庭科室汚すのはなぁ……」

 夏希が来る前に、安く仕入れたハマチを捌いたら、次の日の家庭科室が魚臭いと苦情が入った事を思い出す。結構叱られた。


「え、脇阪くんってお魚も捌けるの?」

「別に難しくないぞ?どっちかっていうと皮引きの方が苦手だな」

 3枚下ろしまでは簡単なんだが、欲張って身を残そうとすると皮が切れるんだよな。


「……一応言っておくけど、脇阪くんって結構感覚おかしいと思うよ?」

 失礼な奴だな、魚捌きユーチューバー大好きっ子達に謝れ。

「多分その子達って結局親に捌いてもらうと思うよ?」

 え?嘘ぉ?みんな「捌いていく!」とか言って魚捌いてるんじゃないの?


 なんて馬鹿な事を話しているが、一応は鮮魚のコーナーを見終わる。明日食べるとするなら、目ぼしい物としては鮭の切り身あたりか、ただ、あくまで個人的な意見だが、鮭、味噌汁、お浸しなどの組み合わせは贅沢な朝食、というイメージを崩せない。


「脇阪くん、これってどれくらい食べられる量取れるの?」

 顔に出さないように頭を悩ませていると、夏希が魚のあらを手に取る。……なるほど、夕飯としては悪くないかもしれない。


「じゃあそれで作ってみるか、安いしな」

 半額シールが貼られているアラを三つ手に取り、買い物籠に入れる。


「頭は怖くて食べられない、とか言うなよ?」

「……脇阪くんって、結構私の事、子供扱いするよね」

 まさか、からかってるだけだって。

 レジを通した後、「私、荷物持ちだから」と軽い食材を頑なに持とうとしている所が、妙に背伸びをしているように見えて、可笑しくて仕方なかった。



「リア充……リア充だ……」

 ちなみに、バイトであろうレジの店員から謎の圧を感じたが、夏希は気づいてなさそうなので放っておく事にした。



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