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魔断の剣1 碧翠眼の退魔師  作者: 46(shiro)
第3章 邪妖の町

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第10回

「ここまでくれば、とりあえずは大丈夫でしょう」


 崩れた歩路を避け、冷水に膝半分まで浸かりつつ、組んだ煉瓦でできた細い水路を先に立って進みながら、朱廻が告げた。


「ここは離れた水源から町の各井戸へと水を運ぶ、地下水路です。町から逃げ出す際に使用したのですが、どうやらまだ(さざなみ)の手は回っていないようですね」

「漣?」


 耳触りの悪い、嫌な響きを持つその名前に、自然、眉根を寄せてセオドアが訊き返す。

 朱廻は肩越しに振り返り、うなずく。


「それが、この町を襲った魅妖の名なのです」


 思い出す辛さからか、艶麗な面がわずかに歪んだ。そして小さく息を()くと、口中の苦いものを吐き出すように、ぽつりぽつりと彼は話してくれた。


 昨日の昼、町長の館にある転移鏡から魅妖が現れたこと。

 結界を破り、眷属を呼び、妖鬼たちを召喚したこと。

 それから起きた惨事にはセオドアにもあらかた想像がついていたとはいえ、やはりおぞましさがつのる。

 だが。


 転移鏡……?

 昨日の昼……?


 妙に引っかかるその言葉に、足を止めたのも気付かず考えこんでいたセオドアの肩に、黙々と後ろに従っていたエセルが手をかける。


「おい、どうした? やっぱりきついのか?」


 セオドアの強情さに負けて下ろしたものの、まだ気にしているらしく、伺うように覗きこむ顔は本当に心配そうだ。


「だ、大丈夫だって」


 ひとから受ける厚意にはまだまだ慣れそうにない。

 その言葉がはたして正しいか、探るように見つめられているだけでむず痒くなる。

 避けようとしているのをさとられまいと、誤魔化すように、セオドアは立ち止まって待ってくれている朱廻との差を埋めるべく、2歩3歩と駆けだした。


 喧嘩してるはずだ、とあやふやに散りかけた感情をまとめようとする。

 途中、魘魅や妖鬼たちとのどさくさにまぎれてうやむやになってしまっているが、自分は、この性格のために怒鳴り合いまでしてしまったのだ。


 かといって今さらそれを自分の方からぶり返すわけにもいかず、つい、逃げたこともあって、セオドアは罰の悪い思いで目的地へたどり着くまでの道中、エセルと顔を見合わせることができなかった。

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