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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第4章 一閃、全ての因縁を断ち切って明日へ

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一刻を争うからこそ

要塞剛壁(ハードフォートレス)


 モンスターに包囲されきる前に阿南さんがスキルを発動する。

 大盾を地面に深々と突き立てると、俺たち全員を覆うようにして半透明の障壁が展開される。


「私が時間を稼ぐ。その間にどうやってこの場を潜り抜けるか考えるぞ」


「助かるよ、阿南」


 東仙さんが礼を告げた途端、頭上から再び、がしゃ髑髏の術式が降り注ぐ。

 それに呼応するように他のモンスターも一斉に襲いかかってくる。


 阿南さんが展開した障壁は、その悉くを受け止めてみせた。

 しかし、阿南さんに苦悶の表情が浮かぶ。


「ぐっ! これは……あまり、長くは持ちそうに、ないな……!!」


「分かった。それまでにどうにか策を講じるよ」


 言うと、東仙さんの視線が俺らに向けられる。


「——というわけだ。こんな状況だけど、作戦会議といこう」


「今、ですか!?」


 怪訝そうに声を上げる天頼。


「今、だからだよ」


 応えたのは、二階堂さんだった。


「時間が無いのは、重々分かっている。でも、ここで慌てたところで、まず状況が好転することはない。だからこそ、一度足を止めて策を講じるんだよ。それに……」


 二階堂さんの視線が俺に向けられる。


「どうするにせよ、少し彼に息を入れる時間を作らないとマズそうだからね」


「っ、剣城くん……!!」


「……俺のことは、気にしないでください。たとえ肺が裂けようが、手足がもげようが、絶対に足手纏いにはならないんで……!」


 ——蛇島を討ち取るまでは、必ず。


 半ば睨むように見据えながら言葉を重ねる。

 そんな俺を見て二階堂さんは、やれやれと小さく嘆息を溢す。


「じゃあ、できるだけ手短にいこうか。早速だけど、私から意見を言わせてもらってもいいかな?」


「お、もうなんかアイデアあんのか」


 征士郎さんが訊ねれば、


「まあね。時間がないから先に結論を言うと——私と征士郎くん、それと阿南さんはここでお留守番ね。私たち三人で鬼垣と周りのモンスターを足止めする」


「っ……!! へえ、随分と思い切った決断じゃねえか。ここで戦力を二分させるときたか」


「勿論、本当は全員で潜り抜けたいところだけど、流石にそれは無理そうだからね。なら、東仙さんだけでも蛇島の元に行かせるべきだ。四葉ちゃんとSAくんは、その補佐をお願い」


「わたしたちで、ですか?」


 天頼の問いかけに、二階堂さんは微笑みながら頷く。


「そ。移動中のサポートにしても、蛇島を相手にするにしても、私よりも四葉ちゃんの方が適任のはずだからね」


「わたしの方が……? そんなわけ——」


「それがあるんだよ。私の二天魔術……というより、光と闇属性の術式は、質量を持たない。だけど、四葉ちゃんの四大魔術のうち、地属性と水属性の術式は物理的な質量を持つ。毒に対抗するなら、そっちの方が相性がいい」


 なるほどな、二階堂さんの言うことにも一理ある。


 四大魔術と二天魔術に明確な優劣はない。

 あるにしても、扱える属性が多い分、汎用性が四大魔術の方に分があるとかその程度だ。

 でも、そのちょっとの優位性が大きな影響を及ぼすこともある。


 きっと天頼を補佐役に指名したのは、その為だろう。


「それと蛇島がいる八十六層まであと五層……スライムとスフィアだらけになってきた階層を突破するには、SAくんの力が絶対に必要になってくるはず。だから……君らに任せてもいいかな」


「……うす」


 俺の、力——か。


 確かにスライム種との相性が最も良いのは俺だ。

 掛け値なしにそう思う。


(……にしても、そうか。もう八十層まで来てたのか)


 もう少し、あともう少しだ。

 あともう少しだけ踏ん張れば、蛇島に刃が届く——。


「分かりました……!」


 暫しの沈黙の後、天頼が力強く頷けば、


「うん、いい子だね」


 二階堂さんは、柔らかな手つきで天頼の頭を優しく撫でてみせた。


「今回は思いがけない形で一緒にダンジョンに潜ることになったけど、また一緒に来ようね。今度こそ、約束してたコラボ配信でもしながらのんびりと」


「っ!? ……はい!!」


 溌剌とした返事と共に、天頼の表情が引き締まる。

 それを横目にしながら二階堂さんが、東仙さんと征士郎さんに顔を向ける。


「二人もそれで良いかな?」


「……ああ。すまないけど、ここは頼むよ」


「ったく、しゃあねえな。じゃあ、ここで思う存分暴れるとするか!」


 征士郎さんの槍に膨大な魔力が一気に籠められる。

 通常の器であれば、自壊しかねない大量の魔力——だが、征士郎さんの槍は、その全てを受け止め、破壊力へと変換する。

 それを可能としているのは、偏に征士郎さんのスキルによるものだろう。


 征士郎さんの攻撃準備が整ったところで、障壁を展開していた阿南さんが後ろを振り返る。


「——どうやら、話はまとまった……ようだな」


「うん、待たせて悪かったね。助かったよ、阿南」


「なに、礼には及ばないさ。それで……私はどうすればいい?」


「合図を出したら一度、障壁を解除してほしい。そしたら、征士郎くんが道をこじ開けるから、そのすぐ後に障壁を展開し直して。出す障壁は、カウンター性能のある方ので」


 二階堂さんが指示を出せば、


「承知した」


 阿南さんは、表情を崩す事なく淡々と応えた。

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