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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第4章 一閃、全ての因縁を断ち切って明日へ

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不穏な配信

「剣城くん、本当にもう大丈夫なの?」


 天頼に訝しげに訊ねられたのは、その日の午後のことだった。

 どこか浮かない表情をしているのは、俺が退院に踏み切ったからだろう。


「医師が大丈夫って言ってたんだから問題ないだろ。魔力は完全復活して、ついでにその影響で受けた傷も戦闘に支障ないくらいには回復したわけだし」


 蛇島に穿たれた左肩をぐるぐると回しながら、俺は答える。

 既に病着から学校の制服に着替えを済ませ、既に退院の手続きも完了していた。


 ちなみに、制服は俺が眠っている間にボスが事務所から持って来てくれていた。

 SAくん衣装は、この前の戦闘でボロボロになって、とてもじゃないが着れたものんじゃなくなってしまったとのことだ。


「それに……俺がいつまでもここで寝てたら、お前、配信も学校も休み続けるだろ」


「うぐっ、それは……」


「……図星か。なら、尚更さっさと復帰しないとだな」


 流石にこれ以上サボらせると今後に悪影響出て来そうだし。

 そもそも俺なんかの為に天頼の時間を浪費させるわけにはいかない。

 天頼には、ここ以外にも居場所があるのだから。


 ——俺と違ってな。


 最後に大小の刀を鞘袋に収納し、あとは部屋を出るだけとなった時だった。


「——なんだ、もう退院するのか」


 入り口からの声。

 振り向けば、阿南さんと東仙さんがこちらに歩いて来ていた。


 俺と天頼は、ぺこりと頭を下げる。


「あ……阿南さん。それから東仙さんも。どもっす」


「昨日、目を覚ましたって龍谷さんから聞いてお見舞いに来たけど……その様子だと、もう問題なさそうだね」


 言って、東仙さんは小さく笑うと、


「——しかし、まるで別人だね。魔力の量も出力もかなり向上している。今の君を見ていると、岩代さんを思い出すよ」


「親父を……っすか?」


「うん。なんていうか……今の君から感じる魔力の雰囲気が岩代さんとそっくりなんだ。ははっ、懐かしいなあ」


「そう、なんすかね?」


 自分じゃ全く分からん。

 なので、阿南さんに視線を向けるも、阿南さんは諦めたように頭を振る。


「東仙の感覚は独特でな。私にはさっぱりだ。だが、君の素顔を初めて見た時は、流石に自分の目を疑ったよ」


 ああ、そういや、俺が眠ってる間に一度見舞いに来てくれたんだったか。

 確かボスがそんなことを言ってた。


「……やっぱ、阿南さんもなんとなく気付いてはいたんすね」


「アウトブレイクの最中、君からスキルの詳細を聞いた時にはな。とはいえ、その時はまだもしかしたらって程度でしかなかったが」


 おい……それ、出会って最初も最初じゃねえか。

 なら顔を隠してなかったらボス同様、その時点で確信されてたかもな。


 阿南さんも当時、親父と親交が深かった一人だったらしいし。


「それはそうと、龍谷さんは?」


「入り口まで車を回しに行ってます。多分、もうそろそろ来ると思いますが——」


 天頼が答えた。

 ——直後だった。


「四葉、剣城!!」


 水森が息を切らしながら病室に駆け込んできた。

 手にはタブレットがあり、何やら音声が流れている。


「陽乃、そんなに慌ててどうしたの?」


「どうしたもこうしたもないわ! これ見て!」


 言って、水森は抱えていたタブレットを見せてくる。

 画面では、ダンジョン配信が行われていた。


 刹那——場の空気が凍りついた。


 いかにも捨てアカウントと言わんばかりの乱雑な英数字で書かれたチャンネル名。

 登録者はまだ数人でチャンネルが開設されたのは今日。

 投稿動画は一つもなし、ライブ配信もこれが初だ。


 にも関わらず、アクティブ視聴数は一万に達しようとしていた。


 理由は三つ。


 一つはカメラが映している映像だ。

 そこは、夜空が広がる平原のダンジョンだった。


 実際にこの目で見たことはないが、映像や画像で何度か見たことがある。

 通称”夜空のダンジョン”——現時点で国内最長であり未だ攻略が完了していないダンジョン。

 つまり——東京湾ダンジョンだ。


 東京湾ダンジョンは、立地と出現するモンスターの関係から踏み入れる冒険者の数が少ない関係上、配信が行われることはあまりない。

 だから、東京湾ダンジョンで配信をするだけで一定の視聴数は見込める。


 それから、二つ目。

 配信のタイトル『東京湾ダンジョン第八十七層』だ。

 未だ誰も到達したことのない階層であり、これが本当に八十七層なのか嘘なのかは分からないが、東京湾ダンジョンであることは確かなので、それで更なる集客が可能となる。


 だが、それらは俺らが凍りついた理由にはならない。

 緊張が走った原因は、三つ目にあった。


 ダンジョン内の映像の他に、カメラは二人の人物を映し出していた。


 どちらも鈍色のマントに身を包んでおり、フードで顔を隠している。

 しかし、それだけで緊迫させるには十分だった。


「どうして……ここに、蛇島が……!?」


 アクティブ視聴数が一万を超え、時刻は十五時を回った。

 各々驚愕を隠せずにいると、蛇島がフードを外し、素顔を見せる。

 そして、すぐさま後ろで控えている鬼垣に合図を飛ばすと、柔和な笑みを浮かべて口を開く。


『皆様、本日は私の配信を視聴していただき誠にありがとうございます。私の名前は蛇島大魑——十年前の悲劇を再来させる者です。以後、お見知り置きを』

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