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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第4章 一閃、全ての因縁を断ち切って明日へ

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そばにいてくれたから

 急いで駆けつけた医師に諸々の処置を済ませてもらった後、医師から俺の身に何が起きたかを教えて貰った。


 まず結論から言うと、俺はあれから五日間も眠り続けていたらしい。


 蛇島に喰らった猛毒による大量の内部出血、それから極度の魔力欠乏による衰弱が重なった結果だそうだ。

 特に後者が酷く、俺がここに運ばれた時は、冗談抜きでいつ死んでしまってもおかしくない状況だったという。

 限度を超えた魔力の使い過ぎは、後で肉体に反動として返ってくるからだ。


 例を挙げるとすれば以前、天頼がアウトブレイク発生の翌日に全身筋肉痛になったのも、度を超えた魔力の消耗が原因だし、俺が現在進行形で同様の状態になっているのもそれだ。


 他にも重度の疲労に襲われたり、五感が著しく鈍ったりと症状は様々だが、更に魔力の消耗が激しくなると、生命の維持が困難になるほど衰弱してしまう。

 俺はその段階になってしまっていたようで、最初ここに運ばれた時は、いつ目を覚ますか……そもそも再び目を覚ますかどうかも怪しかったとのことだ。


 ——だからこそ、医師からしてみれば、俺がこの期間で意識を取り戻したのは奇跡以外の何者でもないという。

 ただ、もしかしたらと考えられる要因はあったらしい。


 一つは、俺の肉体が魔力欠乏状態に慣れていたこと。

 それともう一つは——、


「検査して判明したのですが、剣城さんの魔力の回復速度が常人のそれを凌駕していました」


「……魔力の回復速度、っすか?」


「はい、ここに搬送された時は、生きているのが不思議なくらいの魔力しか無かったはずなのに、一日も経過しないうちに魔力量が正常値にまで安定していました。これは本来あり得ないことです。少なくとも私は、あなた程の回復速度を持つ方に会ったことがありません」


「そんなに、なのか……」


 ——うん、全然実感がねえ。

 つーか、魔力が回復する速さに個人差ってあったことすら初知りなんだけど。


「ですが……だからこそ、無茶な魔力の消費に肉体が耐え切ることができた。もしかして、何か特別な訓練とかされてましたか?」


「いや、特には。強いて言うなら、毎日かかさず素振りしてたくらいです」


 もしかしたら、それが関係してんのか?

 ……いや、普通に考え過ぎか。


「それだけで……! 流石は、先代筆頭のご子息ですね」


「——っ!? ……なんだ、知られちまってたのか」


 まあ、組合関係の施設だし、気づかれてもおかしくはない。

 検査した時に魔力を採取したりしてたはずだし。

 何より本名を知られている時点でこうなる予想はついていた。


 それよりも……ここでその話題を出したってことは、だ。


「天頼、お前も……知ってるのか?」


 訊ねれば、天頼はこくりと頷き、


「うん。剣城くんが倒れたあの日、ボスに教えてもらったんだ。剣城くんと……先代組合筆頭との関係——血の繋がった親子だってこと」


 目を伏せ、申し訳なさそうに白状する天頼。

 聞いて俺は、思わず天井を仰いでしまう。


「やっぱ、そうか。最初から気づいてそうだったもんな、あの人。……ま、いつかはこんな日が来ると思ってたからいいや。それに……いつまでも隠し続けるわけにもいかなかったからな」


 言いながら内心、ほっと胸を撫で下ろす。

 もう隠さなくていいと思うと、ちょっとだけ肩の荷が下りた気がした。




「それでは……私は、これで失礼します。また何かあれば、気兼ねなくお呼びください」


 それから診察を終えた医師が部屋を退出した後のこと。

 俺は改めて、天頼と向き合う。


「さてと……改めて、俺の口から言わせてくれ」


 今、ここにいるのは俺と天頼の二人だけ。

 海良さんは、いつの間にか姿を消していた。


「ボスが言っていた通り、俺の親父は岩代銀仁——先代の組合筆頭だ」


「……本当にそうだったんだね」


「ああ。……ずっと黙っていて悪かった」


「ううん、気にしないで。誰だって隠したいことの一つや二つあるよ。……それこそわたしだって、小さい頃のことを他の人にあまり話したくはないから」


 言いながら天頼は、僅かに目を伏せるも、


「——だから……勇気を出してくれてありがとう」


 すぐに視線を戻し、にっこりと笑顔を見せてくれた。

 それだけで何故だか、ちょっとだけ救われた気がした。


「いいや、礼を言うのは俺の方だ。ありがとな、天頼。眠ってる間ずっと傍にいてくれて。さっき医師が、俺がこんなに早く目を覚ましたのは、奇跡だなんて言ってたけど、だとしたらそれは、間違いなく……天頼のおかげだ」


 目を覚ます直前、暗闇の中で差し伸ばされた手。

 今なら分かる。


 きっとあれは——天頼の手だ。


 もしあそこで手を伸ばしてくれなかったら、俺は未だに眠り続けてたか——最悪、もう二度と目を覚まさなかったかもな。

 ……つってもまあ、天頼としては、知ったこっちゃねえんだろうけど。


 だとしても——、


「本当に、ずっと俺の傍にいてくれてありがとう」


「え、えっと……あはは、どういたしまして?」


 当然というべきか、天頼は反応に困ったような笑みを浮かべていた。

 だけど、同時に頬をほんのりと赤らめつつも、


「……でも、当然のことをしたまでだよ。わたしは、君のバディなんだから」


 俺の目を真っ直ぐと見据えて言ってみせた。

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