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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第3章 銀の喪失、鋼の輝

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ベタな潜入方法

 広大な敷地の中を慎重に駆け抜ける。

 今の所、監視カメラや赤外線センサーといった警備システムの類は見当たらないが、触れた生き物を瞬殺しかねない電気柵を設置してある施設だ。

 警戒を緩めるわけにはいかない。


「——SA、まだそんなに肩肘張らなくて大丈夫だぜ。まだ周囲にヤバそうなもんはねえ。少なくとも、建物の中に入るまでは問題ねえと思う。もうちょっと気楽に行こうぜ」


「……うす」


 海良さんがそう言うんなら大丈夫か。

 冒険者ランクは一緒だけど、隠密行動に関してはずっと先達なわけだし。


 それに金網をぶった斬ったにも関わらず、警報の類が何一つ鳴っていないところから鑑みるに、そこまでガチガチに厳重にしているわけでもなさそうだ。


 ちなみに海良さんのスキルは、”騒閑音(そうかんおん)操術”。

 周囲の音の大きさを操ったり、音波を発生させたりする他、自身や対象の聴力を変化させるスキルだ。

 このスキルを買われて海良さんは組合に入ったとのことらしい。


 それから程なくして、報告にあった高密度の魔力反応が確認された棟の前に辿り着いた。


「ここっすね」


「だな。旧研究所の中でも一番古い建物らしい。移転する前からずっと使われずに封鎖されてたって話だから、何かを隠してやるにはうってつけだよな」


「確かに。……それで、どこから侵入します?」


 無人とはいえ、正面から突っ込むのは些かリスキー過ぎるだろうし。


「うーん……ここは、ベタだけど通気ダクトとかから入るのがベターかもな」


「通気ダクトって……ホントに侵入に使うんすね。創作だけの話かと思ってました」


「俺もこの仕事始めるまでは、映画の中だけだと思ってたよ。けど、これが意外といけちゃうんだよなー。ま、実際にイケるかどうかは確かめてみないと分からないけど」


「なるほど。じゃあ、兎にも角にも抜け穴探しっすね」


 けど、そう都合良くあるもんかな。

 それに抜け穴探すのに時間をかけ過ぎるのも悪手になりかねない。


 ——うむ、どうしたもんか。


「悩む必要はねえよ。この程度、俺にかかればお手のものよ」


 言って、海良さんは術式を起動させた。

 両手それぞれに練り上げた魔力を幾つか飛ばして、建物をぐるりと囲い込むと、


全方位反響(アラウンドソナー)


 静寂。

 しかし——、


「オッケー、大体分かった。こっちだ」


 海良さんは何の躊躇いもなく、建物の裏へと歩き始めた。

 俺もすぐにその後ろを付いていきながら、


「……あの、今何をやったんですか?」


「反響定位だよ。ほら、コウモリとかクジラがよくやるアレ。そいつを術式に応用、昇華して建物の構造とかを立体的に把握した」


 ……なんかサラッと言ってるけど、普通にぶっ飛んだことしてるよな。

 崎枝さんもそうだったけど、戦闘が専門じゃないってだけで持ってるスキルの性能だったり練度がえげつねく高えよ。


 まあ、冒険者組合直属の冒険者だからって言われたら納得なんだけど。

 そもそも冒険者組合って、入ろうと思って入れる組織じゃないし。

 確か超高倍率の採用試験を突破するか、海良さんみたく向こうからスカウトされるかでないと冒険者組合所属の冒険者にはなれなかったはずだ。


 そんなことを思い出しているうちに入口の真裏まで回ったところで、海良さんが頭上を指差した。


「ビンゴだ。ほら、あそこ」


「……本当だ。マジでダクトがある」


「アレくらいでかけりゃ余裕で潜り込めんだろ。後はこいつがちゃんと中に繋がっているかだけど……っと」


 海良さんは、再び術式を起動させる。

 今度は一つだけ魔力を生成し、ダクトの中へと放り入れる。


単音反響(シングルソナー)


 またも無音。

 超音波なのか、海良さんだけが聞き取れる特殊な音なのかは分からないが、


「……うん、問題なさそうだな。途中、ファンがあるけど、ぶった斬るか銃でぶち抜きゃいいだけの話だし」


「結構雑っすね」


「丁寧に解体してたらキリねえからな。それに破壊した時の音は俺のスキルでどうとでもなるし。んじゃまあ、さっさと入ろうぜ」


「入るってあそこ三階っすよね? あそこまでどうやって……」


 答えはなんとなく予想がついてるが、念の為訊ねると、


「んなもん、よじ登るに決まってるだろ。それ以外に何があるってんだ?」


 うん、ですよね。








 ダクトを無事に抜け、天井裏から通路に降りる。

 一応、海良さんが先行して中の様子を確認してくれてはいるが、俺も気配を殺しつつ周囲を警戒する。


 監視カメラとかのセキュリティは……無し。

 魔力反応も……特にない。

 誰かがいるような気配も……なさそうだな。


「……とりあえず、ここは安全そうだ」


 言うものの、海良さんの表情は険しい。


「——妙っすね」


「お前もそう思うか、SA。なんで外側はあんだけご大層な仕掛けをやってんのに、なんで中はこんな無防備なんだ? 監視カメラ一つすら設置されてないって、はっきり言って異常だぜ」


 ハズレ……いや、そうだとしても不自然なことには変わりない。

 ——じゃあ、なんで……?


 思考を巡らすが、答えは一向に出る気配はない。


「……まあ、ここでうだうだ考えても仕方ねえか。さっさと調べてずらかるぞ」


「うす。まずどこから調べます?」


「そうだな……ひとまず地下を目指すか。人目を避けるなら地下でやるのが定石だろうからな。こっからは気ィ引き締めていくぞ」


 俺も警戒を改め、建物の奥に足を踏み入れることにした。

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