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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第3章 銀の喪失、鋼の輝

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厳堂旧研究所

 実際に潜入調査を実行したのは、組合本部に赴いてから五日後のことだった。

 俺は組合から派遣された冒険者と共に、都心からかなり離れた山奥までやって来ていた。


「ここが、任務場所か……」


 茂みの中から人気が一切感じられない施設を見据える。


 株式会社厳堂(げんどう)製作所——通称”厳堂カンパニー”。

 レジャー用品から武器までダンジョン探索に必要なありとあらゆる装備を一から手掛ける大企業で、多くの冒険者がこの会社の世話になっている。

 俺が以前使っていたサバイバルナイフも厳堂カンパニー製だったりする。


 最近は、魔石から抽出した魔力を利用したエネルギー事業にも力を入れ始めているようで、その為の研究所も新たに設立したようだ。

 ——そんで俺たちが今いるのは、数年前の移転に伴って放棄された旧研究所と呼ばれている施設だ。


「本当にここに証拠があるんすかね」


「さあな。ただ、もう使われなくなったはずの研究所から高密度の魔力が漏れてるのを奈緒が見つけたんだ。少なくとも人に見られたくない何か隠してんのは確実だろ」


 答えたのは頭に巻いた黒いバンダナが特徴の男性冒険者——海良(かいら)さんだ。

 俺と同じくBランク冒険者であり、斥候や隠密行動を専門としている。

 先日、森のダンジョンで阿波さんと崎枝さんと一緒に来てくれた冒険者の一人でもある。


「なんか不祥事とか事故をやらかしたってわけでもねえのに完全封鎖とか怪しさプンプンじゃねえか。その上、ご大層に人を殺しかねないレベルの侵入対策を施してるとか、防犯にしてもいくら何でもやり過ぎだって。これでただセキュリティ意識が高いだけって話だったら、素直に警備員雇った方が安上がりだろ」


 海良さんの言う通り、敷地全体は金網でぐるりと囲まれており、上には侵入防止の為の有刺鉄線が巻き付けられている。

 事前に受けた報告によると、あの金網には魔力がバッチバチに流れているらしく、触れたら強烈な電撃で一瞬で丸焦げになるとのことだ。


 崎枝さんがスキルを使って調べたから多分、情報に間違いはないだろう。


「……それにしても、よくこの場所を見つけられましたね」


「それに関しては、奈緒様様だな。あいつがここから高密度の魔力が漏れてるのを見つけられなかったら、捜索はもっと難航してただろうぜ」


「ホント崎枝さんの眼えげつないっすよね。高性能の魔力センサーでも拾えない残留魔力すら視認できるって半端無さすぎますよ」


「それなー。あれでもうちょっと自力で自分の身を守れたら完璧だったんだけどな。まあ、あれだけの逸材だ。上が前線に出さねえか。全く、俺もあんくらい過保護にしてもらいたいもんだぜ」


 わざとらしくため息を吐く海良さん。

 嫌味とかは一切感じられないから、軽口を叩いてるだけだろう。


 ちなみに奈緒というのは、崎枝さんの下の名前だ。

 なんでも二人は同期とのことらしい。


「ま、ちゃちゃっと中の様子を見てズラかろうぜ。本部からゴーサインは、もう降りているしな。てなわけで——準備はいいか?」


「うす。いつでも大丈夫っす」


 頷けば、


「オーライ。じゃあ……お前のタイミングで始めてくれ」


「っす」


 脇差を鞘から引き抜き、刀身に魔力を籠める。

 同時に手元に別で練り上げた魔力を圧縮させ、空中に固定させる。


 ——霧散は……しないな。

 ……よし。


 維持できていることを確かめてから、圧縮魔力を遠隔斬撃を発動させながら数回斬りつける。

 直後、斬りつけた魔力を地面に落とすと斬撃が一斉に地面を這い出す。

 そして、遠隔斬撃が金網まで達し、綺麗に長方形に斬り裂くと、人一人が余裕で通れるくらいの隙間を作り出した。


「ひゅ〜、すっげえ。剣振っただけで遠くの物を斬っちまったよ。一体どういう仕掛けでああなったんんだ?」


「圧縮した魔力を斬って遠隔斬撃をストックさせて、その状態で地面に落としました」


 言うなれば、飛ぶ斬撃の応用ってところか。

 飛ぶ斬撃の安定度を上げる鍛錬をしていく中で見つけたものだ。


「はえ〜、かなり手の込んだ芸当だな。でも、なんでわざわざこんなやり方を?」


「なるべく痕跡を残さないようにするためっすね。遠隔斬撃を発動するには何かを斬る必要がありますから」


 とはいえ、残念ながら実用性はあまりない。

 このやり方で遠隔斬撃を発動させるとなると、無駄に魔力は消耗するし、実際に斬るまでに余計な動作を幾つか挟まないとならない。

 戦闘中に狙ってやるのは、ほぼ不可能と言っていいだろう。


 そもそもわざわざやる必要性があまりないという話ではあるが。

 ストックせずとも、速度を調整すれば擬似的な同時攻撃は可能だし、圧縮した魔力を地面に落とすくらいなら、直接対象にぶつけてしまった方が手っ取り早い。


 だからまあ、今回はたまたま数少ない使い時だったというだけの話だ。


「なるほどな。ま、なんにせよ、おかげで飛び越えずに済んだぜ。この感じだと警報の類も無さそうだし、ささっと中に入るとしようか」


「うす」


 頷き、金網をぶった斬ったところを通って敷地内に入ることにした。

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