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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第3章 銀の喪失、鋼の輝

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進展する捜査

 謎のマント男共を取り逃してからしばらくして。

 ボスに事の顛末を報告し、その流れのまま組合の人間に森のダンジョンへ来てもらっていた。


「すみません。みすみす犯人らしき奴らを取り逃してしまって……」


「いや、気にするな。事件の情報を入手できただけでも十分だ」


 言って阿南さんは、俺と天頼の肩に手を乗せてみせた。


 阿波さんの他に派遣されたのは阿南さんを含めた三人。

 一人はBランク冒険者、もう一人はDランク冒険者とのことだ。


「それにしても、肉体を液体化させる毒使いの冒険者か。……いや、まさかな。奴は十年前に——」


「ん、何か心当たりでも?」


「……いや、何でもない。今、考えても仕方ないことだ。それより……崎枝、そいつの正体は分かったか?」


 マント男が設置した何かがある方に視線を向けながら言うと、そのすぐ傍らで屈んでいる若干プリン気味な金髪ショートの女性に声をかけた。

 崎枝と呼ばれた女性はバッと立ち上がり、敬礼しながら振り返ると、


「バッチリっス! 自分が調べた結果、こいつの正体は転移罠で間違いないっス!」


「やはりか。予想はついていたが、まさか本当に罠を設置しているとは」


「まさかっスよね。ただこれ……ダンジョンに自然発生している転移罠と魔力の構造が瓜二つなんス。少なくとも人工的に作られた罠じゃ、ここまでの再現は不可能っスよ」


 言って崎枝さんは、ため息混じりに肩を竦める。

 なんかサラッとお手上げです、みたいな感じなリアクションしてるけど、


「凄えな……ちょっと調べただけでこんなに分かるもんなのか」


「崎枝は戦闘は不得手だが、代わりに魔力探知や罠の解析に優れていてな。こういった魔力が絡んだ調査には欠かせないスペシャリストだ」


「そんなスペシャリストなんて大袈裟っスよ〜。自分の場合、スキルで人よりちょっとだけ目が利くってだけっス。なので、未だにDランクを彷徨ってばかりの若輩者っス」


 気恥ずかしそうにはにかみ、指先で頬を掻く崎枝さん。


 ……いや、普通に凄えよ。

 俺だったら、そこに罠があるってことくらいしか分からねえぞ。


 感嘆していると、天頼が崎枝さんに訊ねる。


「崎枝さんのスキルってどんな能力なんですか?」


「自分のスキルは”解析眼(アナライザー)”といって、魔力の流れや濃度、構造を詳細に可視化するってものっス。まあ、魔力が見えるだけなんで戦闘にはあまり役に立たないっスけど」


「見えるだけって……十分凄いじゃないですか!」


「そうっスか? いやー、天頼ちゃんに褒められると照れるっスね!」


 たはは、と崎枝さんは一頻り笑った後、表情を戻して阿南さんに向き直す。


「——阿南さん。これは自分の所感っスけど、これ多分、スキルで複製したものだと考えられるっス」


「……なるほど。根拠はあるのか?」


「まず一つ、さっきも言ったっスけど、魔力の構造がダンジョンで自然発生するものとそっくりなんス。最初、転移罠だと確認できた時は、人工的に作られたって線を疑いましたが、完全再現は有り得ない。なので自然物を利用したんじゃないかって考えになったっス。……まあ、罠を人工的に作成してるってのも飛躍した推理っスけど」


 確かにそんな話は一度も聞いた事ないしな。

 けど、普通じゃ考えられない事が起きている以上、突飛な考えでも一行の余地はあるとは思う。


「それと二つ目の根拠として、今の技術では罠を無効化せずに取り除いて流用するなんてことは不可能っス。なのにマント男は、転移罠を設置してみせた。だとすると、どこかにあった本物の転移罠をスキルで複製してここに移植した……って考えるのが一番現実味があるっス」


 崎枝さんが説明を終えると、阿南さんは腕を組んで口元に手をあてる。

 それから眉間に皺を寄せ、暫く黙り込んでいたが、


「……分かった。戻ったら複製系のスキルを所持した冒険者がいるかどうかデータベースに照会をかけるとしよう。それから、ここのダンジョンの退出ログを確認して容疑者を絞り込むぞ」


「了解っス!!」


 ビシッと敬礼をして崎枝さんは、


「天頼ちゃんもSAくんもご協力感謝っス! お二人のおかげで調査が一気に進んだっス!」


「いえ、そんな感謝されるようなことは何も……!! 犯人もみすみす逃がしちゃいましたし……!!」


「何を言ってるんスか!? さっき阿南さんも仰ったスけど、手がかりを掴めただけでも十分功績なんスよ! それにもし自分がお二人の立場だったら、今頃自分は毒の餌食っス!」


 あの、それ胸を張って言うことじゃねえと思うんだけど……。


 まあでも、やらかしたもんは仕方ねえか。

 ここはポジティブに捉えるとしよう。


「……ところで、あの罠踏んだらどこに飛ばされるんだ?」


「崎枝さんの仮説が正しければ、二十四層じゃないかな。アシスタントくんもあの時に助けた子も同じ階層に転移させられてたわけだし」


「だとしたら複製説確定っぽそうだけど……でも、確かめる為にわざと踏みたくはねえよなあ」


 一人で下層に飛ばされるのはマジ勘弁だし。


「そこは心配しなくていい。本部の許可が取れ次第、東仙に確かめさせる」


「あ、そうなんすね」


 Sランク冒険者の扱い雑じゃね?

 まあこれ以上ない適任だとは思うけどさ。


 思うも、口には出さないまま阿南さんらに捜査を引き継いで、俺と天頼は事務所に戻ることにした。

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