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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第3章 銀の喪失、鋼の輝

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マントの不審者

 何者だ……?


 気配の強さと漏れ出る魔力量が一致していない。

 不自然過ぎるくらいに。


(なるほど、あのマントが原因か……)


 すぐに気づき、同時に察する。


 ——あいつ、俺よりも弱えな。


 実力者なら相応に気配も消すことができるはず。

 なのにそうしてないってことは、出来ていないからと考えるほうが妥当だ。

 少なくとも隠密行動に長けてないのは確かだ。


 とにかく、今はもう少し様子見しとくか。


 茂みの中からマントの人物の動向を窺う。

 マントの人物は、頻りに周囲を見回しながらこっちに近づいてくる。


 見るからに怪しい。


 奴の警戒の対象は、モンスターではなく人間だ。

 近くにオークや他のモンスターが徘徊していたが、そいつらには気にも留めていないようだったから間違いない。


 そんな人間がこんな人気の無い場所に足を運ぶってことは、十中八九何か訳ありと考えるべきだよな。


 思いながらマントの人物の動きに注目していれば、マントの人物は地面に手を当てて魔力の籠もった何かを仕掛けた。


 スキルによるものなのか、道具によるものなのかはここからじゃ判断が付かない。

 ただ、設置してすぐに周囲を警戒しながら足早にこの場を去ろうとしていたことからして、何か良からぬことをしようとしているのは明白だった。


 マントの人物が俺らに気づいている様子は微塵もない。

 隠密も下手くそだけど、索敵も大概みたいだな。


 咄嗟に二つの選択肢が脳裏に過る。

 マントの人物を取り押さえるか、それとも奴が仕掛けた何かの解析を優先するべきか。


 ——いや、どっちもか。


「天頼、あいつを取り押さえるぞ。奴を惹きつけてくれ」


 言えば、天頼は少し呆気に取られていたようだが、


「……う、うん。分かった!」


 すぐに表情を引き締め、臨戦態勢に入ると、魔力を迸らせながら前に躍り出る。

 瞬間、マントの人物が驚愕した様子でこちらを振り向いた。


「ねえ、きみ。ここで何しようとしてたの?」


「——っ!? お前は……あ、天頼四葉!? どうしてここに……!?」


 マントの人物が声を漏らす。

 男の声だった。


「それはこっちの台詞。こんな人が全然いないところで、人目を避けるようにこっそりと何か仕掛けて。一体何をするつもりだったのかな?」


「……くっ!」


 対話には応じようとせず、全速力で逃亡を図ろうとするマント男だったが、


不動磐砦(ふどうばんさい)


 天頼の地属性術式が発動。

 地面から迫り出す岩盤のバリケードがマント男の進路を塞ぐ。


 うわ……一瞬でこれかよ。

 やっぱえげつねえな、天頼の術式。


「逃さないよ。大丈夫、手荒な真似はしないから教えてくれないかな。今仕掛けたものが何なのか、あれを使って何をするつもりだったのか」


「チッ……!」


 それでもまだ逃げることを諦めていないようで、マント男は懐からハンドガンを取り出し、躊躇う事なく天頼に向かって発砲する。

 放たれた弾丸は魔力が籠められたものだった。

 ——対モンスター用、それも中型サイズであれば一撃で吹っ飛ばせるほど強力な。


泉鏡(みかがみ)


 しかし、展開される水の防御壁によって防がれる。

 向こうからしたら不意を突いたつもりだったんだろうが、狙いがバレバレだ。

 俺ですら余裕で勘付けたんだから、天頼が気づけないわけがない。


 改めて確信する。

 やっぱ、こいつ戦いに関しては素人だ。

 だからこそ感じる。


 ——違和感を。


 くれぐれも気を抜くな。

 強く念じるように自分に言い聞かせ、俺は慎重にマント男との距離を詰める。


「これはきみ自身の判断? それとも誰かの指示?」


 風属性の術式を構築しながら、天頼はマント男に訊ねる。

 だが、閉口したまま返事は返ってこない。

 意地でも口は割らないつもりか。


 だろうな。

 今、明確な殺意を持って天頼を撃とうとしたくらいだし。


 それほど口封じをしたかったってことか、若しくはそうでもしないとならなかった理由でもあったか。

 どちらにせよ、余程見られたくないものだったっていうのは確かだろう。


 暫しの沈黙を挟んだ末、


「——致毒の奔竜(アズ・ジハード)


 発された声は、マント男とは別の人間によるものだった。

 刹那、頭上から莫大な毒液で構成された竜が天頼に襲いかかる。


 天頼は咄嗟に水の障壁の効果範囲を拡大させて毒の濁流を防ぐも、代わりに視界は完全に遮断されてしまう。


 とりあえず、天頼から離れていて正解だった。

 じゃなきゃ、俺も巻き込まれていた可能性が高いし、自身の防御もままならなかったかもしれない。

 

 しかし、安堵も束の間。

 その僅かな隙を突くように、物陰から術者らしき人間がマント男の元へと飛び出してきた。


「おいおい……マジかよ」


 姿を見せるまで完全に気配を殺し切ってたぞ。

 しかもそいつも同じマントを纏っているから、魔力での探知にも引っかからないというおまけ付きだ。


 チッ、通りで全然気づけねえわけだ……!!


 毒使いは、マント男を抱えるや否や、即座にこの場を離脱しようとする。


「させるかよ……!!」


 脇差を抜き、毒使いの脚に狙って遠隔斬撃を放つも、


「……は!?」


 斬ったはずの足が液状化し、すぐに再生してみせた。

 直後、俺の存在に気づいた毒使いは、俺がいる方向に狙って、


「ヴェネノ・トレス」


 毒の奔流を放ってくる。


「、っ!」


 反射的に飛び退くことでどうにか回避には成功するが、視線を戻した時には、もう既に毒使いとマント男の姿は消えてしまっていた。

 追跡しようにもあのマントがある以上、発見はほぼほぼ無理だろう。


「あいつら、何者だったんだ……?」


 考えを巡らすも答えが出てくることはない。

 けど、これではっきりと分かった。

 一連の失踪事件の裏には、組織的な思惑が絡んであると。

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