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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第2章 限界を飛び抜けて、空を駆けるは

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ダンジョンが齎す災害

 天頼とダンジョンを散歩してから三日経った。


 あの後もずっとスキル拡張に向けて鍛錬を続けてはいるが、未だに形にはなっていない。

 今日もダンジョン配信を行う予定だが、天頼と水森はまだ学校からこっちに向かっている最中だ。

 おかげで時間を持て余していたので、この合間を使って俺は訓練場に足を運んでいた。


 鞘に納めた状態のまま打刀にありったけの魔力を籠める。

 魔力は鯉口辺りに集中、俺が出来得る限り高密度に圧縮させる。


 狙いは向こう正面にある壁に付けられた的の印。

 イメージは、鯉口から的までを最短距離で結んだ直線上に魔力を飛ばす感覚。


 それから意識を研ぎ澄まし、刀身を鞘から引き抜く。

 収斂させた魔力を居合で斬りつけながら前方に撃ち出すも、放たれた魔力はすぐに霧散してしまい、ただ刀身が空を切るだけの結果となってしまった。


「……チッ、今回もダメだったか」


 ただ、抜刀と共に斬りつけた圧縮魔力に遠隔斬撃はちゃんと適用されている。

 後はこれを霧散させることなく撃ち出す事さえできれば、地面を這わせずとも敵をぶった斬れるようになるはずだ。


 もうちょいでいけそうな感じはしてんだけどな。


 魔力の圧縮が足りないのか、それとも射出の勢いが弱いのか……いや、単純に練り上げた魔力を維持させる事が出来てないのか。

 何にせよ、もっと練習しないと完成には持っていけそうにないのは確かだ。


 とはいえ、だ。


「ひとまずは、ここまで……か」


 もう少ししたら、天頼と水森の二人も事務所にやって来る頃合いだ。

 スキル拡張の練習はここらで切り上げて、一旦上に戻るとしよう。


 そうして事務所に移動して、部屋の中に入った——その時だった。


「鋼理! 緊急事態だ!」


 ただならぬ形相でボスが声を張り上げながらこっちに歩いてきた。

 瞬間、何やら緊迫した状況になっていることを察する。


 ボスがこんなになるって余程の事が起きていると見るべきだ。


「何があったんですか」


「ついさっき砂漠のダンジョンで”アウトブレイク”が発生した!」


「は……それ、マジなんですか?」


 アウトブレイクって……ガチもんの緊急事態じゃん、それ。


「ああ、事実だ。それと冒険者組合からは、お前と四葉の二人にも事態収拾の為の出動要請がかかっている!」


「お、俺もすか……!?」


「ああ、とりあえず詳しい話は後だ! 今すぐ車に乗ってくれ! 途中で四葉を拾って、お前達二人を現地に送り届ける!」


「……う、うす!」


 言うが早いか、ボスは取り出したスマホを耳に当てながら一階のガレージへと飛び出したので、俺もそのすぐ後を追いかけることにした。






 階層ごとに濃度の違いはあれど、基本的にダンジョン内に漂う魔力は常に一定だ。

 だが、稀に魔力濃度が急激に上昇することがある。

 それが一定の度合いを超えた際に発生する現象が”アウトブレイク”だ。


 アウトブレイク——。

 何らかの原因で急激に魔力濃度が異常なまでに上昇することで階層内にモンスターが大量に発生するだけでなく、それでも止まる事のない有り余る魔力がダンジョンの外まで漏出し、こちら側の世界にモンスターが際限なく溢れ出すようになる。


 言うなれば、ダンジョンが存在することで発生する一つの災害。

 下手をすれば多くの命が奪われかねない最悪の厄災となり得る。

 事実、過去にアウトブレイクによって幾つもの都市が壊滅しかけ、多くの命が犠牲になった。


「……ところで、ボス」


 車の中、天頼への連絡諸々が完了して少し落ち着いてから俺は、助手席から運転するボスに訊ねる。


「天頼は分かるんですけど、なんで俺まで出動要請がかかってるんです?」


 アウトブレイクが発生した場合、その危険性と緊急性から組合直属の冒険者以外にも出動を要請する事がある。

 だけど、その際に呼ばれるのはAランク以上の実力者が大半だ。

 なのにどうしてBランク——それも昇格したて——の俺に白羽の矢が立ったのか理由が分からない。


「お前が選ばれたのは、モンスターの取りこぼしを防ぐ為だろう。四葉の配信でお前のスキルの射程は知れ渡っているからな。それを見込んでのご指名のはずだ」


「……ああ、なるほど」


 当然といえば当然のことなのだが、冒険者組合は登録している冒険者のスキルや階級の昇格経緯を把握している。

 だから、剣城鋼理とSAくんが同一人物であることを向こうの人間は分かっている。


「四葉がダンジョン突入組と防衛組のどっちかに回されるかはその時にならないと分からないが、鋼理、お前はまず間違いなく防衛組に回されると思う」


「でしょうね。前に出てもあんま役に立たねえだろうし」


「適材適所だ。今回のような戦闘であれば、鋼理みたいなタイプは後ろに控えてくれた方が輝くし助かる。仮に俺が作戦を指揮する立場だったら、お前は確実に防衛に回す」


 言って、ボスはアクセルを飛ばす。

 事務所から砂漠のダンジョン——代々木ダンジョンまでは大分距離がある。

 途中で天頼を拾っていくことも考えれば、のんびりしてられる余裕はない。


「そろそろ四葉と陽乃との合流地点だ。鋼理、二人にもうそろそろ到着すると伝えてくれ」


「うっす……!」


 応えると同時、俺はスマホを取り出し、天頼に通話をかける。

 コールが始まった直後、スマホ越しに天頼の声が聞こえてきた。


「剣城くん! もしもし!?」


「天頼、今どこにいる!? もう少しで到着するから詳しい場所を教えてくれ!」


「えっとね——」

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