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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第2章 限界を飛び抜けて、空を駆けるは

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水を駆ける斬撃

 訓練場で水森は天頼のことを天才と評していたが、そう表現したくなる気持ちがよく分かる。


「とりあえず色んな水の形を作ってみようか」


 そう言って、天頼はいとも容易く幾つかの水球を生み出して宙に浮かべると、それぞれを異なる形に変えてみせた。


 シンプルな水の球体、柱、リング、アーチ……etc.

 これだけ自在に形作れるのは、魔力の操作技術が半端なく高い証だ。

 しかも、水属性以外にも三つの属性も——多分、同レベルで——扱えるっておまけ付き。


 一般的な属性魔術使いからすれば、やってらんねーって感じだろうな。


 ——でもまあ、それくらいぶっ飛んでるからこそ天才たる所以なんだろうけど。

 ダークネスカオスジャンボスライムのようなガンメタブッ刺さりの相性超絶最悪な相手じゃない限り、S級モンスター相手でもワンチャンタイマンで勝てるスペックはあるし。

 というか、一度大きな隙を作れさえすれば、ベヒーモス相手ですら一方的な蹂躙をできるだけの威力と手数を持ち合わせている。


「さあ、どんどん斬っちゃってー!」


「……ああ」


 とりあえず今は、目の前に集中するか。


 魔力を籠め、それぞれの水の塊に二閃ずつ遠隔斬撃を放つ。

 特に目標は定めず、水面の表と裏に一発——、


 斬り放てば、水の内部と表面を乱れるように駆け回る高速の軌跡が生まれた。


「おお〜っ!」


「へえ……こんな感じになるのか」


 浮いている物体に遠隔斬撃を放つことなんてまずないからすごく新鮮だ。

 なんというか、一種の芸術作品みたいだ。


 延々と水面の表裏を這う斬撃をマジマジと見つめていると、ふと天頼が呟く。


「……それにしても、本当に消えないね。いつまで残り続けるの?」


「分からん。目標地点を設定しないまま飛ばしてたから。多分、斬撃を起動させなきゃこのままずっと進み続けるんじゃないか?」


「サラッと凄いこと言うね……。そうなると、先にわたしの魔力の方が切れそうだよ」


「え、なんで魔力切れ起こすの?」


 途端、天頼が目を見開いて絶句した。

 まるで信じられないものを目の当たりにしているかのように、俺を凝視している。


 ……あれ、俺なんか変なこと言った?


「もしかして……剣城くんって、実は魔力無限大にあったりする?」


「んなわけあるか。人並み程度だ。つか、なんでそんな考えになるんだよ」


「なんでも何もスキルって、維持し続けるのにも魔力がいるんだよ。なのにずっとスキルを発動し続けられるって……逆になんで?」


「いや、俺もなんでって言われても。元からそういうもんだったからとしか……」


 遠隔斬撃を飛ばすのには魔力を持ってかれるけど、消費するのはそこだけだ。

 飛ばした斬撃を維持し続けたり、任意のタイミングで斬撃を発生させたりするのに関しては、一切魔力を必要としない。

 今までそれが普通だと思ってたけど、どうやら俺の認識と一般常識に乖離が起きていたらしい。


 ……なんだろう。

 これが凄え事だってことは理解できんだけど、なんか素直に喜びにくい。


「前々から知ってはいたけど、やっぱり剣城くんって自分のスキルの異常性に疎すぎるよね。本当は凄いスキルなのに」


「仕方ねえだろ、どの強みも分かり辛えんだから。射程にしても、精密性にしても、あと持続性に関しても」


 威力とか速度とか連射性能とかだったらすぐ気づけたんだろうけど。


 自身のスキルだからといって、最初から把握できるのは基本的な使い方だけだ。

 細かな性能や仕様は、使いながらちょっとずつ手探りで確認していくしかない。

 ——特に俺みたく他に似た所持者がいないマイナーなスキルはな。


 それよりも俺的に驚きっていうか発見なのは、これだけスキルを発動しても斬撃が残り続けることか。

 一度の攻撃で放てるのは一発のみだけど、飛ばした斬撃が発生するまでに次の遠隔斬撃を放っても、先に放っていたのが消えたりするわけじゃないらしい。


 一応、ベヒーモスと戦った時に判明していたことだけど、ここまで何発も仕掛けておけるものだったんだな。

 ……つっても、分かったところで何に活用するわけでもないけど。

 これだけの数を管理しながら戦うってのは、流石に現実的ではないし。


「ところで、これ斬撃を発生させられんの……?」


 ちょっと試してみるか。

 球体型の水の表裏を這う斬撃に発生地点を設定した瞬間——、


「ぶべっ!」


「剣城くん!? 思いっきり水掛かったけど大丈夫!?」


「……大丈夫だ、気にしなくていい」


 間近で斬撃を起動させたのは迂闊だった。


 ——うーわ、しくじった、最悪。

 でもまあ、上手くいったし、天頼に掛けずに済んで良かった。


 というわけで気を取り直して、少し距離を取ってから検証再開。

 今度は、三つの水の塊の表裏で駆け巡る計六つの斬撃を一斉起動させてみる。


 結果は——成功。

 六つの斬撃が同時に発生し、周囲に水飛沫を派手に撒き散らしてみせた。


「おお……こんなこともできるんだ」


「みたいだな。意外と器用なんだな、このスキル」


 これも実戦での使い道は殆ど無さそうだけど。

 まあでも、スキルの新たな仕様を知れるのは大きな収穫ではある。

 今は使わなくてもどっかで活用できるかもしれないしな。


「それじゃあ次は、何を検証してみるか——」


「はいはーい! ちょっといいかな?」


「ん、どうした?」


「わたしも君のスキルに関して、確かめたいことがあるんだよね」


 言って、天頼は新たに水の塊を生み出すと、近くの木を指差し、不敵に笑ってみせる。


「擬似的にだけど、君の斬撃を飛ばせるかどうか」

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