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射程無限剣士、ド陰キャ戦法でS級モンスターをぶった斬ったら謎の暗殺者扱いされて鬼バズする  作者: 蒼唯まる
第2章 限界を飛び抜けて、空を駆けるは

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20/95

慌ただしくも一転した日々の中で

 天頼と正式にバディを組んでから早くも十日が過ぎた。

 ベヒーモスを撃破して以降は、これといった事件が起こることもなく、至って平和なダンジョン配信が続いている。


 そして、今日も今日とて天頼は元気にダンジョン配信を行っていた。


 今回の配信場所は森のダンジョン二十二層。

 内容はというと、天頼がとりあえず四大魔術で無双する。

 途中、コメントを拾ってリスナーとコミュニケーションを取りつつ、また四大魔術で無双してを繰り返す。

 俺はその裏で邪魔なモンスターをこっそり始末したり、天頼の無双っぷりをより映えさせるようドローンカメラを操作する——というのが一連の流れだ。


 相変わらず下層まで潜るのには慣れないが、ベヒーモスとの死戦を潜り抜けたおかげか、下層にいても前よりは心に余裕が生まれてるし、遠隔斬撃が通用する相手ならなんとか対応できるくらいの技量と自信が付いてきたような気がする。


 つい最近までソロでダンジョンに潜って、ド陰キャ戦法でちまちまモンスターを狩ってただけなのに、本当に色々がらりと変わったよな……俺の生活。

 天頼を見ていると時々、そんな感慨を覚えたりする。


 それはそうと、ダンジョン探索するにあたって大きく変わったことがある。


 まずは、探索する際の装いが完全にSAくん仕様になったこと。

 それと昇格審査が無事に通り、冒険者の階級がEからBランクになったこと。


 あと一つは——っと、その前に、だ。


(あいつ……近づきはしねえと思うけど、念の為狩っておくべきか……?)


 数十メートル先、直立歩行型のトカゲっぽいモンスターが遠巻きから俺たちを据えていることに気が付く。


 ただ戦闘を眺めているのか、負けた方を食おうとしてんのか、はたまた漁夫を狙ってんのか。

 いずれにせよ、今の感じなら別に放置しておいても何の問題なさそうだが、天頼が現在進行形で別のモンスターと戦闘中ってことを考えると、今のうちに対処しておきたくもある。

 

 ドローンカメラを操作しつつも暫し悩んだ末、そいつが動き出したのを察知した瞬間——俺は、腰に下げた()()に手を伸ばし、


「、っ!!」


 抜刀一閃、そのモンスターの脚を狙って遠隔斬撃を繰り出す。

 地面を薙ぎ、放たれた斬撃はあっという間にモンスターを捉え、右後ろ脚を両断してみせた。


(っし、決まった……!)


 心の中で呟き、拳を握り締める。


 これが二つ目の変化。

 ベヒーモスとの戦いで壊れてしまったサバイバルナイフの代わりに、打刀と脇差が俺の新たな得物となった。


 この二振りの刀は、天頼とバディを組んだ日にボスから貰ったものだ。

 なんでも事務所の備品だかでずっと倉庫に眠らせていたが、俺が刃物を扱う冒険者だからという事で快く譲ってくれた。


 魔力を適切に籠めさえすればどんな刃物でも業物になり得るとはいえ、やっぱ元となる物の質が良いと斬れ味が更にとんでもないことになるな。

 事実、こいつらを扱うようになってから、遠隔斬撃でモンスターの四肢が簡単に斬り落とせるようになっていた。


 前に使っていたサバイバルナイフも、ダンジョン内で採取できる特殊な鉱石で鍛造されたうん十万円(これでも安い方)もする良いやつだったから、かなり頑丈で斬れ味も良かったんだけどな。


 それすらも凌駕するってことは、この刀……業物かどうかは知らないが、確実に滅茶苦茶良い刀であることは間違いなさそうだ。

 しかも、なんでか分からないけど、妙に手に馴染むおまけ付きだったりもする。


 これだけの代物がずっと使われないでいたのも、新たな所有者が俺になるのもどこか勿体無い気もするが……どんな形であれ、簡単にパワーアップできるのであればするに越したことはない。


 ——そうじゃないと、いつまで経ってもアイツに追いつけないしな。


「アシスタントくん、終わったよー! 今のちゃんと撮れてたー!?」


 水魔術で発生させた激流の大砲でモンスターの上半身を吹き飛ばした後、笑いながら駆け寄ってくる天頼を見ながら俺は、強くそう思う。






「——それじゃあ、今日の配信はここまで! 皆んな、またねー!」


 ひらひらと手を振る天頼を背景に配信を終了させる。

 動画サイト上でもしっかり映像が止まったことを確認してから、天頼に「もう良いぞ」と一声をかける。


「ふぅー、なんとか今日も無事に終わったねー。剣城くんもお疲れ様!」


「ああ、お疲れ」


 短く応えて俺は、大きく息を吐き出しながら腰を降ろす。

 途端、疲労がどっと押し寄せてくる。


「あー……マジで疲れた」


 下層にいることにも慣れて多少は余裕が生まれたとはいえ、常にモンスターの襲撃やらを警戒して気を張ってるからどうしても疲弊してしまう。

 おかげで最近は家に帰ったら速攻で寝るだけの生活を送っていた。


 それに比べて——天頼はよくあんな元気でいられるよな。

 強敵との戦闘は全部受け持って、これでもかと術式をばんばん発動させても尚、まだ全然動けそうだし。

 元々の体力……いや、魔力量の差か?


 ぼんやりとそんなことを考えていると、


「……剣城くん、大丈夫?」


 ふと、天頼に屈みながら訊ねられる。

 同じ視線の高さに青の瞳が映り込む。


「まあ、なんとかな」


 しかし、天頼の表情は少し訝しげだ。


「……本当に?」


「いや、嘘つく理由ないだろ。ガチでキツかったら素直に音を上げてる」


「むぅ……それなら良いけど」


 顔は全然納得してなさそうだが、天頼はすっと立ち上がる。

 俺も続いて立ち上がろうとして——、


「っ——!!」


 脇差を鞘から引き抜くと同時に地面を薙ぐ。

 繰り出される遠隔斬撃が猛スピードで地面を這う。

 その先にいたのは、通常個体のダークネスカオススライム。


 今まさに俺たちに向かって魔術を発動させようとしていたが、その直前、遠隔斬撃によって核を真っ二つにぶった斬られると、不発のまま身体を崩壊させた。


「ふう……危ねえ、術撃たれるとこだった」


 つっても、天頼なら余裕で防げてたし、相性が悪いとはいえ、通常個体のダークネスカオススライムなら問題無く倒せていただろうけど。

 まあでも雑魚狩りは俺の仕事だし、天頼の手を煩わせる事なく倒せたから結果オーライか。


 脇差を鞘に納めてから、今度こそ立ち上がり、


「——待たせて悪かった。休憩もできたし、そろそろ帰ろうぜ」


「あ……う、うん」


 周りのモンスターに警戒をしつつも、ダンジョンを後にするのだった。

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